百合 短編

春白 ルナ

 振られた親友

「あぁ、もう!あのくそ野郎!急に別れようって言ってきたと思ったら『実は俺結婚するんだよね』ってどういうことだよ!私とは遊びだったってこと!?」


「い〜ぞ〜莉乃~もっと行ってやれ〜!」


「はぁ〜、2人とも飲みすぎだよっ!終電間に合わなくなるしもう行くよ!」


「んだよ〜花〜。もっと飲んでてもいいだろ〜。明日は休みなんだし」


「なに言ってるの!酔った凛の面倒見るのは私なんだからね!もう、雪からも何か言ってやって」


「凛、明日合コン行くって言ってたけど帰らなくていいの?」


「あっ、そうだった〜。早く帰るぞ〜花〜」


「変わり身早っ!てかなんで一緒に帰る前提なの」


「ん?送ってってくんないの?」


「うっ、まぁ送るけど」


「よし!じゃあさっさと帰るぞ〜。莉乃〜雪〜私ら別方向だし先帰るね〜」


「ごめんね、雪。莉乃は任せた」


「うん、じゃあまたね」


「あの野郎、私は本気で付き合ってたのに、『莉乃も本気じゃなかったんでしょ』とか言って、私は…」


 はぁ、だいぶ酔ってるな。


「莉乃、そろそろ帰るよ」


「やだ、まだ愚痴沢山あるから言い終わるまで帰んない」


「また明日愚痴聞いてあげるから今日はもう帰るよ。ほら、立って」


「…うん」


「ありがとうございやした〜」


 外は寒いな。ていうか今何時…終電逃した。はぁ〜どうやって帰ろう。タクシーここからだと結構お金かかるよね、足りるかな。


 …所持金6000円か足りないな。


「莉乃、今お金どれくらい持ってる?」


「えっとね、2000円しか入ってない」


 はぁ〜帰れない。ネカフェなら安いかな。どこにあるんだろう。


 ポツポツ、ザー、ザー


 うわっ、最悪。急に降ってきた。取り敢えずどこかに……ここ、仕方ないか。


 とっさに、目の前にあったラブホに入ってしまった。でも、値段は安いしベット広いしお風呂もついてるから結構いいかも。


 けど、私にはまだ仕事が残っている。


「莉乃、服濡れてるから脱いで」


「ん〜1人じゃ脱げない、手伝って」


 はぁ〜最悪。人の気も知らないでそんな無防備にして。彼氏がいるから我慢してたけど今はもういないし、そんなふうにされたら我慢するの大変じゃん!


「わかったから、腕上げてーーよし、それじゃあここにおいてあったバスローブだけど、羽織っておいて」


「…うん」


 疲れた、お風呂入って私も寝よ。


 はぁ〜スッキリした。


 うっ…うっ…うぅ〜


「莉乃、泣いてるの?あんな最低な男のことなんて忘れちゃいなよ」


「うぅ〜、私のことが1番、好きって言ってたのに」


「…私は莉乃のことが1番好きだよ」


「本当?嘘じゃ、ない?」


「うん。嘘じゃない。莉乃は?私のこと好き?」


「うん!私も雪のこと1番好き!だ~いすき!」


 っ、可愛すぎるでしょ。


「それなら、あんな男のことなんて忘れて私と恋人になってくれる?」


「雪と?うん!いいよ」


「良かった、それじゃあもう寝よう」


「うん、おやすみ雪」


 スースー


「フフッ、おやすみ莉乃」


 チュッ


 眠った莉乃に軽く口づけをして私も眠りについたのだった。


「んんっ、あれ、ここどこ?」


「おはよう莉乃」


「え?雪?どういうこと?」


「昨日終電に間に合わなかったから、2人で泊まったんだよ」


「あっ、そうだったんだ!ごめんね、迷惑かけて」


「ううん、全然大丈夫だよ。それより、私と恋人になるっていうの忘れてないよね?」


「へ?どういうこ『チュッ』へっ!?え、な、何を」


「フフッ、これからよろしくね莉乃!」








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