第21話 装備作りに取り組む

 王都からルミナスの森へ戻ると、メイド達が私のもとを訪れて懇願してきた。


「アリス様、お帰りなさいませ。お戻りになったところ大変申し訳ございませんが、転移の扉を全ての拠点へ繋げていただけませんか?我々はアリス様の居られる所で、常に身の回りをしたいと思ってます。どうかよろしくお願いします」

「アリス様、我々メイド達の我儘を聞いてはいただけないでしょうか?よろしくお願いします」


 シオンを含む全員のメイド達に頼まれたので、私はその願いを叶えることにした。働きやすい環境を整えるのも主の務めだからね。


「判ったよ。少し休憩を取ったら、サロンに転移の扉を備え付けるね」

「「ありがとうございます」」


 着替えを済ませて、サロンで少し休憩を取った後は、ダイヤル式転移魔法陣こと転移の扉をサロンに設置をする。メイド達は目を輝かせながら、私が作業する姿を見学するのが気になった。


「ずっと見てる感じ?照れるんだけど?」

「アリス様の起こされる奇跡の瞬間を、見逃したくないのでお気になさらずに」


 メイドだけが見学してるのかと思ったら、守衛のシェリルも見学していて、転移の扉を設置する瞬間を見逃しなくないと言った。簡単な作業だから奇跡なんて代物じゃないと思うんだけど、そんなに見たいというなら認めることにした。


「この程度のことは、奇跡とか大袈裟なものじゃないけど、見たいのなら好きにしてね」

「「ありがとうございます」」


 気づけばゼシカ達まで見学にきて、かなり騒々しい中で作業を始める。まず扉に【ルミナスの森の屋敷】【王都の屋敷】【ポロ町の屋敷】へと繋がる魔法陣を刻印してから、ダイヤル式のドアノブを付けて転移の扉が完成した。


 メイド達の願いを叶えた結果、私はメイド達による事細かな身の回りの世話を受けることになって、至れり尽くせりの快適な生活を送る事になったの。


 そんな諸用を済ませてからは、本来の目的である従者達の装備を作る事にした。その為に遠回りして帰って来たんだから、贅を尽くした装備を作ってあげる。だって手元には大量の素材があるんだから、ケチケチする必要なんて全くないからね。

 そして、手元にある希少な素材を確認する。


【ミスリル】魔法浸透率は非常に高いが、硬度と強度は10段階のうち7段階目。魔法を活かした攻撃をするのに非常に適している。


【アダマンタイト】魔法浸透率が極端に低く、硬度と強度は10段階のうち10段階目。最高硬度の為に加工は非常に難しく、斬れ味を求めるのではなく、打撃特化した武器に向いている。


【ダマスカス】魔法浸透率は低く、硬度と強度は10段階のうち9段階目。高い技術を求められるが加工は可能で、斬れ味に特化した武器に向いてる。


【龍鱗】非常に軽く、物理・魔法防御に優れている。そのままでも防具として使用できる。加工は非常に難しいが繊維にする事も可能。


 金属に関しては一長一短があるけど、合金にすることでそれぞれの特性を活かせそうだね。

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