異世界に転生したが種族以外普通な件
@master0804
プロローグ
突然だが、転生した。
仕事が終わり、家で寝ていた俺は目が覚めると3歳ぐらいの子供になっていた。
「…きれいな朝焼けだ。」
そう呟いた後にここが見知らぬ世界であることに気付いた。
「ハーリット!ご飯よ~!」
そう呼ぶのは母親の声だろうか。
自身の記憶を思い出すため脳内にハーリットで検索をした。
段々と記憶が読み込まれていく。
どうやら自分の名前みたいだ。
だけど、友達や知り合いなどがいるわけでもなく母と二人で暮らしてるみたいだ。
「これが異世界転生か…。」
前世の名前は全く思い出せないが、ぼんやりとした記憶がまた読み込まれる。
一人暮らしでラノベを読み漁っていた独身の中年男性。
それが俺みたいだ。
「…まてよ。これが異世界転生なら俺もラノベのようになれるんじゃないのか?」
そうニヤニヤしながら考えているとドアが大きな音を立てて開いた。
「一体いつまで寝てる…なんだ起きてるじゃない。ならさっさと降りてきなさい!」
どうやら母親が起こしに来たみたいだ。
「今行くよ。」
そしてこのドアを開けた瞬間から俺の伝説の冒険が始まる!
…ことはなかった。
あれから12年。何事もない人生だった。
美人の幼馴染もいなければレアなスキルを授かることもなかった。
魔法は村の先生が教えてくれて、一生懸命練習したが普通だった。
剣術も頑張ろうと特訓をしていたが普通だった。
…そう。普通なのである。
「こんなはずじゃなかった!!」
俺は崩れ落ちた体制でそう嘆いた。
「異世界転生だぞ?なんかあるだろ!美人な幼馴染とか規格外の力とか!」
心の中でそうぼやいていると、母親が話しかけてきた。
「…あんた、いつまで家にいるの?」
「…死ぬまで?」
「それなら明日王都行きの馬車が来るんだけど、それに乗るか私にいま殺されるか選びなさい。ウチには無職を養う金はないからね。」
…母親の顔はマジな顔だった。
「王都行きの馬車はこちらだよ!もうすぐ出発するからね!」
元気よく声を出すのは行商人だろうか。
母親から渡された支度金(もとい手切れ金)から料金を払い馬車に乗り込む。
同じ年齢のクラスメイトも乗っていたが別に仲良くもないので話しかけることもなかった。
馬車で揺られること約2時間。
王都に着いた俺は、見回りをしていた衛兵に案内をしてもらい冒険者ギルドに着いた。
説明を受け登録を済ませた俺はクエストボードの前でテンションが上がっていた。
「…ここからだ。ここから俺の人生は始まるんだ!」
そう呟いた後に薬草採取のクエストを受け、王都から離れた森に向かっていた。
そしてここから本当の冒険が始まる……!
ことはなかった。
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