#5日目
―ギイ、ギイ。
座っていた椅子から、そんな音がする。
刑務所の個室の小さな窓から見える太陽の光
それが俺を薄く照らした。
窓から入る眩しいまでの光は、俺の中の吐き気とよく合わさって最悪の気分だ。
…たぶん、記憶は全てを取り戻した。
欠けていた…抜け落ちていたピースが、まるでずっと前からハマっていたような感覚さえする。
「記憶がないこと」がデフォルトだったから、若干の違和感はあるが…
それより…俺は何をどうすればいい…?
俺のこの罪は、ほぼ
…だが、自殺幇助で済ましてしまうには…あまりにも…
…あまりにも…アイツが報われないんじゃないか…?
看守さんから聞いた、俺の罪はこうだ。
ある日、俺はかねてからの友人である、俺の旧友…ここでは、Aとしておこう。
そのAと、久しぶりにあって旧交を温めていた。
そして、結論から言うとそのAは、薬に手を出していた。
動機は分からない。
俺も少しだけしか聞けなかった。
その言葉も…『なんとなく…』だった。
なぜ、どうして…?
当時の俺はそう考え、もう一度Aの家に行った。
そこでAは自分でも止めたい。けど止められない。
そんな考えに囚われていた。
そこにちょうど俺が来ていたので、折角ならと、自分1人ではやりにくかった準備を進め、俺に自殺を手伝わせた。
そして…Aは…
というのが、警察が導き出した結論。
流石警察サンだ、おおよそ合っている。
少しだけ違うのは…
アイツは、俺の手で殺した。
それだけだ。
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