第14話 首席合格

 ミネバが使者の質問に答えると、使者は鞄から4通の書状を取り出してから、大きな声で入学試験の合否結果を伝えたの。


「アリス.フェリシア嬢、ゼラーシュカ嬢、アナスタシア嬢、リューネブルック嬢の4名が、グリエル英傑学園の入学試験に合格をしたことをお伝えします。こちらが合格通知になりますのでお受け取りを」

「「ありがとうございます」」


 私は声を揃えて使者に返事をすると、ミネバが使者から4通の合格通知を受け取ると、使者は私達4人の顔を見回してから話しかけてきた。


「申し訳ない、アリス.フェリシア嬢はどなたか教えて頂きたい」

「私がアリスですよ」

「貴女がアリス.フェリシア嬢でしたか、貴女は入学試験において最も優秀な成績を収められ、新入生の首席になられました」


 使者が言うには、私が入学試験で最も優秀だったらしい。ゼシカ達も難しいとか言ってたけど、私は簡単だと思ったので当然の結果かも知れないね。首席と伝えられて、面倒な事を押し付けられるのか不安になったので、使者に首席の務めがあるのか確認をする。


「首席と言われましたが、何か特別な務めがあるのでしょうか?」

「特にある訳ではありませんが、強いて言うなら入学式での宣誓がありますね。これは大変名誉なことなので、我々も期待してますよ」

「判りました。期待に応えるようにしますね」

「はい、では失礼します」

「「ありがとうございました」」


 最後に礼を伝えると、使者も一礼してから部屋を後にした。部屋は身内だけになったので、普段の和らいだ雰囲気に戻るとため息が出た。


「はぁ~、新入生の首席かぁ~、あぁ面倒臭い……」


 私がソファーに寝転びながらそんな事を言うと、ミネバは誇らしげに首席になったことを称えたの。


「アリス様は、一般階級から出た史上初めての首席なのですよ?これは本当にもの凄い事なんですよ!」

「えぇ~、めちゃくちゃ簡単な試験だったよ?今年の受験生はみんな馬鹿だったんじゃないの?」

「「アリス様……酷い……」」


 私の何気ない言葉を聞いた3人は、口を尖らせながら口を揃えて『酷い』と言ってきたので、流石に言い過ぎたと思い謝ってから訂正した。

「ゴメンゴメン、3人のことじゃないのよ?特権階級とか言われてる奴らのことだからね」

「我々や特権階級が馬鹿なのではなく、アリス様はこの世界に存在する誰よりも優秀なので、仕方ありませんよ」


 ミネバがそんな事を言うもんだから、ゼシカ達は『ウンウン』と頷きながら声を揃えてミネバに同調した。

「「ミネバの言う通りです!」」

「そ、そうなのね……」


 学園から合格の通達が来たので、明日からは屋敷のリフォームと、王都にある冒険者ギルドを覗いたりして、王都で過ごす残り2週間を楽しむ事にしたの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る