第5話 船②
「さっきの情報屋を語っていた少女は
“
「...。」
「あら、驚かないのね。」
「まあな、あの違和感が“
「なるほど...。貴女が言うと納得のいく言葉ね。」
「で?一つ疑問に思ったが、何故、お前が知ってるんだ?」
そして、地面に落下するシャンパングラスが割れる音の代わりに
「“
という、言霊を
--------------------------------
「魔女は他の魔女から名前を呼ばれることを嫌う。だから、言霊か?」
「しかし、何故、“
「そうね。不自由は、ね。」
「誰だ?」
「私は教会の騎士団所属のサラ=アクレシア。」
「教会の騎士様がなぜここに?」
「所属はそっちだけど私の本職は
―
サラは腰につけた刀を抜き
「―澄み渡れ―“
「妖刀かよ!?」
次の瞬間、
「直撃ね。私の勝ちよ死神。」
サラの妖刀の力であれば
「船に対魔処理がしてあって助かった。船は、ね。これで確実に...。」
「誰が確実にだって?」
サラは声のした方へめを向ける。ベンチから伸びる焼け焦げた跡の先に無傷の
「ヒヒヒ。騎士のくせに妖刀かよ。びびって反応が遅れたじゃねーか。」
「...死神?。
「んあ?確かにオレは
「ならば、何故?」
「それは...。」
「還元にしたら早すぎー。」
その少女の名を
「
二人に挟まれる形になった
「だから、私は言ったんだよー。こんなところで仕掛けずに聖都でってー。」
「けど、もしもを考えれば妥当な判断のはずよ。少なくともお前よりは、ね。」
「えー。でも、失敗して―」
「ヒヒヒ。オレ抜きで話をするんじゃねーよ。」
「ヒヒヒ。じゃあな。」
「何これー?」
ポトリポトリ液体の落ちる音。その音を聞いたのは3人。その液体を見たのは2人だった。
そして、
「そいつが死んでも問題はないだけど。私は、ね。」
「お前のご主人も難儀なやつだな。あの野郎ごとオレをそれで消し飛ばせば良かったものを。」
「少なくとも、死なないでしょ。貴女は、ね。」
「まあ、どっちでもいいんだけどな。」
「逃げられたか。」
「妥当な判断ね。あの子にしてはの話だけど。」
「まあ、いい。おまえだけでも。」
「なるほど、それが貴女の固有式ね。」
「ん?いや、まあ、そうっちゃそうだな。」
「?!」
(抜けない...。まさか...。)
「そうね。時間切れね。私は、ね。」
「...。お前のご主人の登場かよ。」
「えぇ。でも、貴女の前に現れることはないわ。少なくとも、聖都までは、ね。」
消えた。まるで初めからそこで何もなかったように。
元に戻った。というのも適切ではない。
ここで、起きたことは初めからなかったことになると予定されていたかのように。
既に
「ちっ...。」
ここでの出来事は歴史に記録されることはない。今この場に関わった4人。そして、この場を遠くから見ていた人物の記憶に不完全な状態で記録される。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます