夜舞神社と抱え人

永遠

プロローグ


 「……。」


 ある日の夕暮れ。尚美は公園のベンチに座り込んでいた。彼女の目に色はない。

それもそうだろう。先程、来年の春に中学生になる予定だった娘の葬儀を終えたところなのだから。


「帰らないと…雅人も待ってる…」


 尚美はわかっていた。夫、雅人が空元気を見せていることを。

だが、通り魔に刺されて…そんな理不尽な事故に巻き込まれた娘の死。本来なら正気を保つことすら難しいはずだ。尚美のように。それでも自分のために、泣かずに慰めてくれる。同じように苦しいのに、辛いのに。泣いていいのに。



我慢しなくていいんだよ…雅人…辛いのは同じなんだよ…



 その言葉を伝えるため。帰ろう、と尚美が立ち上がった直後。


「ここ…どこ?」


 目の前の景色が急に変わり、公園にいたはずの尚美は神社の前に立っていた。

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夜舞神社と抱え人 永遠 @towanante

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