32 アイテムボックスに拘って… その32

 将来、布・革素材の職人になるのか?……って両親に突っ込まれて、アイテムボックス付与師の方向からずれてるなと再認識した甲司こうじ。まぁ……そういうのも悪くは無いが、でも違うんだよなぁー……と溜息を吐くのだった……

━━━━━━━━━━━━━━━


──もっと頑丈な素材で限界を試してみる──


「これは?」


 今日は家庭科部の活動日。集まっている部員の興味を引くそれは……


「「「金庫?」」」


 いやまぁ……ダンジョンの傍のゴミ捨て場に放置されていた物だけど……。産廃や家庭ごみなどは捨ててはいけないという規則があるんだけど時々捨てていく人がいる。奥の方に目立たないように廃棄されていることが殆どなので気付かれないことが殆どなんだよね……


「よく持って来れたわね……」


「いやまぁ……ちょっと裏技使ってね……」


 実は、容量拡張をした大きい布袋に金庫を入れた後、重量軽減を掛けた布袋に更に収納した訳だ。容量拡張をした大きめ布袋の口を当てれば収納が可能で物自体も小さくできる(袋は小さく折り畳めるし)……その上で、重量軽減のみ掛った布袋の口を当てれば、布袋に布袋を収納して持ち運べる……という訳だ。


 後はベルトに装着してる小銭入れアイテムボックスに収納して持ち運んだって訳。布袋を手で持ち運んでもいいけど、片手……或いは両手が塞がってしまうし……



「その金庫、どーすんの?」


「修理しようかと……壊れてるし」


「ふーん?」


 まずは汚れてるので雑巾を取って来て濡らし……表面や中を拭いて汚れを落として行く。見えている部分の汚れを落とした後、底を拭こうと思ったけど……


「くっ……流石に重いな」


 小型とはいえ、金庫は重い。90度転がすだけでも中坊の自分の筋力ではかなりの重労働だ……と、悪戦苦闘してると家庭科部の女子たちが手伝ってくれた。


「あ、みんなありがと……」


「いいよ、偶には手伝うよ?」


 と、僕を含めて5人がかりで何とか転がせた。少し汚れてしまったので、女子たちの制服を布加工スキルで綺麗にしてあげてから(表面に着いた汚れくらいは水に濡らすまでもなく除去可能だ)雑巾で汚れを拭き取っていく……


※布加工スキルでは衣服などの布繊維にしか効果が無い為に濡れ雑巾でフキフキした訳だ……



「ふぅ……」


 元の状態に戻す時も手伝って貰い、金庫に触れて調べてみる。ドアを閉めてみるが……完全には閉まらないらしい。


「歪んでるみたいだなぁ……」


 蝶番ちょうつがいが歪んでいるのか見てみるが、そこではないらしい。途中までは開け閉めはスムーズに動いているからだ。


「あぁ……此処ここか」


 ドアと金庫本体の合わせ目……そこが歪んでいる為に完全に閉まらないようだ。どうしたもんかとドアの歪んでいる部分を触れて魔力を流してみる。


「……って、こんなことで真っ直ぐになるなら金属加工ができる訳ないよな……」


 と思っていたのだが……。金属細工スキルが反応して、歪んでいる部分が目に見えて……平らになっていく。


「いやまさか……金属加工スキル無いと……えぇー、マジかっ!?」


 ステータス表を見てみると、生えていたんだ……頭頂部に髪の毛がっ!(ちげーわっ!)



 ステータス

---------------

名前:匣岬 甲司(はこざき こうじ)

身体:筋C+ 体C 精B 知A 器A+ 速C 運C 魅E

技術:紡績Lv0、布加工Lv0+、裁縫Lv0+、革細工

   金属細工Lv0+、金属加工

   木細工Lv0

   魔力制御Lv1、魔力付与Lv2+

固有:アイテムボックスLv1+

※身体:低← EーA,S →高

---------------

※金属加工が生えた。金属細工がLv0→Lv0+に。筋力C→C+に。アイテムボックススキルLv1→Lv1+に。

※後、技術スキル一覧が、覚えた順から多少整理された表記になった……何故に?


 ゲームみたいにHPやMPとか自身のLvは無いけどね……


━━━━━━━━━━━━━━━

 ちなみに怪我したり病気など、状態異常になるとその分の表記が追加されるらしい……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る