部活の仲間探し

 ――次の日の昼休み。

 オレとメガネと文豪は、屋上で昼ごはんを食べていた。

 オレが口を開く。


「そういえば、部活を作るのはいいけど、どうしてゲーム制作部なんだ?」


 すると、メガネは目を輝かせて言った。


「オレ、前から3人で何か作ってみたいと思ってたんだ。それで、ゲームなら3人の得意なこと生かしておもしろいゲームができるんじゃないかって思ってさ」


 なるほど。

 オレは絵を描くのが得意で、メガネはパソコンでソフトを作るのが得意で、文豪は話を書くのが得意だ。

 メガネは続ける。


「それで、担任の先生に昨日話したら、顧問の先生と部員5人で部活作れるって言われたんだけど……」

「顧問と部員が足りないな」

「そう! 顧問の先生はオレが仮入部してる情報部の先生からゲームに詳しい先生紹介してもらえることになったんだけど、部員があと2人必要なんだよ」


 話を聞いていた文豪が、苦笑いしながら手を挙げた。


「あのー……そもそもオレ、ゲーム作るのに必要な人数がわかりませーん」


 メガネが数えるように指を折りながら言う。


「絵を描くイラストレーター、ソフトを作るプログラマー、脚本を書くシナリオライターの他には、みんなをまとめるディレクター、音楽を作る歌手と作曲家、キャラクターに声をあてる声優が必要かな」

「へー。じゃあ少なくともオレ達入れて5人以上は必要じゃん」


 文豪がブリックパックを飲みものを飲みながら言うと、メガネはうなずいた。


「というわけで、部活に入ってくれる仲間を探そうと思うんだけど……2人とも誰か部活に入ってくれそうな思い当たる人居ない?」


 オレの頭に篠原の姿がよぎる。


「1人居る……けど……」


 けど篠原がオレ達の部活に入るともしかしたら篠原の秘密がバレるかもしれないし……。


「けど?」


 無意識に呟いた瞬間、2人に詰め寄られてオレは思わず焦る。

 オレはせいいっぱい取り繕った。


「けど……その人ゲームに興味ないって言ってたからオレ達の部活に入ってくれるかはわからないんだよな」


 ごめん篠原、本当は興味あるよな。

 文豪が言った。


「でも、わからないってことは入ってくれるかもしれないってこと?」


 とっさに口に出した細かい言葉の意味をツッコまれる。

 さすが文豪、いつも小説書いてるだけあって鋭い。


「あ、あー……まあそういうこと……」


 メガネが言った。


「じゃあオタク、その人に頼んでみてくれよ。『オレ達の部活に入ってほしい』って」


 その展開は絶対避けたかったのに!

 オレはそう心の中で叫んで、苦笑いをするしかなかった。


「……わかった。頼んでみる」


 そして、オレは自分の家に帰ってから篠原の家に行った。


「え!? ゲーム制作部!? 入りたい!」


 篠原に話した瞬間、二つ返事でオーケーだった。


「篠原ならそう言うと思った。でもいいのか? もしかしたらオタクだってバレるかもしれないし、オレ達文化部と違って体育会系の演劇部と兼部になるだろ?」

「そこはバレないように私が頑張るところだよ。演技の経験を積むのはいいことだし。どんなゲーム作るかはもう決めたの?」

「作ろうと思ってるのは恋愛ゲームで、案で出てる話はこんな感じ」


 そう言って、オレは放課後に3人で考えた案をまとめた冊子を見せる。


「3人でもうこんなに考えたんだ」

「放課後3人で打ち合わせしてたら盛り上がって、紙が1枚じゃ足りなくなった」

「私もどんなゲームになるか楽しみ」


 ――こうして、ゲーム制作部の部員は4人になり、声優が決まった。

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