第3話 ギフトコード
ハルトのスキルでオークの足場を固めた事によって、ハルトは討伐に多大なる貢献した。
――かと思いきや。当のオークは「ん?今なんかした?」と言わんばかりに蹴散らす。
「もういい、お前は引っ込んでろ!」
――俺は足止めさえも出来ないのか…。
ますます自己嫌悪に
女魔法使いがクラスメイトにバフをかけ、そのクラスメイトは雷や氷、炎など様々なスキルで応戦する。
「死ねぇぇぇええ!!斬鉄ッ!!」
そしてレッドオークが怯んでいるうちに、御堂が剣を額に突き刺し、討伐した。
「御堂、すげぇなぁ!!」
「俺にかかればこんなもんよ!」
一同は御堂の元へ集まり、称賛の声を浴びせている。しかし、みなチラチラとハルトの事を厄介者のように見ている。
「は、ハルトくんももっと他に出来る事がきっとあるから、気にしないで?」
「あ…うん、ごめんね、香坂さん」
レッドオークという大物を仕留めたことにより、早めに切り上げハルトたちは再び王宮へと戻ることになった。
――王宮に戻ってから、何故かハルトだけ王様に呼び出されていた。
「――時に、タナカハルトよ。お主、その…辛くないのか?」
「…と言いますと?」
どこか言いづらそうに、王様が聞いてきた。
「お主のスキルはとても、戦闘向きだとは言えんようなものだ。最低限暮らしていける金を用意するから、魔王討伐には参加せずに庶民として暮らしてみてはどうだ?」
――それはつまり、遠回しに「お前は弱く、強くなる見込みも無いから戦わなくていいぞ」と言っているのだ。
―たしかにさっきあの森で実際に魔物と対峙して、俺のこのスキルとステータスでは強くなるのは無理があると悟った。
…悔しいがここは王様に従おう。あいつらとも早く離れたい。
「――わかりました。今日の夜、ここを出ていきます」
「うむ、そうするとよい」
ハルトはとても複雑な思いを抱え、部屋に戻った。
現代では出来なくても異世界でなら返り咲ける、そう思っていた。だがそれは間違っていた。
「…なんで俺はいつもこうなんだよ」
――数時間後、俺は金貨5枚を受け取って王宮を後にした。
女魔法使い曰く、宿に半年泊まれる位の金額らしい。
毎日ひっそりと”造形”でフィギュアでも作って売るかなぁ…
ハルトは宿を探しながら下町を歩き、やっと見つけた宿に入った。
「いらっしゃいませー。何泊のご予定ですか〜?」
「とりあえず、1週間で」
犬耳の女の子だ。家の手伝いをしているのだろうか。奥のキッチンでは母親らしき人物がせっせと料理を作っている。
「ええと、食事無しなら大銀貨1枚、1日2食付きで大銀貨3枚です〜」
「じゃあ、食事付きでお願いします」
そしてハルトは手元の巾着から金貨1枚を出してカウンターに置く。
女の子は目を丸くし、受け取る。
金貨というのはやはり、とても価値が高いのだろう。
「え?あ、はい、じゃあ、大銀貨47枚のお返しです〜」
なるほど、金貨1枚で大銀貨50枚の価値があるのか。これなら当分困らないな。
小銭がジャラジャラ増えて、少し金持ちになった気分だ。
ハルトは案内された部屋に入り、ひとまず窓際の椅子に座った。
「――これなら、元の世界でゲームとかしてた方が100倍マシだったな…異世界を夢見た俺が馬鹿みたいだ」
やることも無いので、ステータス画面を開く。
―――――――――――――――
〈タナカ・ハルト Lv1〉
EXP:0/20
【種族】人間
【職業】無職
HP:55/55
MP:20/20
攻撃力:15
防御力:3
魔法力:20
幸運:90
速度:15
【スキル】
「造形Lv1」
「報酬増加Lv1」
―――――――――――――――
「……ん?」
見覚えの全く無いスキルがある。
なんだこれは…?
ハルトはスキルをタップし、スキル詳細を開いた。
『モンスターのドロップ率増加、様々な報酬の増加。増加率は幸運値に依存します』
――なるほど、モンスターを倒せればかなり有用なスキルなのだろうが、倒せない俺には全く無関係だ。
画面を戻し色々確かめてみる。
―その時ハルトは、右下に小さく「ギフトコード入力: 」と表記があるのを見つけた。
「ギフトコードだと…?ゲームでたまにあるあれか、アイテムが貰えたりブーストが付いたりするやつ」
異世界でギフトコードがあるのは面白いな。
ここに何か入れてみれば適当な何かが貰えたりしないだろうか…?
――今ふと思い出したが、田中家には代々伝わる言葉がある。
それは、「神は我らの宿敵なり」だ。
なぜ神なのか、色々と意味不明すぎる言葉だが俺は気まぐれでその言葉を入力した。
「ええと――神は我らの宿敵なり…っと」
そして突如、ステータス画面に文字が現れた。
―――『ギフトコード入力に成功しました!報酬を付与します』
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