第32話 善は急げ、思い立ったが吉日

「んー……じゃあさ、もう王様に会っちゃわね?」

「え、」 「「良いねそれ。」」 「はっ?」


 いやいやいや、王様も王様で忙しいだろ。何考えてんだこいつ。


「 “起きてとりあえずは元気です~” って挨拶も兼ねて。」

「何が何でも軽過ぎるだろっ!!」

「おし、俺校長先生に報告してくる。」

「何で煌溟が……。」

「愁翔、部屋から俺とお前の分の式典服引き摺りだしてきてくれ。」

「へーい。」

「蓮燔は……うん、言わずとも分かりそうだな。」

「あぁ。俺と奏の分の式典服は燃えてない。ほら、これ着て。」

「俺の意見が完全に無視されてる件と、俺の事なのに俺を完全放置してどんどん話を進めていく件について今直ぐにでも問い詰めたいんだが。」

「それ、見た目はただのちょっと豪華なだけのローブに見えるかもしれないけど、ちゃんとこの学校の式典服だから。」

「聞いてない。」

「制服の上からそれ羽織って。ほら、早く。」

「俺の話を聞け。」


 実際、半ば投げるように渡されたこの学校の式典服だというローブはあまり普段羽織っているローブと何か違う所があるように思えない。あるとすれば、多少肌触りが良い事。後はまぁ布の裏に術式のような物が普段着ている物よりもびっしりと書かれている事ぐらいだろうか。


 まぁ、着るだけだし……。別に良いけど。


「王宮から迎え寄越すってさ。」

「返答早過ぎだろ! ……というか、お前らも行くのか?」

「「「お前まだ体調万全じゃねぇだろ!!」」」


 うるせぇ、この至近距離で叫ぶな。

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