第16話
私は偽物。
渚の偽物。
「楓がサボるなんて珍しいね。」
「うん……。」
私は渚を連れて、学校の屋上でフェンスに背中に預けながら授業をサボっている。
空が青い。
雲ひとつない澄み切った空。
「ねえ、渚……。」
「何?。」
なにか言おうとした時、言葉が詰まった。
私はただ「あの日約束をなかったことにしていいか?。」って言いたかっただけなのに(裏切ったくせに)。
「楓?。」
「……。」
私はどうしたいの?。
渚の真似をして……。
渚に甘えて……。
渚に……。
「楓!。」
「っ!?。何??。」
「何って。ぼーっと空眺めて。なにかあったの?。」
「――。いや、なんでもない。」
「そう?。ならいいけど。」
大丈夫。大丈夫。
そう私は―。
でも少しなら……。
「渚……。」
私は渚に抱きついた。
いつものように甘えた。
暖かく優しい渚。
いつの間にか私の方が背も、実績も、存在も、大きくなって。
けれど、視線を下げればいつもそこにいる。
灯台もと暗し。とまではいかないけれど、ずっとそばで優しく私を照らしてくれてる。
「もういい?。」
「いや。まだここまま。」
「はいはい。」
この温もりを私は手放してはいけない。
渚は私の灯台だ。
道しるべだ。
帰るべき場所だ。
だから―。
「渚……。この先もずっとそばにいて。」
「……。大丈夫だよ。私はいつでもそばにいるから。」
あぁ……。
私は身勝手だ。
でも……。
これで……。
もう渚は私から離れることはない。
そう。
私は何度も渚を呪縛している。
今も。
でも本当は……。
呪縛されてるのは私。
私は渚の操り人形。
それが私。
空っぽの私に唯一ある感情。
渚がいるから世界を感じられる。
色がある。
音が聞こえる。
何もかも。
あぁ……。
今日も世界は綺麗だ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます