不便な異世界に不要召喚されました

@mi24

第1話 召喚1

 ……えっ……

 えーと、更衣室を出ようと扉を開けたら変なとこに出た?

 ここどこ?


 私は魔法陣らしきものの上に立っている。

 私の他に後2人魔法陣の上に立っている。

 何これ?

 えっ?異世界召喚?


 「えぇ~!異世界召喚?」

 私の考えを嬉しそうに口にしたのは、前に立っている男性である。

 前に男性、横に若い女性。


 周りには白い服を来た男性が三人均等に魔方陣を囲むように立っている。

 部屋の中は中世のお城のような感じ。

 確実に異世界である。

 彼は何で嬉しそうなのか解らない。


 周り反応からして歓迎はされていないようだ。

 均等に立っていた三人が私たちの後ろに移動して話をする。

 「3人?」

 「どうなっている?」

 「失敗か?」

  失敗?

  多分、私は足元の魔方陣で呼ばれたと思うが、失敗?


 取り敢えず魔法陣から出て、鞄の中から携帯電話を取り出す。

 魔方陣を写真に収める。

 良く解らないが写真を撮っていた方がいい気がしたからだ。

 私の行動に後ろの三人が一瞬シーンとなる。


 元の世界に戻ったらこの写真は記念になるな。

 何て事考えている場合じゃない。

 下手したら、無理難題を押し付けられるかも。

 まさか、誰かに殺されたりする可能性もあるよね。


 ヤバイ状況だが、魔方陣や部屋の中、そして後ろの三人を写真には収める。

 誰かにどこから来たかと問われれば、この写真を見せて…。

 写真?

 この世界に写真?


 多分、写真はなさそう。

 そうすると、写真を見せて魔女扱いされて殺されては大変だ。

 そんな事を考えていると、前の扉が開き、男性が2人入って来る。

 誰?


 後ろに移動した三人が頭を下げる。

 偉い人が来たようだ。

 若い方の男性が、召喚された男性の前に立つ。

 おい、私も見えているよね。


 でも、彼は男性にだけ声を掛けた。

 「君が勇者か?」

 勇者?

 今、勇者って言ったよね。


 勇者と呼ばれた男性も驚いている。

 「勇者ぁ~?」

 上ずった声で聞き返している。

 「本当に勇者を召喚するとは素晴らしい。奥で話をしよう」

 男性を連れて部屋を出て行ってしまった。


 待て待て。

 私と彼女は?

 無視ですか?

 いや、それより勇者って魔物とか魔王とかと戦うよね?

 私、来月40になるけど…。


 普通、勇者って若い子がならない?

 これは召喚する人を間違ったな。 

 あっ、だから失敗って事?

 隣の女性を見る。

 若い……。

 

 私は近くにいた男性に勇者召還について聞く。

 サルナスという人が勇者召還の魔法陣を作ったからテストしようと言う事になったらしい。

 バカじゃない。

 私達はテストで呼ばれたの?

 勇者召還の魔法陣が出来たばかりなら、帰す魔法陣は出来ていないと考えた方がいいな。


 「私達を召還した人はどこ?」

 「あちらにいらっしゃいます」

 と、壁の方を指す。

 マジか。


 壁にもたれ項垂れてブツブツ言っている。

 -3人?-

 -何で3人-

 あかんな。


 何であんな人が勇者の召還出来たん?

 魔方陣が書かれている本を見たら、元の世界への戻り方とか解るかな?

 ははは……。

 解る訳ないよな。


 振り向いて魔方陣を見ると、若い彼女がいない。

 あれ?

 えっ?

 何で?


 えっ?

 えー??

 何で?何で?

 私だけ無視?

 えー?

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