インファクト

八戸三春

Ver1.0

大学を卒業し、新たなステージである就職活動に挑むその一人は、今日は面接がある。心の中で胸が高鳴りながら、リクルートスーツに身を包み、髪も丁寧に整えた。靴も光沢が見えるように磨き、堅苦しいけれど、大切な場所だからこそ、全力を尽くしていた。


手提げバッグは革製のものを選び、ちょっとした緊張を隠しながら、自信を持って歩いていった。面接という試練が待っているが、これまでの努力や経験を胸に抱え、自分の力を証明したいと思う。


たくさんの仲間たちと同じように、自分の夢や目標を追い求めてきた。これからの未来が少し怖いけれど、同時にワクワクもしている。この新たなチャプターにどんな冒険が待っているのだろう。


家族や友人からの応援の言葉が、心に力を与えてくれる。彼らの思いに応えるため、自分を信じて、自分らしくいることが大切だろう。


面接の場では、緊張せずに自分をアピールしたい。言葉や表情で、自分の思いを伝える力を持っていると信じている。これまでの経験や成長、そしてこれからのビジョンを胸に、自分の熱い想いを伝えたい。


合格するかどうかはわからない。でも、何度も失敗してきたからこそ、それが人生の一部だと受け入れる勇気が持てる。失敗から学び、進化していくことが、成長の証だと思う。


面接が終わって、自分を振り返る時がくるかもしれない。でも、どんな結果であっても後悔はしない。自分が全力を尽くしたことを胸に、新しい挑戦に向かっていきたい。


これからの未来が楽しみであり、同時に不安でもある。でも、たとえ何があっても、夢を追い続けることをやめない。自分の道を信じて、前へ進もう。


――東京都新宿区。

ここは高層ビルがそびえ立ち、夜にはネオン輝く繁華街が並んでおり、人も大勢居て賑やかな街。政府の組織と知事が集まる東京都庁や、自然豊かな公園など目に止まる景色だ。


中田大樹は、幼い頃から東京都のこの新宿区で育った。高層ビルの間を歩き、人々の笑顔や忙しい姿を目にしながら、彼はこの街が好きだと感じていた。そして、彼はいつかこの街で自分の夢を実現したいと考えていた。


そんな街の中に、自宅から面接会場まで徒歩約30分で着き、会場の中へ入る。今日は、株式会社ウイークエンドという会社の採用面接がある。中田は大学生の最後の年に差し掛かり、夢を追いかけるチャンスが訪れたのだ。


――株式会社ウイークエンドの広い社内。

中田はドアを開けると、広い社内が広がっていた。面接官三人と彼含めて四人で集団面接をする。質問してくる内容は一通り、予想した。事前に、会社のホームページの内容と面接の想定問答集まで完璧に覚えてるため、よほどの事がない限り合格出来るだろう。


中田は自信を持って、面接官たちの前に座った。まず面接官に名前を聞かれるので難なく彼は答える。「はい、工東大学四年の【中田大樹】です」


面接は始まり、面接官たちが次々と質問をしてくる。中田はそれに対して自信を持って答える。志望動機や自己PR、過去の経験など、全てを丁寧に伝えた。彼が夢を追いかける理由や、なぜウイークエンドという会社に入りたいのか、それらの熱い思いを率直に述べた。


1時間が経ち、面接は終わりを迎えた。中田は自分の回答を振り返りながら、自信を持って答えたことに満足していた。そして、面接官たちからの評価を待つ時間がやってきた。


「素晴らしい面接をありがとうございます。中田様と浅井様は採用です」


無事、面接官から合格の言葉をもらった瞬間、中田の心は喜びで満たされた。これで夢の会社に入ることができた。彼は東京都新宿区で育ち、夢を追いかけ、自分の力を試すことができる場所で働くことになる。新しい挑戦が待っていることにワクワクと胸を躍らせながら、彼はこの街の未来に向けて一歩踏み出したのだった。



社会人一日目――遅刻だ。

学校時代から相変わらずの遅刻で、枕元に置いてあった時計を寝起きで見つめ、しばらく思考停止――八時四十分だった。

「――うぉ!? やべ!!」

目を見開き、遅刻に気付く。あと十分で遅刻だ。

慌てて私服からスーツに着替えて、朝食抜きで家から出る。

初の会社出勤だけど元から朝が苦手だ。遅刻したら、上司に叱られるのは目に見えてる。

小学生の頃から毎回、学校で遅刻すると、先生の叱責が恐ろしく、クラスメイトの視線が痛かった。

それが癖となり、社会人になって遅刻してしまった。絶対に遅刻しないように心の中で誓ったのに。

それにタクシーは乗れない。大学の時に遊び過ぎて所持金ゼロに近いからタクシー使う金がない浪費癖の持ち主だ。せめて数千円あればまだやりくりはできたはず。

間に合わない。家から会社まで、突っ走って二十分――間に合え!



 ――9時2分遅刻。

腕時計の針は九時を指してて、遅刻確定。初日で会社を初遅刻してしまった。

やむを得ないので、会社に遅れる連絡をしてどっかに飯食いに行くか。

何時もの外食に行こうとしたその時、向こうに見覚えのある人が人通る歩道橋のガードレール脇に、立ってる。

そう、集団面接の時に隣の椅子に座ってた女性だった。

何やらキョロキョロしてる様子。もしかしたら同じ新入社員かもしれないので、勇気を振り絞り、声を掛ける。

「あの、すいません。もしかして面接の時の方ですか?」

その言葉で、彼女はハッと思い出したように振り返った。

「あ! 確か……一緒に面接受けた方ですよね? おはようございます!」

「はい、おはようございます」

表情はおっとりしていて、身長は平均女性と同じ。柔らかく艶のある短い髪。スーツ姿はサラリーマン同様の服装だ。

ここに居るってことはもしかしたら彼と同じ、遅刻かもしれない。

こういう時、遅刻の事を敬語でどう言えばいいか分からない。まあ、伝わればいいか。

敬語紛いの言葉で質問する。

「えっと......貴方も遅刻なのですか?」

「はい、そうなんですよー。実は私も遅刻しちゃいまして……」

「へぇ~。お互い大変ですね。」

「本当にそうですね……ところでお名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」

「あっ、すいません。自己紹介がまだでしたよね。自分は中田大樹です」

「私は【浅井歩美】と言います。これからよろしくお願いしますね」

彼女の笑顔はとても煌々としていて、夢のような絶世の美女。いや、世界三大美人にも引けを取らない程の大和撫子魂と呼べばいいだろう。非常に綺麗なお方だ。

おっと、そんな考えてる場合じゃない。

とりあえず遅刻は確定だし、どっかに飯食いに行くか。

「ここに居てもどうしようもないのでどっかに飯食って休憩しませんか?」

「良い考えですね。じゃあ近くの喫茶店行きましょう」

「はい。分かりました」

そして彼女と二人で近くにある喫茶店に向かうことにした。



徒歩10分――喫茶店に着く。

相変わらず懐古的なレトロなお店だ。

よく受験勉強の時によく行った喫茶店で、今も全く変わってない。変わったとしたらメニューが増えたことぐらいかな。

「素敵なお店ですね」と感心していた歩美。

こうして彼女と仲良くなり、仕事仲間として共に過ごすことになる。

この出会いによって二人の人生が大きく変わる事になろうという妄想でした。いや、何考えてるんだよ、不可能だろ。

「とりあえず、俺は安いのにしたいからコーヒーと朝食メニューを頼むね」

「私はモーニングセットで、ホットケーキ食べようかなぁ~」

二人は注文を終え、料理が来るまで少し待つ。静まり返る店内。彼は浅井さんに好感持つためすぐ口を開いた。

「浅井さんはもうあの会社で働いてるんですか?」

「いえ、初めて来ましたよ。ただ、今朝は寝坊してしまって遅刻しました」

「なるほど、俺も同じ感じです。寝坊して焦ったけどなんとか間に合った感じです」

「私の場合は目覚まし時計が壊れていたのか、鳴らなかったです」

「ああ、そういうこともありますよね」



――そんな話をしながら、二人は注文した料理を食事し、食べ終えたら席を離れた。

 店員が来て会計を済ませると、彼女が話しかけてきた。

「もう、遅刻はどうしようもできないので、良かったら私の家で、お茶でも飲みますか? ちょうど一人暮らしですから」

「え!? 本当ですか!? 是非行かせてください!」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

初めての彼女の家、あまりの驚きで目を見開き即答する。

これは神様からの贈り物だと思った。


新たな友情が始まる予感が胸を膨らませる。遅刻は失敗だったけれど、それが彼女との素敵な出会いをもたらしたのだから、運命に感謝しなければならない。二人の未来がどんな輝かしいものになるのか、今から楽しみで仕方がなかった。


喫茶店を後にし、彼女の家に向かう途中、ふと彼の心には新たな決意が芽生えていた。


「もっと早起きをして、遅刻のない素敵な日々を送ろう」と心に誓った。そして、新しい仕事仲間である彼女との素敵な時間に期待を膨らませながら、二人は新たな未来へと歩を進めていったのであった。

 


早速、彼女に案内されながら、高級感溢れる外壁に覆われたレンガ作りの14階建てマンションへと入る。

エレベーターに乗り、彼女の部屋まで行くと鍵を開け、中へ入る。

「どうぞ、入ってください」

「お邪魔しまーす」

中に入ると綺麗な玄関があり、靴を脱ぎ、リビングへ向かう。

そこにはテーブルとソファーが置いてあり、4Kの大型サイズであろうテレビもあった。

「適当に座って待っていて下さい」と言われて座っていると彼女はキッチンに向かい、机に置かれたティーカップを、浅井さんがお茶を注いでくれた。

「ありがとうございます」と大樹は礼を言うと彼女も席に座り、向かい合う形になる。

改めて見るととても可愛く、全体的に小柄でスタイルが良い。顔も人間とは思えない程、理想の美貌で性格も良く、こんな女性と一緒に過ごせるなんて幸せだ。

「改めまして、私は浅井歩美です。これからよろしくお願いします」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。中田大樹です。俺の方も改めて紹介すると、俺は工東大学出身で趣味はゲームや読書、映画鑑賞とか色々あります。特技は計算で、技術的なことは、パソコンを使った作業です。好きな食べ物は、特にありません。嫌いな食べ物は、辛いものですね。苦手なのは虫や爬虫類です」

お互いに自己紹介をし終えた後、雑談タイムが始まった。



「私は昔から本が好きでよく読みます。最近は恋愛小説を読んでいますね。他には好きなのは音楽や映画で、嫌いなのが虫や爬虫類で、苦手なものは怖いのやグロテスクなのです。中田さんも意外と子供っぽいところあるのですね」

「はい、そうです。ホラー映画を見て夜中にトイレに行けなくなるくらいです」

「ふふっ、可愛いところもあるのですね」

「うぐっ……」

なんか恥ずかしいな。今まで男扱いされてなかったのに急に女っぽくなって来たような気がする。

 「そういえばさっき、趣味でゲームって言ってましたよね? どんなのやるか教えてくれませんか?」

「そうですね……ジャンルで言うならFPSやRPG系が多いですよ。後はアクションゲー厶もやります」

「へぇー、結構やってるんですね。ちなみに私もFPS好きですよ。最近だと、P2Gって言うのをプレイしています」

「おお! P2Gですか。あれ面白いですよね。俺もよくやります」


 

――その後、二人はお互い話をし、歩美の部屋で最新ゲーム機をして夕方になり、帰ることにした。

友達とはよく家でゲームするけど、女性と一緒にゲームするのは初めてだった。

「あっ、そろそろ時間だから帰らないと......そのパソコン、何か面白い形状してますね」

 彼がふと、向くと彼女のパソコンの隣にはシェルフが二台並んでおり、高さは大樹の頭の同じぐらいだった。コードが無数に繋がってあり、ランプは何色も照らしてる。

「このパソコンは?」

「ええ、これはデスクトップPCと言いまして、ノートパソコンとは違い、組み立てが出来るようにされたパソコンです。でも、性能が低いからあまりハードな作業は使えないんですよね」

「えっ、そうなんですか? にしてもそのケースはデカいですね」

「そうですね。これ、実は私の自作機なんですよ。性能は低いですけど、ゲームやる分には問題ないですし、スペックも高ければもっといいのですけど……」

「いやいや、十分凄いと思いますよ」

「そうでしょうか?でも、やっぱり欲しいですね。大樹さんはどのくらいのマシンを使ってるんですか?」

「俺は自作機で、CPUは大体4.3Ghのモデル使ってるよ」

「えぇ!? それ高いのでは? それに、かなり性能が良いCPUのを買えるのは凄いですね!」

「まあ、そこそこだけど、普通に買える値段だよ」

「凄いですね。私は自作機のパーツで足りなくてお金貯めて買いました」

「確かに高いよな。俺も最初、高かったから金貯まるまで苦労したわ」

「私も最初は無理だと思いましたよ。でも、今は安いパーツで組んでますよ。それでも10万以上はかかりますね」

「俺もそれぐらいかな。とりあえず、俺はこれで帰るね」

「はい、今日は楽しかったです。また今度一緒に遊びましょう」

「うん、そうだね。じゃあ、お邪魔しました」

こうして彼女と別れ、家に帰る事にした。

――知らないフリをしたけど、何か彼女のパソコンは怪しい。

何故そんなに沢山コードを繋ぐのか? 何か意味はあるのか? そして、その他も含めてケースの多さは普通のと比べて20個ぐらい。

サーバー管理するくらいの量だ。

でも、もしかしたらゲームでやるのだったらこの位は使うかも。昔のこだわりっていう物かな。



家に帰ってからはパソコンを起動させ、ネットサーフィンをしたり、動画を見たりして過ごした。

――とその時、自分の使用してるパソコンのマウスが動かなくなった。序に途中まで作成してたWEBサイトがフリーズした。

熱がこもったのか分からないが原因を調べた時、

目の前のエラー画面に『Your computer has been infected. Choose an excellent person』と書いてある。通訳すると君のパソコンは感染された。優秀者を選ぶと翻訳されている。

どういう事か分からないが、エラー画面右上のバツボタンを特に不信もなしに、押してしまった。

すると、脳内から強い電気が走り、椅子から転げ落ちた。



 彼は目を覚ました時、自分がいる場所が荒廃した街であることをすぐに理解した。太陽の光が輝くこともなく、ただ曇り空が広がっている。不気味な静寂が、街を包み込んでいた。彼は誰の姿も見当たらないことに気づいた。


「何故……ここに?」彼は自問自答を繰り返し、混乱の渦に巻き込まれる。かつて自分がパソコンを触っていたという記憶が鮮明に蘇る。画面を閉じたら、意識を失った。そして、次に目を覚ました場所がこの荒廃した街だったのだ。


虚ろな視線で周囲を見回し、彼は寂しさと絶望に胸を締め付けられる。彼はこの謎めいた場所から抜け出そうと何度も試みたが、どんなに頑張っても無理だという現実が彼を打ちのめすばかりだった。


「このまま一生、孤独の中で生きていかなければならないのか……?」彼は心の奥底で叫びたくなるほどの悲しみを抱えていた。


絶望の淵に立たされた彼は、もはや答えを見つける希望を見出せなかった。しかし、彼は諦めることはできなかった。少しでも前に進むために、彼は心を鼓舞させた。


そして、彼は立ち上がろうとした瞬間、背後から冷たい気配を感じた。彼の全身が緊張に包まれる。思わず

 彼は後ろを振り返ると、2メートルを超える巨大なミミズが立っていた。大樹の心は恐怖に打ち震え、叫び声を上げた。絶望が彼の全身を包み込み、喰われる瞬間を迎えるのだと思ったが、その直前、謎の軌道がミミズを胴体を真っ二つにして倒れさせた。


痛みを藻掻くミミズは塵となって消え去った。驚きと安堵が彼の心を支配した。その側には、近づいてきた勇敢な女性が立っていた。彼女は機械装置を取り付けた剣を持ち、コートの中にパーカーを着込んで髪を青く染めていた。彼女の瞳はツリ目で、その存在は不思議な魅力に満ちていた。


「こんにちは。私はA11678と言います。中央安全処理機関の対策班です。通称CSPAですね」彼女は自己紹介をした。


大樹は彼女の出現に驚きながらも、心の中で感謝の念を抱いていた。どうやら彼女が現れることで、喰われる運命から免れたようだった。


「ここは危険な場所です。気をつけてください。」女性は主人公に警告した。


大樹は彼女に尋ねられた場所がどこなのかを説明しようとしたが、全く記憶にないことを悟る。彼は首を振って言った。「すみません、何が起こったのか、どこから来たのか、全く分かりません…」


大樹の言葉を受け入れ、彼が住人ではないと判断した。彼女は彼を安全な場所へ案内することに決めた。


「私たちの拠点へ来てくれれば、あなたのことを調べることができます。危険な場所で一人でいるのはよくありませんから、付き添います」彼女は優しく微笑んだ。


大樹は彼女の申し出に感謝し、彼女に付いていくことにした。彼の心は未知の冒険と謎めいた女性に対する好奇心で膨らんでいった。

 

大樹と女性は共に歩いて、ボロボロな雑貨屋にたどり着いた。この雑貨屋は年月の経過とともに荒れ果て、それでもなお何かが生き残っているような気配が漂っていた。彼らは雑貨屋の中に入り、奥に進むと作業員の部屋があった。そしてその部屋の奥には地下へと続く階段があった。


謎めいたボロいアパートのような広さの暗闇の部屋が地下に広がっていた。不気味な静寂が部屋を支配しており、中に何が待ち受けているのか不安を募らせる。


そして、その暗闇の部屋の中には、光り輝くパソコンの画面だけが照らされている一人の少年がいた。丸眼鏡をかけ、白衣に身を包んだその少年は、たった10歳のように見える。彼の名はゼネルというようだ。


女性が挨拶をすると、ゼネルは何故か女性を「姉ちゃん」と呼びかけた。女性は呆れた表情を浮かべ、そのやり取りに戸惑っているようだった。


「ゼネル、私はレヴィナ。貴方の姉ちゃんじゃないよ」女性が優しく言った。


ゼネルは不思議そうな顔をして、「えっ? でも姉ちゃんじゃないの?」と尋ねた。彼の言葉から、何か特別な理由があるのかもしれないと大樹は感じ取った。


大樹はゼネルに興味を持ち、彼との会話を進めることにした。「ゼネルでしたよね? 君はここで何をしているのですか?」


ゼネルは小さな肩をすくめて、「僕はここで様々なデータを調べているんだ。この街の謎を解く手がかりを見つけるためにさ」と答えた。


 

ゼネルは大樹に向かって早速尋ねた。「君は何処から来たんだい? どこの住人か細かく教えてくれるかな?」


大樹はためらいなく答えた。「実はよく分からないんだ。気がついたらここにいたんだ」


ゼネルは理解したような様子でうなずいた。その時、女性がゼネルの話を止めて突然質問を投げかけた。「何か分かったの? ウイルスの発生源はどこか?」


ゼネルは真剣な表情で答えた。「ウイルスは外部からアクセスしてきたものだと思います。そして、その発生源は……この男だと思うんです」


なぜか、ゼネルは主人公を犯人扱いしている。しかし、根拠を示すことはできないようである。女性は疑問を抱えながらも、ゼネルに細かく質問を重ねる。


ゼネルは丁寧に答えた。「この男は怪しい行動をしていました。ウイルスが発生した後に、彼の行動が不自然だったんです」


しかし、女性は納得できない様子で追及を続けた。「具体的にどんな行動だったの? 証拠はあるの?」


ゼネルは苦慮した表情を浮かべながらも、「具体的な証拠はありませんが、なんとなく……彼に嫌な感じがしたんです」と語った。


女性は頭を抱えるようにして、深く考え込んだ。ウイルスの発生源を特定するためには、より確かな情報が必要だと感じたが、ゼネルにはそれがないというのが現実だった。


一方で、ウイルスが大樹を襲った理由については、女性自身もハッカーだと確信しているものの、ゼネル自身も何故ウイルスが発生したのかを理解していなかった。


ゼネルは改めて大樹に向かって質問を試みる。「大樹君、ウイルスが発生した原因について、何か分かることはありませんか?」


大樹は首を振って答えた。「全然ですよぉ。私もウイルスがなぜ出たのかさっぱりわかりません」


大樹は諦めの口調でため息をついた。彼にとっても、この謎のウイルスの出現原因は、未解決のままであることが確かだった。


ウイルス事件にまつわる謎は、ますます深まる一方だった。主人公と女性は、解決の糸口を見つけるために、さらなる調査を続ける決意を固めた。



ゼネルはレヴィナに頼まれ、ウイルスの特定と倒滅を手伝うことになった。一方、大樹はまだ自分が犯人扱いされることに納得がいかなかったが、レヴィナの説明を待つしかなかった。


「あ、少尉。遠隔空間装置ちょうだい?」

レヴィナは遠隔空間装置と呼ばれる、外部の世界の物をこの世界に転送することができる特殊な装置を持っていることをゼネルに教えた。彼女はゼネルにその装置を貸すことで、ウイルスの謎を解く手助けをしてくれるよう頼んだ。


「えーこれなかなか手に入らないよ。本当は家に戻ってゲームする為に使いたかったのに......」

 

「元々汚い家でしょ」

ゼネルは文句を言いながらも、カードを手に取りレヴィナに渡した。彼は少し不満そうな表情を浮かべていたが、レヴィナの頼みを受け入れたのだ。


レヴィナはゼネルと大樹に向かって、「それでは行きましょう」と言って、一歩を踏み出した。ゼネルと大樹は彼女に続いて歩き出した。


歩く中、大樹はレヴィナに向かって質問を投げかけた。「レヴィナさん、どこに行くんですか?」


レヴィナは微笑みながら答えた。「多分、住宅街に行くと思います。念の為注意してくださいね。貴方を危険人物として扱われる可能性が高いですから」


大樹はまだ納得がいかない様子で、ウイルスの発生について改めて言及した。「でも、俺はただの画面閉じただけなのに…おかしいよ」


レヴィナは考え込んでから、一つの推測を述べた。「バグではないでしょうか? 何かのエラーが起きて、不正なウイルスの検知と判断してしまったのかもしれない」


大樹はその意見に興味津々で質問した。「それってどういうことなんですか?」


レヴィナは細かく説明してくれた。「何処かの装置にはバグがある可能性があります。時々、予期せぬ動作を起こすことがあるんです。それがウイルスの検知に繋がったのかもしれませんね。」


大樹は納得した様子でうなずいた。彼はレヴィナの言葉が理解できたようだった。


さらに大樹はレヴィナの仕事に興味を持ち、質問を続けた。「レヴィナさんの仕事は何をしているんですか?」


レヴィナは微笑みながら答えた。「私たち対策班は、世界の秩序を守るためにウイルスを倒すことが主な仕事です。悪意あるウイルスの発生を防ぎ、この世界を安全に保つために日々奮闘しています」


大樹は興味津々でさらなる質問を投げかけた。「ウイルスの検知や見つけ方、どうやって行っているんですか?」


レヴィナは丁寧に答えてくれた。「ウイルスの検知は、専用のプログラムを使用して行っています。不審なアクセスや異常なデータの流れを感知し、それを解析することでウイルスの発生を見つけ出しています。ただし、詳細な手法は組織の秘密となっています」


大樹は納得した様子でうなずいた。彼は自分が知らない世界での戦いや秘密の存在に興味を抱きつつも、レヴィナと共にウイルスの謎を解き明かすことを心に誓ったのだった。


数分後、住宅街のある家の前でレヴィナは足を止めた。そこは普通の一軒家で、コンクリートで出来た平凡な家だった。レヴィナは遠隔空間装置のカードを、謎の小箱のようなケースに差し込んで入力し始めた。大樹はその行動に理解が追いつかず、何が起こるのか分からなかった。レヴィナが実行した後、しばらく待ってと言った。


大樹はレヴィナの行動が何を意味するのか考えたが、思案の甲斐もなかった。そして、たった一分も経たないうちに、家の外に青い膜が貼られた。膜が徐々に消えると、大樹の住む家と似た外装や建物の形をした別の家が姿を現した。大樹は驚きの声を上げた。「え!? これは、自分の家…!?」 自分の家がそっくりそのまま再現されているのに戸惑いを隠せなかった。


大樹は頭を抱えるような表情で、この状況を理解しようと考えたが、答えは見つからなかった。レヴィナは実行が完了したから案内してっと言ったので、大樹は戸惑いながら玄関を開けて中に入った。しかし、中はゴミが散乱しており、大樹は恥ずかしさに顔を赤らめて慌てて片付け始めた。


片付けている最中、レヴィナは何か2階に気配を感じ、上がってくと大樹は焦ってついていくことになった。ドアの部屋を開けレヴィナの察知したのは、なんと大樹のパソコンだった。大樹は「あれか?」と疑問を呈すると、レヴィナは「そうですね、気をつけて」と慎重に近づいた。


レヴィナは大樹のパソコンを指でつつくと、何も起こらなかったので、大樹は一安心して部屋を出ようと言って伝えた。しかし、レヴィナは待って!と大樹を止めた。大樹は振り向くと、パソコンのスクリーンが突然点灯し、二人は驚いた。大樹は普通の起動ではないかと疑ったが、レヴィナは話を聞かずに「謎のウイルスを検知!排除します!」と言って、光のような速さでパソコンを消し去った。


大樹はしばらくしてからようやく理解したが、パソコンが消えていたことに気づいた。彼はレヴィナの方に向くと、彼女が剣を握りしめていた。そして、パソコンが跡形もなく切り刻まれているのを見たのだった。恐らく物理攻撃でパソコンを壊したと思う。


「何やってるの!?」と大樹は声を荒げましたが、同時に心の中で驚きと緊張が入り混じった表情を浮かべました。彼はまったく予期していなかった出来事に困惑していた。


レヴィナは穏やかな笑顔で答えました。「え? ウイルスを倒しただけだよ?」と言いましたが、その言葉は大樹の不安を解消するには十分ではなかった。


「おかしいよ!」と大樹はツッコんだ。「普通に考えて、ウイルスを倒すのに剣を使う必要なんてないでしょ?」


レヴィナは微笑みを浮かべつつも、説明を続けた。「いやいやいや、おかしいですよ!? 普通に考えて、そんな武器みたいなの取り出すとかありえないでしょ」と大樹の言葉を反芻した。「でも、私は普通の人間じゃないから」


大樹はますます混乱していく。「どういう事ですか?」


「私は『特殊兵士』。特殊な訓練を積んだ者だけがなれるものよ」とレヴィナは自らの正体を告白した。


大樹は目を見開きました。「特殊兵士? 簡単に言えば、この世界を守るために作られた組織のことよ」という彼女の説明に驚く。


「組織?」と大樹は再び問い返した。


「そう。私たちの組織では、この世界の秩序を保つために、ウイルスを破壊しているの」とレヴィナは重要な任務を果たしていることを語る。


大樹は少しずつ理解し始めていた。「ウイルスを破壊する? じゃあ、俺がパソコンからウイルスに感染したっていうのは嘘だったのか?」彼は自分が経験した出来事について再考し始めた。


レヴィナは申し訳なさそうな表情を見せました。「え? ええ、ごめんなさい。少し騙してしまったわ、全く……ゼネルの話は信用ならないわ」と頭を下げた。


大樹はホッとした表情を浮かべました。「はぁ〜良かった」と安堵しましたが、心の中でなぜ彼女が嘘をついたのか、何か隠していることがあるのではないかと疑問を抱えていた。


すると、レヴィナは表情を変え、真剣な顔つきになり話を続けた。「ただ、まだ危険が残っている可能性があるわ。だからもう少し調査させて貰うわね」


「え? どういう意味だ?」と大樹は不安げに尋ねた。


「貴方の体の中を調べさせてもらうわ」とレヴィナは大樹に迫った。


「え? 俺の中を調べる!?」大樹は驚愕した。「ええ、もしウイルスが残っていて、また暴れられたら困るから」と彼女は真剣な表情で語る。


「ちょ、ちょっと待ってください!」大樹は抵抗したが、彼女の意思は固く、身を任せるしかなかった。


肩を掴まれたまま、大樹は戸惑いながらも、レヴィナの調査に応じる決意をした。すると、そのタイミングで、レヴィナの方からピピッという電子音が聞こえた。


「え? 何の音?」大樹は不思議そうに尋ねた。


「ちょっと待ってて――はい……なんですって!?」レヴィナは驚きの声を上げる。


「どうしました?」大樹は心配そうに訊ねた。


「ウイルスの感染源が分かったらしいわ!」とレヴィナは興奮して伝えた。


「本当か?」大樹は関心を示す。


「ええ、どうやらこの近くにウイルスが発生した原因があるみたい」とレヴィナは調査結果を報告した。


大樹は興味津々だった。「そうなんですか?」


「ええ、ついて来て!」とレヴィナは大樹を引っ張り、彼を新たな展開へと導いていきました。二人は謎めいた場所に向かった。



数分後走り続け街から離れた荒れた草原に辿り着いた。大樹は走り過ぎて息が荒くなる。その目の前には大きな岩が置いてあった。レヴィナはこれがウイルスの発生源かもっと言ってその岩を触れるが何も起こらなかった。大樹も同じようにその岩に触れるが何も起こらなかった。ウイルスは居ませんけど?っと大樹は言うとレヴィナは多分岩だったと思うっと言った。目的地から数百メートル離れた場所は何もない草原に辿り着いた。ここだねっとレヴィナは言うと大樹は目的地から離れてない?っと言った。



数分後、二人は疾走し続け、街から離れた荒れた草原に到着しました。大樹は息切れしながら立ち止まり、目の前には大きな岩がそびえ立っていました。レヴィナは岩がウイルスの発生源かもしれないと考え、慎重に触れましたが、何も起こりませんでした。大樹も同じように岩に手を伸ばしましたが、何の異変もありませんでした。


「ウイルスは居ませんけど?」と大樹が尋ねると、レヴィナは「多分岩だったと思う」と答えました。しかし、彼らの目的地から数百メートル離れた場所に辿り着いたことに疑問を抱えた大樹は言いました。「目的地から離れてない?」と疑念を抱きました。


その草原の風景は美しく、自然の力強さが感じられる一方で、不思議な気配に包まれていました。レヴィナはじっと空を見上げ、考え込むように言いました。「この場所が正確な目的地だという確信があるわ。でも何かが違う……」


大樹は彼女の言葉に耳を傾けました。「何かが違う?」と問い返しました。




 

レヴィナは謎の少女と出会った場所で思索に耽っていた。突然、目の前に現れた少女に大樹は驚いて、少女も同様に驚いた様子だった。「誰ですか!? 貴方たち!?」少女は不思議そうに私たちを見つめながら尋ねた。彼女は小学生くらいの身長で、魔道士の服を身に纏い、短くふわふわした水色の髪と可愛らしい目をしていた。


「君は誰だい?」大樹は不思議そうに尋ねると、少女は「一般人ですよ」と答えた。少し不審に思ったが、確かに一般人ではないということは理解できた。少女の頭には猫耳がついていて、大樹は驚きながらも「獣人族ですか?」と聞くと、少女は否定して「違うよ」と首を横に振った。しかし、改めて見ると確かに猫耳があったことに気づいて、大樹は興奮気味に「いや、本当じゃん!俺猫耳キャラは好きなんだ!試合終わった後の癒やしさが堪らんのだよ!」と熱く猫耳キャラを語った。


「そ、そうなのですか」変な人だなという表情を浮かべる少女。しかし、すぐにレヴィナの言葉を思い出し、大樹の問いに「この辺にウイルスが出現したけど知らないか?」と尋ねた。「いや、私が倒しましたよ?」少女は自信を持って答えた。


「嘘だろ!? 凄いな!」 

大樹は驚きと感心の気持ちを込めて少女を褒めた。彼女は嬉しそうに「そうです!このアビリティを使えば一発で退治です!」とドヤ顔で答えた。


レヴィナは独り言を言いながら「アビリティってそんなのあったっけ?」と不思議そうに考え込んでいた。大樹も頭を抱えるような感じで、「マジで!?  すごいじゃん!」と興奮していた。しかし、少女のアビリティはちょっと危険そうだと説明し、彼女が細菌とか隕石を破壊する能力だと言った時、レヴィナは細菌の言葉に疑問を持った。


大樹は少女のアビリティに興味津々で、彼女は自分の能力をより磨くために修行が必要だと話した。大樹は少し落ち込んだが、少女は特別に能力を半分差し上げると言ってくれた。大樹は感謝の気持ちで頭を下げ、彼女の優しさに喜びを隠せなかった。


少女は大樹に「貴方の名前は?」と尋ねた。大樹は真摯な態度で「中田大樹です」と自己紹介した。少女は礼をすると、彼女は真面目そうな印象を持っていた。

 

少女はレヴィナの方を指差しながら、「えっ?」と驚いた表情を見せた。「あ、私はレヴィナと言います」慣れない自己紹介すると、少女は興味津々な様子で、「わぁ、レヴィナさんなんですね!」と応えた。「ところで、お二人はどうしてここにいるのですか?」少女が問いかけると、大樹は丁寧にこれまでの経緯を説明した。少女は真剣な表情で聞き入っている様子で、疑問が浮かんだ時には微笑みを見せた。「なるほど。つまり、外の世界からこの世界に迷い込んだわけだね」「そうだな」少女が分かりやすく整理すると、大樹は頷きながら納得した様子を見せた。


「では、それも兼ねて私が外の世界に帰らせましょう!」と少女は自慢気にドヤ顔をする。大樹は驚きと感謝の気持ちを込めてお礼を述べる。「本当に? それって可能なんですか?」少女の言葉に期待を込めて大樹が問いかけると、少女は肯定的に頷いた。「もちろん!私には特別な能力があるんですよ。それで、外の世界に帰れるようにお手伝いさせてください」と少女は笑顔で答えた。大樹は心の中で喜びを感じながら、「ありがとうございます。本当に助かります」と深く頭を下げた。


しかし、少女の特殊な能力に気づいたレヴィナは、少し疑念を抱きながらも言葉を選びながら尋ねた。「猫耳さん、ちょっとお聞きしてもよろしいですか? その能力、どうやって手に入れたんです?」少女は少し驚いた様子で、「あ、はい! それは私には生まれつきのものなんです」と答えた。レヴィナは納得したように頷き、「そうですか、それでしたらよく分かりました」と言った。


そして少女は大樹に帰らせる条件として、願いを聞いて欲しいと告げた。大樹は戸惑いながらも「は、はい。もちろん聞きます」と答えた。そのやり取りによって、レヴィナは少女が何かを探っているのだと確信したが、少女の真摯な姿勢に対して疑いを抱くことはできなかった。


「では、お願いします!『貴方にとって大切なものは?』答えてください」と少女が指を差し示すと、大樹は少し慌てながらも「家族ですね」と即座に答えた。すると、画面に文字が表示された。


<スキル:『絆』を獲得>


何故か、大樹の頭上から通知のようにメッセージが現れ、彼は理解できないままに混乱した。帰れるのかと尋ねると、少女は「帰れますよ」と答えた。安堵の気持ちと共に、大樹は少女に頭を下げ、感謝の意を示した。「本当にありがとうございます。あなたのおかげで、家族に会えるんですね」。少女は優しく微笑みながら「お手伝いできて嬉しいです。でも、もう一つだけお願いがあります」と告げる。


その時、大樹は突然めまいが襲い、そのまま倒れ込んでしまった。レヴィナと少女は慌てて大樹の側に駆け寄り、心配そうな表情を浮かべた。「大丈夫ですか!?」レヴィナは声をかけるが、大樹は意識を失い、そのまま不思議な夢の中に沈んでいった。

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