第2話 ヒーローと真耶
「光!気をつけろ!その剣からは嫌な気配がする!それに、その男の心は全く読めない!」
「我も力を貸そう。我が魔眼の力を思い知らせてやる」
「玄翔、気をつけろよ」
「任せろ。”
玄翔と呼ばれた男はそう言って右目から赤い閃光を放った。その閃光はその空間を照らし、右目に模様が浮かび上がる。
「面白い。目の能力者か。見せてもらおうじゃないか」
真耶はそう言ってリーゾニアスを構えた。そして、強く踏み込み一瞬で玄翔と呼ばれた男と距離を詰める。
「フッ、かかったな!」
玄翔と呼ばれた男はそう言って高々と笑い不敵な笑みを浮かべた。その瞬間、リーゾニアスは方眼紙のように区切られ崩壊していく。
「っ!?……なるほどな。崩壊か」
真耶はそう呟いてリーゾニアスを折った。そして、魔法で作り直す。
「一定の領域内に侵入したものを崩壊させる魔眼か……厄介だが、簡単だ」
真耶はそう言って左目を赤く光らせた。そして、その目で玄翔と呼ばれた男の目を見つめる。
「っ!?」
その瞬間、玄翔と呼ばれた男は倒れた。
「っ!?玄翔!どうしたの!?」
「お前!一体何を!?」
「夢を見てもらっただけだ。少し怖い夢をな。さて、まだやるつもりならやるけど、どうする?」
「どうするかなんて……もう決まっている!ヒーローは諦めない!”シフトチェンジ4そ……」
「そうか。じゃあ、この国ごと滅びてもらうかな。”
光と呼ばれた男が攻撃しようとした瞬間、真耶は手を天に掲げ振り下ろした。すると、突如地震が起こった。
「っ!?な、なんだ!?」
ヒーローと名乗った男達はかなり慌てた。しかし、それも束の間。突如奥の女性がスマホを見ながら叫ぶ。
「嘘……!光!玄翔!まずいよ!日本中で異常気象が起きている!日本全国のあらゆるところに竜巻や火山の噴火、地震、豪雨が立て続けに起こっている。しかも、あと2分後に富士山が噴火する!それに、あと五分後にこの国に巨大隕石が降ってくるぞ!」
女性がそう言うと、光と呼ばれた男は咄嗟に上を見る。すると、何か降ってきているのが分かった。
「っ!?お前!何をした!」
「何って、天変地異を起こしただけだ。俺と戦いたいんだろ?それなら
「クッ……!この外道が!」
「外道も何も……お前らが勝手に俺を敵と決めつけて襲ってきたんだろ?自分達のミスを人のせいにしないで欲しい。それともあれか?この星を壊されたいのか?それならやってやるよ。”
真耶がそう唱えた途端、世界中が暗闇に包まれた。電気の光は全て消え月の光も無くなる。
「あと五分後に太陽が
「……仕方ない。降参するよ」
女性はそう言って手を挙げた。真耶はそれを聞いて右目に時計を浮かべる。
「時よ戻れ。”クロノリターン”」
真耶がそう唱えた時さっきまで起こっていたことが逆再生されるかのようにどんどん戻っていく。そして、時間は戻り、真耶とヒーロー達が初めて出会った時まで戻った。
「っ!?」
ヒーロー達はその異様な光景に言葉を失う。そして、その異様なことを起こした真耶を見つめ畏怖する。
「……フッ、恐れるなかれ。俺はお前らと戦うつもりは無い。この世界を壊すつもりもな。それに、俺はこの世界についても多少走っている。俺のことを説明したい。お前らの
真耶はそう言ってどこに行っていたのか分からないが、いつの間にか自分の隣にいたモルドレッドの肩に手を置き引き寄せる。
ヒーロー達はそんな真耶を見て何か作戦会議のようなものをすると、倒れた玄翔と呼ばれた男を担ぎ着いてくるように言ってきた。
真耶は大人しくついて行くことにした。
━━それから何分か歩くと東京駅に着いた。
「え?電車に乗るのか?」
「そうよ。私達のアジトは千葉だからね」
「マジかよ……。俺金なんかねぇぞ。それに、モルドレッドは電車知らねぇよな?」
その問いにモルドレッドはこくりと頷く。
「そうか……どうしようか?」
「詳しい場所を教えてくれ。転移する」
真耶はそう言って東京駅から少し外れた誰も見ようともしない物陰に隠れた。モルドレッドはそんな真耶について行く。
「おぉ!転移か!面白そうだね!」
女性はワクワクしながら近寄ってきた。他の2人も近寄ってくる。
「場所は千葉県の一般的な家だよ」
「なるほどな」
真耶はそう言って
「わ、凄い。私の家の前だ」
「お前の思考を読んだ。イメージしてたろ」
「はは……やっぱり思考を読めたんだ……」
女性は少しだけ苦笑いをしてその家に入っていった。
真耶達はヒーロー達について行きその建物の中に入っていった。
「それで、君達は一体何者なんだい?嫌な気配しかしないからバラしたくもないよ」
女性はそんなことを言ってくる。その言葉に光と呼ばれた男がびっくりする。どうやらかなり珍しいことらしい。まぁ、そんなことはどうでもいい。今は説明するだけだ、
「俺は
「私はモルドレッド。よろしく」
「よろしく」
モルドレッドは楽しそうに手を差し出した。ヒーロー達もそれに呼応するかのように握手する。
「俺達は異世界人だ。ちょっとした手違いでうっかりこっちの世界に来てしまった。まぁ、俺は元々日本にいたこともあるから何とかなるがな」
「へぇ〜。それじゃあ君達はいわゆる異世界転移したのかい?」
「まぁ、そんなところだな」
真耶はそう言って頷く。すると、横からモルドレッドがつんつんして何か言いたそうにこっちを見ていた。
「なんだ?」
「一応詳しいことも教えておいた方がいいんじゃない?」
「は?絶対にわからんだろ。俺に関しては俺でもたまに訳分からんくなるぞ」
「でも、知ってるのと知らないのじゃ全然違うよ」
「そうか……。分かった」
真耶とモルドレッドはコソコソと何かを話してもう一度ヒーローと向き合う。そして、静かな口調で言った。
「一応俺らについて詳しく教えておくよ。俺達は元々アヴァロンという世界にいてな、ラウンズとして騎士をしていたんだ。そんな中俺はラウンズを抜けアヴァロンを出た。そして、この日本に来た。俺はこの日本に2000年くらい住んでいたが、そんな中突然異世界に召喚されたんだ」
「それで私は本来の月城真耶のお姉ちゃんに召喚されてここに来たの」
モルドレッドはにこにこしながらそう言う。しかし、ヒーロー達はそんなこと突然言われても理解できない。正直真耶も突然そんなこと言われても理解したくない。
そんなことを思っていると、女性が言ってきた。
「本来ってどういうこと?それに、なんで真耶には名前が2個あるんだい?」
「それはな、俺が月城真耶じゃないからだよ。元々俺はアヴァロンに住んでいて、ケイオス・レヴ・マルディアスだった。そして、俺は日本に来て分け合って月城真耶を殺した。そのまま俺は月城真耶の記憶を貰い、月城真耶として生きていたんだ。だから、俺は本当は月城真耶じゃないんだ」
そう言って悲しい笑顔を見せる。さすがにそこはこれ以上聞いてはいけないと思い、誰も触れることは無かった。真耶はそれを見て少し微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます