闇の歌声カラオケ―永遠の廃墟と忌み嫌われた場所―

O.K

第1話:不気味なカラオケ店

夏の夜、高校生の仲間たちは暑さを逃れるために街を歩いていました。何か新しい冒険を求めて、彼らはふと目にした古びた看板に興味を持ちました。そこには、長年営業していないと思われるカラオケ店の名前が書かれていました。「闇の歌声カラオケ」という不気味な名前に、彼らは胸を躍らせました。


カラオケ店は廃墟のように見え、周りには人の気配がありませんでした。高校生たちは興奮と不安を胸に秘めながら、カラオケ店に足を踏み入れました。中に入ると、ひっそりとした雰囲気に包まれ、壁に張り巡らされた古びたポスターや廃墟となった機器が彼らを出迎えました。


部屋の片隅には、カウンターにたたずむ不気味な店主が座っていました。彼の顔は陰鬱で、薄暗い部屋に似合ったような不気味な笑みを浮かべていました。店主は高校生たちを無言で迎え入れ、黙ってカラオケの部屋を案内しました。


カラオケの部屋に入ると、そこには古びた機器とひどく傷んだカラオケのステージがありました。高校生たちは興奮しながら、自分たちの好きな歌を歌い始めました。しかし、歌っている最中にも、どこか不気味な空気が漂っていることに気づきました。部屋の温度が急に下がったようで、背筋が凍りつくほどの寒さを感じたのです。


歌いながらも、彼らは部屋の奥のほうに何かが見えることに気づきました。影がちらつくその場所から、何かが覗いているような感じがしましたが、よく見ると何もないようでした。それでも、誰もその場所に近づこうとしませんでした。


歌を楽しむかのように時間が経過し、高校生たちも楽しいひとときを過ごしていましたが、突然機器が異常を起こしました。音が途切れ、画面には奇妙な映像が映し出されました。それは、何か闇に包まれたような場所で、不気味な歌声が聞こえる光景でした。


戸惑いながらも、高校生たちは機器を修理しようとしましたが、どんなに操作しても音が戻ることはありませんでした。その時、店主が突然に現れ、陰鬱な声で「闇の歌声は消せん」とつぶやきました。


高校生たちは驚き、恐れを抱えながらも彼の言葉に耳を傾けました。店主はさらに言いました。「このカラオケ店には、かつて狂気の歌手がいた。彼の歌声は美しかったが、その心には闇が宿っていた。彼の歌声は一度聞いた者を惹きつけ、そして、その者の心を闇に導くのだ」


高校生たちは胸を押さえながら、恐怖に顔を歪めました。彼らはこのカラオケ店に足を踏み入れたことが間違いだったと感じていました。しかし、部屋のドアは閉ざされ、外への出口は見当たりませんでした。


すると、部屋の奥の影が再びちらつき、その中から闇に包まれた歌声が聞こえ始めました。高校生たちは耳を塞ぎながら、その歌声によって引き寄せられるように近づいていきました。次第に、彼らの心にも闇が広がっていきました。


そして、一番最初にカラオケを歌った仲間が、歌声に誘われるままにステージに上がり、不気味な歌を歌い始めました。彼の歌声は美しくもあり、同時に異様でした。それを見た仲間たちは恐れを抱え、彼を止めようとしましたが、誰も声を出すことができませんでした。


その後、一人ずつ仲間たちが闇の歌声に惹きつけられ、ステージに上がり続けました。彼らの歌声も次第に闇に染まり、恐ろしい旋律が部屋に響き渡りました。高校生たちの姿が次第に薄れていき、闇に飲まれていくようでした。


最後に残された一人の高校生は、恐怖と絶望に包まれながらも、その場を逃れる方法を探しました。必死にドアを探しましたが、すべての出口は閉ざされていました。彼は絶望感に打ちひしがれながらも、もう一度店主に向かいました。


店主は不気味な笑みを浮かべながら、「もう逃れることはできん。闇の歌声に捕らわれた者は、もう二度とこの場所を去れぬのだ」と告げました。


高校生は涙を流しながら、自分が闇の歌声に巻き込まれるのを感じました。彼の心も闇に飲まれていくようでした。最後に彼はステージに上がり、闇の歌声を口ずさむようになりました。


それ以来、闇の歌声カラオケは再び人の姿を見せることはありませんでした。しかし、噂では、夜になるとその廃墟のカラオケ店から不気味な歌声が聞こえると言われています。誰も近づかない場所となり、その怖い話は後世に伝わり続けるのでした…。

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