花火の音

摂氏七十度

花火の音

今日は雀が鳴く快晴、良い日。


両親は朝早くから日帰り旅行へ出掛けて行った。


分針と時針が重なったその時。


交わる初めてのストーリー。


携帯のバイブ音が鳴った。


「もしもし、今、着くよ!」


その言葉通り川崎はすぐ未奈ちゃんと会った。


真昼の駅前、今日は夏祭りで辺りは浴衣を着たカップルで溢れかえっている。


人混みの中、綿飴の香りがする。


綿飴のようにかわいい未奈。


でもいつもより頬が赤い、もしかして体調が悪いのだろうか。


花火に照る未奈の頬は、それによる物以上に赤い。


携帯のバイブは浴衣の中から聞こえてくる。


「未奈ちゃん、もしかしてまたあれ入れてる?」


未奈の鼠蹊部はそう言えば少し、膨らみ気味だ。


ヒュー…バン!


花火が鳴った。


ブルルルルル。


それに隠れて未奈の携帯は鳴った。


2人はお互いに分からないようにプレイを続けた。


「ごめん、携帯取りたいんだけれど、取りにくい場所にあって...。取ってくれない?」


未奈が言う。


ブルルルルル…


ブルルルルル…


「何、もう一度、言って?」


携帯は鳴り続けた。


「んっ///」


「じゃ、じゃーーん//」


実は隠部にあったんだよと未奈は打ち明けた。


「その携帯、防水だったもんね。」


「でも、塗る塗るだと、困るよね?」


川﨑は未奈の隠部に手を伸ばす。


川﨑はその指を、あたかもミュータントに乗っ取られたかのように、未奈の先端を巧みに突いた。


ブルルルルルル...


未奈の鼠蹊部が光っている。


もしかして懐中電灯が付いているのかな?


「何か濡れているな…。此処が特に…。」


川﨑は、未奈の蕾を捏ねくり、突いた。


「ちょっとスマホ見せてよ。」


川﨑は未奈のtwitter基、Xを勝手に見始めた。


未奈のXのリポストはヌチョヌチョだ。


「未奈の隠部にDMをして良い?」


「ちろん🎵」


大量のDMが送られてきた。


ぬちょぬちょぬちょぬちゅぬちょ!


ひゅーーーーーぱーんぱーん


花火が鳴っている。


未奈は花火の火花に負けないくらいの飛沫を上げた。


ぷしゃああああああああ!!


「イーロンマスクになんか負けねーーーぞ!」


川﨑は叫ぶ。


彼は同級生だ。


彼は天才だ。


到底、僕が及ぶ事は出来ない。


彼奴はxを作った。


俺はそれで未奈を行かせる!


未奈の膝は諤々と震えて居た。


僕も未奈に負けちゃいけない。


僕にもDM送って!川﨑は言う。


「嫌だよ、だってまだ相互フォローじゃないもん。」


「相互フォローしよう!」


お互いに、フォローし在った。


未奈と川崎は合体した。


未奈のスマホはより深みへと押し込まれた。


プルルルルル...


今度は未奈の鼠蹊部につけたApple Watchも唸りをあげた。


「ff内から、失礼します!」


未奈のフォロワー数が爆発的に増えた。


二人は抱きつきながら川崎の家に向かっていた。


ピコンッ!ピコンッ!ピコンッ!


未奈のフォロワー数は未だに爆発的に増えて居る。


「未奈のアカウントにログイン!!!」


未奈「川﨑セクハラ川﨑セクハラ」


未奈は目を白黒させながら大声で叫び始めた。


凍結凍結凍結凍結凍結凍結凍結凍結凍結凍結凍結凍結凍結凍結


「五月蠅い!」


強制的に未奈のブロックを解除した。


「再度、ログイン!」


ヌプッ!!!


「川﨑くん…。」


私たちあの時みたいになれないのかな?


駅で抱いてくれたあの時みたいに…。


ぬちょり。


パンッ!パンッ!パンッ!


ピュ〜…


「もっと!」


たーーーーまーーやーーーー


かーーーーぎーーやーーーー


夏は…。


二人はまるで、綿飴のように、空に消える花火のように、どろどろに溶け合ってとても深く逝き果てた。


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花火の音 摂氏七十度 @kawaq

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