激レア種族に転生してみた（笑）

閑話 アネモネは知っていた②

「大丈夫だよ。サツキさんはこの未来を知っていたから、自ら天寿を全うしたんだもん」

　私がそのことを伝えると、当然だけど全員驚きの表情を見せた。その中でもサツキさんとよく魔法談義をして、仲の良かったアーニャは説明を求めた。

「サツキが天寿を全うしたってどういうことなの？」

「サツキさんは、〚拒絶〛以外にも〚確定未来〛というスキルも持っていて、そのスキルで1,000年後のジャミアの復活を知ると、私達では消滅させることは無理だと教えてくれたの。そして、復活までの1,000年以内に〚拒絶〛を引き継ぐ者が現れると教えてくれた……」

　私がサツキさんから聞いたことを説明すると、その場に居る6人は、アリスさんがその後継者だと理解した。ここまでの説明を聞いてシエルは『ハッ』とした表情になると、徐々に悲しそうな表情に変わって、私に確認したのだった。

「〚拒絶〛を引き継がせる為に……、サツキはあなたの力で生涯を終えたということなのね？」

「「……」」

　シエルの言葉にその場が静まり返る。

　私はあの時のことを昨日のように覚えている。

§アネモネの回想§

　珍しくサツキさんから呼び出されて拒絶の森を訪れると、ジャミアの復活を聞かされて驚かされた。

「大丈夫安心して、ジャミアの復活までに〚拒絶〛を引き継ぐ者が現れるからね。ただ、その未来には私は存在することができないの」

「どうしてですか？私の力で光妖精族（ライトニングフェアリー）になり寿命の概念はありませんよ？」

　その未来にはサツキさんは存在しないと言った。私の力でヒューマンから光妖精族（ライトニングフェアリー）へ昇華したので、寿命の概念はないのに不思議に思った。

「うん、そうだね。私が生きていると〚拒絶〛は私のスキルのままになるの。だから、アネモネの力で私の生涯を終わらせて欲しい。そして、転生者の中から光妖精族（ライトニングフェアリー）を選択する者が現れたら、その人をサポートしてあげて欲しい。きっと〚拒絶〛を手にして、ジャミアとの戦いで七神女神の力になってくれるから」

「そんな……、私達の恩人の生涯を終えろなんて、そんなことはできません」

「あの悲惨な戦いを何度も何度も繰り返して、たくさんの命が奪われることになるんだよ？辛いかも知れないけど、命の女神にしかできないことなの」

　サツキさん1人の命と、聖戦によって奪われる数え切れない命の選択を迫られて、決心がついた頃には涙が溢れて止まらなかった……

「アネモネ、辛いことを頼んでごめんね」

「本当ですよ……。私を命の女神にしたアイツが復活したら、絶対に消滅させてやります！」

　サツキさんを安心させようとなんとか笑顔を見せたけど、涙と鼻水で酷い顔だった思う。そんな私にいつもの明るい笑顔で話しかけてくれた。

「うん、ぶっ飛ばしてやってね！」

「はい、この世界の為に犠牲になってもらって本当にすみません……、必ず、必ずジャミアを倒します。どうかオドレイさんのもとで、心安らかにお過ごしくださいね」

「うん、ママに甘えてくるね」

　その後、私の力でサツキさんの天寿を全うしたのだった……