第15話 激しい怒りを感じてしまう
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息子の婚約破棄を聞いた時は『我が息子ながらやってくれた』というのが一番最初に感じた感想であった。
そして、この後起こるであろうゴタゴタや、公爵家に支払わなければならない多額の慰謝料などなど、考えただけで頭が痛くなって来る。
そもそも息子は余が王族であるという事を正しい意味で理解できているのかすら怪しいとすら思ってしまう。
でなければ、例え本当にシャーリーが息子の言う通りの人物であり妃として相応しくないと判断した上での婚約破棄であったとしてもこのようなふざけた方法での婚約破棄など前代未聞であり、あり得ない。
貴族同士であったとしてもこんな婚約破棄などあってはならぬというのに……。
そして我は国王である以上、謝罪をすることは基本的には無い。 だからこその代わりとして『謝罪の意味を込めて』多額の賠償金を払わなければならないのである。
公爵家であるダルトワ家当主グリム・フェルディナン・ダルトワとは幼馴染であり、現在でも余にとって数少ない友と思っている。
なので『一人の友として』謝罪を込めた手紙を一応は出すのだが、これはあくまでも一個人として出すのであって王家として出す訳でもなければ、公の場で謝罪するわけでもない上に、その手紙の差出人を見たところでグリムにしかそれが誰なのか分からないだろう。
その為手紙で謝罪したからと言って賠償金の額がすくなくなる訳でもない。
「まったく、流石にこれは余も庇う事はできぬな……」
そもそもシャーリーは、息子が言ったような行為をするような女性でない事は知っているのでまず捏造である事は間違いないのだが、それにしてもよくこんなにも嘘をでっち上げたものだと感心すらしてしまう。
何故その能力をもっと別の方向へ活かすことができなかったのか……。
とにかく、流石にこんな事をやらかすような者を次期国王になど任せられる訳がないのでここは弟であるカイザルを次期国王として準備をしていこう。
今回のようなノリで使用人を解雇したり、王国のあれやこれやとめちゃくちゃにされて、気が付いた時には修復不意可能レベルにまで好き勝手されたら目も当てられない。
そんな事を思いながらこれからどうしようかと考えているところに、これ以上に衝撃的な内容を、今回の件を説明しに来た執事のセバスが話す。
その内容を聞いた俺は頭の中が真っ白になるくらいの激しい怒りを感じてしまう。
事もあろうにバカ息子は我の友達であるソウイチロウを、まるで『醜い化け物のような容姿をしているので、シャーリーにはそこへ『罰ゲーム』として嫁がせよう』と言っていたようではないか。
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