『デジタル人間の恐怖』

やましん(テンパー)

『デジタル人間の恐怖』


 『これは、ジョークです。』



 人類のデジタル化が終わり、5000年が経過した。


 地球人類は、身体をやめてしまい、すべてをデジタル化したのだ。


 ある、地球デジタル人間大臣が言った。


 『まあ、わたしは、わたしであり、わたしではないですわ。』


 実際に、そこには、彼女がいた。


 確かに、建物はあるし、大臣室もあるのだが、しかし、実は、誰もいない。


 まさしく、むかしの、SFが実現されていた。


 ある、補佐官が答えた。


 『ぼくだって、ぼくではありません。』


 つまり、デジタル人間に、個人は存在しない。


 その場に漂う粒子から、記憶された一定の姿を構成する。


 だから、生態記憶領域には、各種、名高い人類のデータが揃っていた。

 

 一部は創作だけれど、人体情報がある人は、事実上、本物である。


 記憶領域といっても、機械には頼らない。


 それは、全体の記憶であり、粒子すべてが記憶している。


 たとえば、今日みたいに、宇宙人がやってきて、アナログ的接触が必要ならば、それに適した人物を再構成するのである。


 協議には、すべての粒子が関わり、決まりは、すべての粒子が実行し、守り、たまには、相手に協議を要請する。


 約束された、あらゆる物質、物体は、自由に生産できるし、廃棄も完璧だ。


 なんでも、宇宙に輸出できる。


 最高の、ビジネス・パートナーになるのだ。


 映画をみることも、音楽を聴くことも可能だが、個人的に鑑賞するわけではない。


 その音楽も、絵画も、文学も、もちろん、創作もできる。


 データがある、あらゆる天才を再構成可能だからだ。 


 肉体を構成すれば、楽器の演奏もできるし、歌も歌える。


 エネルギーは、宇宙が有る限り無限である。


 できないことは、ほぼない。


 たまに、異常粒子ができるが、それは、削除されるから、病気はない。


 病人を作ることは可能だが。


       🌏️


 あるひ、そんな地球人と交易するために、人類型惑星人、ザル・ソーバ人が、遥かな銀河から、やってきた。


 彼らは、地球人について、一定の情報は持っていたが、実態については、あんまり、理解ができていなかった。


 『個人がない、というのは、どういう、気分なんだろな。死なないらしいし。』


 『いや、みな、死んでいるんだ。個人の意識はない。情報が流れるだけだ。身体を再構成したときだけ、そいつは、意識を持つが、用が終われば、いわば、死ぬんだ。しかし、そうした、概念はない。生はなく、死もない。生は暗く、死もまた暗いのだ。いやいや、おそらくは、そうした、感慨さえ、刹那しかない。きっとね。』


 『疑問に持たないのかな?』


 『そうなんだろう。そのように、進化したんだろ。』


 『はあ〰️〰️〰️😅 しかし、こんや、彼らと打ち上げだろ。どうやるんだ?』


      🍻

 

 が、そんな、心配はまったく要らなかった。


 パーティーは、完璧だった。



 

 しかし、宇宙船に帰って、惑星『ザル・ソーバ』に戻りかけていた、彼らは、わーぷの直前に、見たのである。


 『あの太陽が、超巨大フレア爆発したぞ。たいへんだ。地球の生態粒子が、吹き飛ばされたみたいだな。取り引き終了だ。』


 

       🙇🙇🙇🙇🙇


 

 


 


 

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『デジタル人間の恐怖』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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