『国民査定法のわな』

やましん(テンパー)

『国民査定法のわな』



 『これも、ジョーク・フィクションです。』




 国家議会圧倒的多数の、民人党は、13年前に、ついに、『国民査定法』を、議会で通過成立させた。


 デジタル政府の一貫であるこの法制度を管轄するのは、国民幸福省である。

 

 国民の査定は、全国を5つの区に分けて、毎年順次行われる。


 つまり、5年に一回である。


 引っ越ししたりした場合には、必ず、間が5年になるように調整される。


 査定は、国家ウルトラ・コンピュータさまが行うので、人間の主観は入らない。


 査定は、費用対効果の原則に基づくが、さまざまな例外規定や対象外規定があり、とくに、政治家が除外されているのには、かなり批判があった。


 しかし、名高い政治家一家から出ている、黒血首相は、オカルト的な人気があった。


 その理由は、かなりは、謎である。


 査定は、五段階に分けられ、得点が高い人には、さまざまな、メリットがある。


 最低クラスの人には、そうした、メリットはない。


 もちろん、それで、公式に殺されたりはしないが、そもそも、査定方法が公表されていないし、個人カード情報に搭載されるので、実際にどこで、どう扱われるのかは、いささか、わかんないのである。


 当然、各地で裁判が起こっていた。

  

 あくまで、首相のカリスマ性によってたつものであったが、打つ政策が、次々にみんな当たる(ように見えるし、統計もそれを裏付けている。)ので、人気は衰えず、すでに、15年以上、首相の地位にいた。


 そこで、登場したのが、頭に埋め込む形のマイチップ制度であったのだ。



 さて、それはそれとして。


 毎回、最低、Eランクの、ンンシ、は、不思議に感じていた。


 健康診断の成績は、いつも、職場で最高であり、まあ、健康優良社員である。


 仕事は、最優秀ではないが、まあ、それなりである。


 係長には、同期で1番に上がった。


 しかし、なんで、Eランクになるのかは、わからない。


 会社も、分からないと、言う。


 査定データは、秘密で示されないから、さらに分からない。


 生活に、まるで影響は出ていない。


 なんにも。


 税金は変わらないし、収入にも、影響なし。


 『いったい、査定って、なんだろう?』


 と、みんな言っていたが、Eランクは、実は、社内では、彼だけだったらしい。


 じつは、ウルトラコンピュータさまが、間違いをしていたらしいのだが、最後まで、誰も知らなかったのである。


 翌年、ンンシ、は、あっという間に、悪性のがんで、亡くなった。


 最後まで、それは、分からなかったのである。



         💀


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 

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