クラスの美少女お嬢様のお世話をすることになった俺、重たい愛を向けられて困っています。
神月
第1話 金欠
「お金が尽きた」
俺は端的に、席に座って今の財政状況を高校に入ってからの友達である
「それ今月で何回目だ?」
「14回目、親友の危機の回数ぐらい覚えてて欲しい」
「あのなぁ、俺だって五回目ぐらいまでは覚えてたんだぜ?でもそれこそ14?回も聞いてたらいい加減危機感も無くなるって」
蓮の言っていることはもっともだが、俺だって毎回適当に言っているんじゃない、毎回命に危機を感じながら言っている。
現在高校三年生、もう来年の年始には受験があるという中、俺はとにかくバイトをしまくってお金を貯めていた。
何故学生がそんなことをしないといけないのか?
理由は、両親はもう何年もどこかに消えていて連絡が付かず、高校二年生の妹は居るがその妹は一年前から「お兄ちゃん!私海外で稼いでくる!」と突然海外留学を決意して居なくなってしまったため、今はとにかく一人で頑張るしかないという状況だ。
「そう言ったって、俺は本当に危機なんだ」
「だったらいつも言ってるけどもう賃貸やめて俺の家住めって、お前がいつ来ても良いように女の子からの告白断ってるんだからな」
「蓮……」
「そんな感動すんなって、俺たちももう長い親友────」
「最低だな」
「はぁ!?」
俺が感動して沈黙していると思っていたらしい蓮に、俺はしっかりと思ったままの感想を伝えた。
まだ俺が蓮の家に住むと自分から言ったことも無い状況で、それを理由に女子からの告白を断っている。
最低以外の何者でもない。
「恋愛より友情を優先してる親友に最低ってなんだよ!?」
「最低じゃ無いなら他になんて言えば良いんだ?」
「対義語の最高に決まってんだろ!」
「絶対に無い!大体、蓮はモテてるんだからもっと女子に優しくしたりしてみたらどうだ?せっかく彼女を作って青春できそうなのに損してる」
今言った通りだが、蓮はモテている。
部活はバスケ部に所属していてエース、さらに容姿も茶髪で髪の毛をところどころ遊ばせたりしていて、むしろモテない方がおかしいといった方が合っている……が、本当にさっきの理由だけなのかはわからないが、蓮は彼女を作ろうとしたことは一度も無い。
「損してるって言ったな!?損してるってんならお前だってそうだからな!俺前廊下で『
「仮にそうだとしても、俺は損してない……元々、恋愛に使える時間なんて一つも無いからな」
たまに蓮と遊びに行ったりはするが、それ以外はバイトをしているか勉強をしているかで、とにかく恋愛に使っている時間なんて俺には存在しない。
「でも、蓮は違うだろ?時間に十分余裕があるなら、ちょっとぐらい恋愛を楽しんでみたって────」
「バカなこと言うなって、俺にとっては恋愛も友情と一緒に楽しみたいんだから、綾斗と一緒じゃないと意味ねぇんだよ!」
そう言いながら蓮は突然俺にプロレス技をかけてきた。
「良いこと言った後でもこんなことされたら────」
「そうだ、綾斗に興味ある女の子って言ったら、最近教室で
「え?」
俺はプロレス技の強さが緩まったと同時に白鳥さんの方を見てみたが、白鳥さんは特に変わらずいつも一緒に居る囲いの人たちと話している。
「蓮、今の嘘にはどういう意味があったんだ?ジョーク?」
「嘘?い、いやいやいやいやいや!嘘じゃねえって!マジで見てたんだって!俺じゃなくてちゃんと綾斗の方をな!?」
「そんなわけないだろ?」
白鳥さんと言えば、綺麗な白髪で整った顔立ちをしていて、お金持ちという言葉すら裸足で逃げ出す超お金持ちだ。
そんな人が一体どんな理由があれば俺のことを見るのか。
「あぁ、でも一瞬俺の方も見てたような気がするな……」
「じゃあ本題は蓮だったんじゃないか?」
「殺意の目で」
「殺意!?」
蓮に殺意の目を向けていた……?
ますます状況が理解できない、やっぱり蓮の冗談か?
「とにかく、白鳥さんが俺の方を見てたなんてありえない」
「まぁ、そうか……?」
「そうだ……それより、お金が無い件をどうにかしないといけない」
「俺の家に泊まるってのは?」
「無し」
「ん〜、どっかに高時給のバイトでもあればなぁ」
それからしばらく話し合ったが、結局俺がお金が無いという現実には何一つ変化は起きずに、ただ時間だけが過ぎて行った。
そして放課後。
「俺今日部活あるから、先帰っててくれ」
「あぁ、頑張ってな、エースさん」
「おう!今日は百点ぐらい決めるかな〜」
なんて呟きながら、蓮は教室から出て行った。
……はぁ、本当にお金の問題をどうしたものか。
ひとまず、俺も家に帰るために教室から出────
「ちょっと良い?」
俺は聞き馴染みの無い声で後ろから引き止められたため、後ろに振り返ると、そこには今日蓮とも話していた白鳥さんから話しかけられた。
「あ、はい……なんですか?」
俺は同級生か後輩なら、相手が女の子でも特に気にせずにタメ口で話すが、相手が白鳥さんともなると敬語を使わざるを得なかった。
……近くから見ると透明感のある肌と、水色に輝く目がとても綺麗で、それ以外も容姿が整っているということを再認識できる。
「皇くん、今お金に困っているの?」
「え?」
どうして白鳥さんがそのことを知っているんだ?
一瞬そんな考えが過ったが、蓮の声量は時々大きいことがあるし、そのぐらいは耳に聞こえていてもおかしくない。
それに、今月だけでもう14回もそんな話をしていれば、軽くそのことが他の生徒に知られていて間接的に白鳥さんの耳に入っていたとしてもおかしく無いか。
「困ってはいますけど……それを聞いてどうするんですか?」
「今は時給何円ぐらいで働いてるの?」
「そんなこと聞いてどうするんですか?」
「良いから答えて」
なんなんだ?
もしかして、自分はお金を持ってるのに俺はお金を持っていないという状況で俺のことを哀れんでるのか?
……そんなわけが無いと思いつつも、俺はそんな考えが頭の中に残ってしまって口が重くなってしまったが、どうにか口を開いて言った。
「大体千円ちょっと、ぐらいですけど……」
「そう……今日高時給の仕事がどうのって話してたけど、実際どのぐらいの時給で働きたいの?」
「どのぐらいって……そんなの、高ければ高いだけ良いですよ」
「高ければ高いだけ、ね……うん、もう帰って良いよ」
「は、はぁ……」
結局、今のは何の時間だったんだ?
……お金持ちの人が考えることは想像もできないな、俺は白鳥さんが何を考えていたのかを考えることを早々に諦めて、バイトに励むことにした────
「よし、今日も無事完了だな」
バイトが終わり家に帰ると、ポストに一枚のチラシが入っていた。
『時給百万円!あなたも今日から夢の生活!住み込みバイト、三食付きで個室もアリ!ほとんど何もせずに稼げる夢のバイト!今すぐ応募! 電話番号 △△△-○○○○-○○○○』
という表記に加えて、とても豪華な金色の装飾が施されていた。
……どう見ても詐欺だな、このビックリマークの多さが詐欺感を増している。
俺は家に帰るとそのチラシをビリビリに破って、ゴミ箱に捨てた。
その次の日。
何故か、俺の席に白鳥さんが来て、少し怒ったような表情をしていた。
「皇くん、電話が無かったんだけど?」
……電話?
◇
甘々で激重な大物美少女たちが、俺を養いたいと言いながら過激に迫ってくる件────という最新作を公開させていただきました!
ご興味をお持ちいただけた方は、そちらの物語も併せてお読みいただけると幸いです!
↓作品URL
https://kakuyomu.jp/works/16818093089472865717/episodes/16818093089472888773
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます