116 アイテムボックスに拘って…その116

 自衛隊に護送されて、一般人だと入れない第0区に行くことになった……おうまいがっ!(てか外人かいっ!(苦笑))

 取り敢えず置き書きを書いておき、僕以外は不可侵ってことでタナミナ兄妹もお留守番。変な物も持ち込めないってことで、食べ物と飲み物を入れた初代アイテムボックスの小銭入れだけ腰にぶら下げて連行……もとい、送られることに。無論、中身は全部見せたので問題無しって認めて貰いました!

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──第0区に到着前に、まさかの襲撃……ダイジョウブカ?──


「敵襲!」


「なにぃっ!?」


ひゅるるるる……チュドォーンッ!


 恐らく榴弾だと思うけど、比較的弾速の遅い弾頭が上空から落ちて来て、進行方向よりやや横に逸れた場所に着弾……道路に大穴を開けて瓦礫が飛び散った……フロントガラスに相応するスリットの入った鉄板に、


ガガガッ!


 ……っと破片がぶつかって慌てて急停止……


どぉんっ!


 と魔導車の横っ腹が魔法弾らしい物を受けて激しく揺れる!


「くっ!……残党がまだ残っていたということかっ!?」


「国に立て付いてどうなるのかわかっているのかっ!?」


 ……などと自衛隊の人はいってるけど、日本は既に国としての体裁は余り立ってない。隔離されたそれぞれの行政単位で運営されてるし、何なら第●区って単位でも経済は回ってるし……何より、都道府県って単位で見ると、県境なんかではある程度流通はあるけどその程度だ。


 警察機構も、基本は地域に根付いた自衛組織って感じだし、情報も街の中だけで回ってて外部の情報は即時回って来ることはないし、酷いと1箇月遅れで回って来ることもある。つまり……国が第0区から出てくる時は余り無いし、重要なことだった場合はこのように最優先に、誰かの迷惑顧みないで押し通すし、抵抗すると……後はいわなくてもわかるよね?


「はぁ……」


 まさか、武装犯罪組織がまだ襲撃してくるとは思わなかったので、自衛手段は最低限しか持って来なかったんだよね……まぁ、持ち歩くアイテムボックス小銭入れしかチェックされなかったんでスルーして貰えて良かったけど……


(個人用結界解放)


 丁度ベルトのバックルに仕込んで置いた魔石(魔法陣を中に仕込んである)に触れてからそう想うと、一瞬だけ体が僅かに光り、その後は何事も無かったかのように収まる。


(……うん、問題無く動作確認っと……)


 個人用の結界で体を包むって奴で、外部からの衝撃とか魔力的な何かから体を護るって奴だ。1度魔力をフルチャージすると、待機魔力は大体1日くらい持続する。攻撃を受けると……その時の威力次第だけど、死に至るダメージなら3回分くらいまで防ぐことができる(3回しか防げないという訳じゃないけど)……当然、魔力はその度に消費するので後で再チャージしないとダメだけどね。


(壁とかの瓦礫がぶつかって来るとか、爆炎魔法ファイヤーボールくらいなら防ぐけど……達人の放つ斬撃攻撃とか、特に刺突なんかのダメージ点が集中してると貫通するかもなぁ……)


※面でぶつかるダメージ圧力が低い攻撃なら大体防げる(但し、ビルが倒壊するとかだと無理)けど、点や線などのダメージ圧力が集中してる攻撃だと貫通される恐れがあるという意味



 窓に当たる鉄板の隙間から外を見ると、護衛の自衛官たちが応戦してる様子が見える。


(あれって魔導銃かな?……見た目は殆ど旧時代の拳銃だよね。一部、ショットガンぽいの撃ってる人がいるけど……)


 撃ちだす弾が魔力弾らしくて発光してるのでわかり易い……着弾するとある程度爆発してるし(苦笑)


(流石に旧時代の武器はメンテ用品なんかあっても整備できる人が少ないから……まぁ現在動作品なら価値があるからオークションに出した方が儲かるだろうしね……お金持ちのコレクションにしかならないだろうし(苦笑))


 なんて思いながらぼーっとしてるのが不味かった。


「君っ! 脱出するぞ!?」


「え?」


 反対側のドアを蹴り開けて、腕を掴まれる。


ごきぃっ!


「うっ!?」


 流石に泣き叫ぶと目立って攻撃を受けると思って我慢したけど……これ、肩外れたかな?……めっちゃ痛いっ!


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甲司こうじ「イタイイタイイタイ……」

浦壁「す、すまない……慌ててたのでな……その、回復薬ポーションを渡すから……」

甲司「ウウウッ……クッソイタイ……(T-T)」

※回復薬をそのまま飲んでも治りは遅いので、一度グッと押し込んで再び地獄の苦しみを感じてから飲みました(苦笑)

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