第35話 途中の亜人と魔族の村

資料を確認した僕らは森の中を進みスネーク連合の住み家へ。

ハンスは言う。

「まずは相手方の調査だな」

いつも通り隊長が先頭で隊列を組み進む。

僕は言う。

「途中にスネーク連合とは別の村があるんだよね」

ハンスが答える。

「地図によると村と言っても亜人と魔物の村だ。油断できないぞ」

その言葉にローナが言う。

「そうかしら? ここら辺の魔物はそんなに過激な感じじゃなかったと思うけど」

それを聞きながら隊長は言う。

「カエル王国とスネーク連合の間にある村だ。小競り合いに巻き込まれて過敏になってる場合もある。警戒は必要だ」

なるほど、と思いながら僕は言う。

「穏やかな魔族の村にも影響が出たら嫌だよね。早く解決するよう頑張らないと」

そう言うとローナも僕を頼りにしてくれるように喜びながら「平和な生活のため努力しましょ!」と奮起してくれてるようだった。

こうして僕らは森の中を進んで行くのだった。


生い茂る木々が少し減り、視界が開けて来てからほどなく…

「ここが途中の村だね」

僕は辺りを見回して言う。

木々を切り開いた土地に、水源として小川が流れる小さな土地。

緑に囲まれた小さな村があった。

中へ入るとさっそく声を掛けられる。

オークのおばさんは言う。

「あら、随分珍しいお客さんね」

僕も答える。

「はじめまして」

「人間かしら? そっちのお嬢さんは亜人かしらね?」

そう言われたローナも答える。

「私は魔族よ」

「あら、じゃあ一緒ね。人間と魔族のパーティーとか珍しいわ」

僕は少し警戒しながら言う。

「あの、驚かないんですね」

「ここら辺じゃあまり見ないけど、別に敵って訳でもないし…村の人はみんな穏やかよ?」

「そうなんですか…」

「ゆっくりしてきなさいよ」

そう言われるもハンスは断りを入れる。

「ありがたいが、ちょっと調べ物をしてるんだ。スネーク連合の事なんだが…」

「ああ、蛇たちの事ね、私はあまり詳しくないから…そうね…あそこの奥に居る人がよく知ってると思うわ」

そう言われると奥に鳥小屋らしき物が見えるのでハンスが聞く。

「鳥小屋が見えるが、あの辺りか?」

「そう、村の中でも古株で、蛇たちの事を知ってると思うわ」

「サンキュ。行って聞いてみるよ」

ハンスが礼を言い、僕たちは鳥小屋の方へ。

そこにはそこそこ大きめの鳥小屋と、柵で囲われた草地に鳥が放たれている場所だった。

どちらも鶏がたくさん居る。

小屋の方は卵を取る場所だろうか? そして放牧みたいな感じで外の柵の中の鶏はオスでゆくゆくはお肉になるのだろうか?

まあでもどちらも元気よく過ごしているみたいだ。

柵の方は飛んで逃げていかないのかと少し心配になるも、これでやっている所を見ると問題無いのだろう。

そんな柵の中で作業する一人の男。

羽毛とクチバシ、鳥の亜人か魔族だと一目で分かる格好だ。

頭には帽子代わりに布を巻いている。下はフカフカのお尻と尾羽を覆う為か、かなり大きい腰巻きをしている。お尻も大きそうだ。

その人にハンスが声を掛ける。

「こんにちは、鶏の世話はどうだい?」

「…人間か、珍しいな。こいつらはみんな元気さ」

「穏やかな村だな。俺たち人間にも優しい」

「静かでいい所だろう? こうしてのんびり鳥の世話を出来る」

「世界がみんなここみたいなら良いんだけどな」

「ははは、まったくだ。でも気を付けろ、争いをする連中も居る」

鳥の亜人のその言葉にハンスは肝心の質問を切り出す。

「その事なんだが、カエルとヘビの衝突を知ってるか?」

「ああ、ここらじゃ有名だからな」

「それを調べてるんだが、スネーク連合の住み家について聞きたいんだ」

ハンスの言葉に彼はやや顔をしかめながら答える。

「あんたらあそこへ行くのか? やめといた方がいいと思うが」

「これも仕事なんでね」

「そうなのか、村を出て北東へ道が続いてる。森林を抜けて小川を渡った先に岩山があるんだが、そこの洞窟や付近に住み家を持ってて住んでるよ」

「ありがとう。北東だな」

「気を付けてな。あいつらはここみたいに友好的じゃないしカエルたちとの衝突で気が立ってる」

「情報助かるよ。警戒しながら行くさ」

こうして僕らは情報を得て、魔物の村から更に北東へ向かう事になった。

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