第33話 アルフォンス

 金髪に透き通るような青い瞳をした『The王子様』といった感じのイケメン王子、アルフォンス君が私に話しかけてきた。


「登校初日から大変だったね」

「そうだね。まぁ、平民だから仕方ないのかな?一応はお礼を言っとくね。ありがとう!」

「しかし、グリエル王国の貴族連中は……、リオネルを筆頭に馬鹿ばかりなんだね」

「貴族って全部あんな感じたと思ってたけど、アルフォンス様の国は違うの?」


 一応は第二王子と聞いたので、失礼のないように『様』をつけて話をすると、軽く笑いながら返事をしてきた。


「クラスメイトなんだから『様』は不要だよ。全く違うとは言い切れないけど、グリエル王国よりはましかな?ただ、貴族が特別な存在だと言われてるけど、それ程までに特別だとは思っていないんだよね」

「えっと、王族がそんな事を言っても大丈夫なの?」


 貴族よりもさらに上の階級になる王族が、そんなことを言っても大丈夫なのかと思ったので、そのまま質問として返すと、アルフォンス君は『あっ』という表情をしながら答えてくれた。


「あははっ、確かにそうだね。でも、この英傑学園は全てにおいて平等な場所だからさ、王族だとか貴族だとかを気にせずに発言しても良いんじゃないかな?さぁ、そろそろ教室へ行かないと授業に遅れるよ」

「そうだね。行き成り遅刻は不味いよね!」


 テンプレイベントを終えて、私達は教室へと急ぎ足で向かったのだった。


§アルフォンス視点§

 今日から授業が始まるので、正門から教室へと向かっていると、朝から騒ぎが起こっているようだ。

 留学先なので、あまり騒ぎに関わりたくないところだったが、絡まれているのはクラスメイトだった。しかも入学試験の首席合格者のアリス。平民が入学すること自体が稀なのに、首席合格なんてすれば貴族連中の目の敵にされるのは仕方ないかな?

 本来なら放っておくところだけど、初めて見る黒髪に金色の瞳をした美少女が絡まれてるのだから、見過ごすことはできないので助けに入る。


「英傑学園内では全てに平等だと聞いてるが、グリエル王国の貴族令息は親の権威をかざすか?」

「お前、誰に向かって言っるのだ!」

「さぁ?目の前の小者にかな?僕は【ヴァカルディア王国】第二王子アルフォンスだ」

「なっ……し、失礼致しました……」


 絡んでいた男達は、僕の名前を出すと逃げるように去って行った。


 そのあと少し会話をしたが、王族に取り入ろうとする素振りを見せなかった。そして、アリスの見惚れるような笑顔に魅入られたのだった。

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