独身貴族と7人の娘

キスイ鉛

序章

第1話 悪夢の始まり

 俺の名前は、東堂満。


 34歳の男、今まで付き合った女の数は0人。

 童貞である。


 学生の頃は、何人の女から告白を受けたが、その全てを断り、趣味の小説を書いていた。

 他にも、音楽や絵を書いてみたり、一時期は将棋や麻雀にハマっていた時があったな。


 好きで一人で居るのに、周囲がそれを良しとしない。そんな環境の中、学生をしていた。



 大学に進むと、嫌でも人付き合いをすることになった。

 男限定で友人?を作り、いろいろと経験をした。卒業の時、その友人?と会社を作る事になり、社会に出た。


 結果的に、その会社は大企業になるまで成長してしまい、それに伴い人付き合いが増えてしまった。

 俺は、タイミングを見てその会社を退職し、現在に至る。


 会社の給料を投資に回し、大金を得て暮らしている。

 これが、今のメインのお仕事。


 副業として、小説を書いたり、音楽を提供をしていたりしていた。


 何故か分からないが、俺が書いた小説は売れに売れまくってしまった。ミリオンセラーになるほどに売れてしまった。


 やめて欲しい、「次の小説はまだですか」の催促されるのは困る。


 音楽に関しては、ある動画配信サイトに投稿したのが、とある企業の目に留まり、映画の主題歌の作成依頼が来た時があった。その映画が大ヒットして仕事のオファーが増えたんだ。


 やめてくれ、「次も期待してます」は俺にとって負担なんだ。



 1人で居たいのに....好きに生きたいのに....誰も分かってくれない。


 俺の人生は、こんな感じに進んでいた。




 ☆☆☆☆☆




 そんなある日、俺の兄弟から連絡がきた。


 次男からの電話だった。



「よう、満。結婚したか?」


「それ、流行っているのか。アタルサトルも最初の言葉が結婚したかって言ってくるんだよ」


「お前だけ、四兄弟の中で結婚してないからな。俺達の中で一番の金持ちなんだから、すぐ結婚できると思うぞ」


「前々から言ってるけど、答えは『する必要を感じない』だ」



 俺達は、四兄弟である。


 上から長男のアタル、次男のシゲル、三男のミチル、四男のサトル


 兄弟仲は良好である。だけども、俺以外の奴らはすでに結婚して子供までいるんだ。

 奴らは俺に連絡してくると、必ず「結婚はいいぞ」って言ってくるんだ。


 その点に関してだけ、こいつ等のことが嫌いだ。



「それで、何の用だ。」


「悟の奴が、福引で海外旅行を当ててな。それで、丁度いいからみんなで海外旅行に行かないかって言う電話」


「みんなとは?」


「俺達と嫁達だよ」


「子供は?」


「置いていくよ。丁度、夏休みだからな。子供達を兄弟誰かの家に集めて、みんなで生活してもらおうかなってなぁ」


「はぁ。どこ家の予定なんだ」


「第一候補はお前ん家。広くてセキュリティー万全で、立地も最高な一軒家。ダメか?」


「俺の部屋に入らなければ....って、俺は行く気ないよ」


「えっ!? 行かないの、なんで?」


「旅行に行くなら一人で行きたいからだ。決して、疎外感を感じるとかではない」


「変わんねーなお前は....なら丁度いいわ、お前に子供達任せるわ。よろしく~」


「おいっ! 勝手に決めんな。くそ....切りやがった」




 俺は、あいつ等の子供達を預かることに決まってしまった。


 その日、あいつ等の子供達が俺の平穏な生活を壊す悪夢を見た。


 もう朝なんて、最悪な目覚めだった。




 ☆☆☆☆☆




 そして、子供達を預かる日となった。


 俺の家の前には、3台の車が止まっている。

 遠路はるばる、ここまで車で来たんだ。


「久しぶり、みちにぃ。うちの娘たちよろしくね。」


「よう、満。こいつら頼んだぞ。」


「任せるぞ。」



「えっ! 嫌だが」


「おい、茂。話が違うぞ」

「あれれ? しげにぃ?」


「落ち着け、2人とも。満、預けるのオッケーって言ったよな」


「言ってないが、断る前に電話切られたからな」


「その後、断る連絡なかったからオッケーって思ったんだけど、違った?」


「今日まで毎日悪夢見て、熱出て寝込んだ」


「そうか、でも、もうここまで来ちゃったんだから娘たち頼んだよ」


「おいっ!」


「あっ、ついでに車2台置かせてもらうね。空港まで悟の車1台で十分だから」


「はぁ、もう勝手にしろよ。俺は寝る、子供の荷物は勝手に入れておけよ」


「は~い。満の了承も取れたことだし、降りてきていいよ」



 俺は車から降りてくる娘達を見ることなく、家の中に入った。

 そのまま、自分の部屋に戻り、布団の中に潜る。


 部屋の外がガヤガヤと煩くなってきたので、イヤーマフを着けて眠る。


 起きたのは、日が暮れる夕方の時間であった。

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