第23話 拘りの防具

 武器の次は防具なんだけど、防具の下に着用するインナーは、龍鱗を砕いて粉末にして液状にした物を、アラクネの糸に染み込ませた物で作ったので、魔法防御は勿論だけど、物理攻撃による貫通耐性も完璧。インナーだけでもかなりの防御力がある。なのでフルプレートアーマーのような防具ではなく、動きやすいように必要最低限の防具を装着することにしたの。


 そんな訳で、ミネバ拘りのデザインが施された【胸当てチェストアーマー】【篭手ガントレット】【脛当て《グリーヴ》】【腰当てフォールズ】をアダマンタイトと龍鱗の合金を使用して作成して、衝撃軽減の効果を付与しておいた。さらに防具を装着する時に、身体にフィットするように【自動調整】の機能をつけて着脱を楽にした。


 私の防具のデザインは身体のラインに合わせた物で、白を基調に朱色のラインが施されている。従者達の防具は同じデザインなんだけど、黒を基調に朱色のラインが施されている色違いなの。


 インナーだけでもかなりの防御力なのに、アダマンタイト合金を使った防具を揃えたので、余程の相手じゃない限りは殺られることはないはず。防具を作ってひと段落ついたので一休みしようかと思ったら、ミネバに声をかけられ呼び止められた。


「アリス様、防具の作成お疲れ様です。学園に通うようになれば、ダンスパーティ用のドレスや、クラスメイトを屋敷に招いた時の普段着が必要になるので、衣服を作りたいと思うので、もう少しお時間をいただけますか?」


 学園なんて制服だけで良いと思っていたら、ダンスパーティー用のドレスなんて必要になるんだね。クラスメイトを招くことは考えてなかった。別に制服で良いと思ったけど、上流階級が相手だとそういう訳にはいかないみたいだね。


「うん、良いよ。その辺りで必要な物はミネバに任せるよ」

「かしこまりました」


 防具の次は、衣服を作ることになったんだけど、これはなかなか大変なものだった……。

 従者達、ミネバにメイドとそれぞれが趣向を凝らした物を提案するので、なかなか意見がまとまらなかったから。


 そんな状況が続く中、ゼシカの一言で全てが解決することになったの。


「みんなのアリス様への思いを考えると、どのアイデアも捨て難いので意見がまとまらないわね。そこで、思い切って全ての衣装を作ろうと思うんだけど、どうかしら?」

「「大賛成!」」


 実にゼシカらしい意見で話がまとまって、パーティー用の格式の高いドレスから普段着に至るまで、全てを合わせると100着を越える数の衣服を作ることになったの。これは流石に多過ぎると思ったので、もう少し減らせないかと思ったのだった……


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る