第6話 魔人を貫けエンペラー
ダイオオカミによる被害は、プシュケのオフショルとインナーだけで済んだ。
体の中で暴れさせろと喚くエンペラーも俺にとっては被害だが、何事もなく済んだのはエンペラーのおかげでもある。
ともかく俺は、ラフでゆったりめなワンピースドレスに着替えたプシュケと共に、悶々としながらも関所へと辿り着いた。
のだが。
「どうしたんだろ、門の前に人だかりができてますね」
プシュケの言う通り、橋を塞ぐ建物の前に大勢の人がたむろしていた。
見た所、兵士や商人たちのようであるが。
「すみません、なにかあったんですか?」
プシュケは近くに座る商人へと話しかけた。
「いや、ひとりの魔人に占拠されてるんだとよ」
「どうしてこんな所を」
「それは聞いてみなきゃわかんねえな」
要求は特になしか。
「兵士の方たちでもどうにもならないんですか」
「そいつらが追い出されてきたんだからな」
魔法を使う相手に辺境の兵士が敵うわけもないか。ならば、
「俺がどうにかしましょう」
俺は力強く商人に宣言した。
「兄ちゃんよ、装備もないようだけどやれんの」
「魔人ですよ、大丈夫ですか?」
商人とプシュケは不安なご様子だが、俺は確信を持っている。
そう、なんと言っても絶対と呼ばれるエンペラーの力があるのだ。
己の持つ力を理解した今、世界最強の剣士になったと言っても過言ではないだろう。
「ここで待っていてください、すぐに追い出しましょう。代わりにこのダイオオカミ買い取ってください」
「そりゃあいいけども」
ちゃっかりダイオオカミの売却約束を取り付け、俺は門へと向かっていく。
「気をつけてくださいねー。危なくなったら逃げてくださいよ!」
声をかけるプシュケに、俺は親指を立てグッドサインを送る。
「すみません、今こちら通行止めです」
止めようとする兵士にも、
「俺に全て任せてください」
足を止めることもなく堂々と扉へと進む。
その場にいる全員の注目を浴びて、中へと入っていった。
ちょっと優越感あるな、これ。
中へ進み、再びドアを開いていくとそこに何者かがいた。
地べたへと寝っ転がり、お菓子をボリボリぱくつきながら雑誌をクリッと丸い目で眺める女性。
ふんわりショートの髪は綺麗な紫系で肌は青白く、スレンダーな体型がハッキリとわかるチューブトップにパンツスタイルであった。
露出された背中や肩は、魔人であってもやはり魅力的なものですね。
「ぐふっうっ!」
早速エンペラーによる先制ダメージを喰らってしまった。
女性といえども油断はできない。むしろ女性だからか。
「おい、なんかいるぞ」
「え、なん?」
更に気付かれてしまった。
というか男女二人の会話が聞こえたが、魔人の女性ともうひとりの姿は見えない。
「ここを占拠する魔人がいると聞き、追い払うためにここへ来た」
俺は魔人へと宣言しながら部屋を見渡すが、やはり彼女ひとりだ。
「えー、アスモ面倒やけん嫌―」
「そんなこと言って聞いてくれるわけないだろ」
またもや男性の声が、チューブトップからか?
まさか、魔人の胸からへそを包む生き物であるとでも言うのか。
羨ましい!
「許さんっ!」
俺は羨望を怒りへと変化させ、戦闘態勢へと入る。
情欲へと変化させるエンペラーも万全の態勢だ。
「お兄さん怒ってるぞ」
「んー、えい」
「ぎゃあああああああああ!」
俺は、魔人の指から放たれた電撃に成すすべもなく倒れた。
ぐふっ、どうしてだ、エンペラーよ……。
「え、よわっ」
「威勢の割りには、あっけなかったな」
体が痺れて全く動かせそうもない。エンペラーを除いて。
「ん? あの兄さんなんか変だぞ」
「なにがー? え、起っとーやん」
魔人の視線が無傷のエンペラーへと注がれる。
「なんかめっちゃ動いとっちゃけど」
「そうじゃなくてよ、下半身だけ無傷なのが変だろう」
魔人はエンペラーの元へと駆け寄り、しゃがんでじーっと眺める。
恥ずかしい。無様な姿を晒しているのにエンペラーが小躍りしていることが。
「えい」
魔人が先ほどよりも小さくピンポイントに雷撃を放つが、エンペラーにはどこ吹く風と効果がない。
「なんこれ、すごー」
「おい、気をつけろよ」
チューブトップの声を聞くでもなく、魔人はエンペラーを握ってきた。
「ぐかはっ!」
痺れる体もなんのその、俺は大きく痙攣を起こしてエンペラーの先から体液を放出させていく。
「めっちゃ簡単に出るやん、やばー」
普通に触ってくる状態だと吹き飛ばすことは出来ないのか、それとも女性だからか。
痺れと気持ちよさの中考える。
そういえばプシュケを汚してしまった時にも吹き飛ばすことはなかった。そんなことがあれば本来の性機能として宝の持ち腐れとなってしまう。
たしかに、それでは
コスるコスるコスる
「はにゃばっ!」
「うわー、また出とーよこれ、気持ちいいん?」
体が何度も跳ね、考えるどころではない。
この魔人、めちゃくちゃきもちくしてくれる。
自分でする作業とは雲泥の差だ。
イっている時にさえ無邪気に擦られ、更にイって、自分でコントロールの出来ない、頭がおかしくなりそうなほどの快感が全身を襲ってくる。
「なーこんなすごいの見とったら、なんかアスモもシタくなってきたっちゃけど」
「おいおい」
魔人がサッとチューブトップを脱ぐと、形の良い胸が露わになる。
おっぱいに貴賤はない。人種も大きさも関係ないのだ。
止まらないエンペラーへと更に活力がみなぎってくる。
「隠しとってー」
しかし、魔人が俺の顔面へとチューブトップを投げかけ、なにも見えなくなってしまった。
「やれやれ」
どころか、チューブトップは形を変え、完全に視界から光を奪う目隠しとなった。
なにも見えない代わりに、他の感覚へ集中が増していく。
衣擦れの音が聞こえ、ドサッとなにかが床へと落ちた。
ツーっとエンペラーを撫でる指を感じる。
「おうふっ」
これからなにかが起きる不安と妙な高揚感に、心臓がバクバクと音をたてる。
「じゃあ、イれるけん、あんま暴れんとってよ」
エンペラーの先に、なにか柔らかいモノがピトッとくっつく。
まさか、本当に想像どおりのことが行われてしまうのか。
大事にしているわけでもないが、記憶を失って初めての経験である。
エンペラーの先がなにかに沈み込んでいった。
「んっ……っしょ」
「ふぐあっ!」
そして、遠慮することなく一気に奥へと引き込まれ、エンペラーは完全に包まれた。
当然のようにエンペラーは祝砲を吐き出す。
「くっあはっ、すごっ」
根本まで包まれたエンペラーは、きつく身震いするそれに身震いを返す。
そして、あまりの快感に俺の腰までが浮いてきていた。
「どんだけ元気あるん、めっちゃ硬いし」
エンペラーから搾り取るようにして根本から擦り上げられると、浮いた腰を押し付けるように擦り降ろされる。
「ぐはっ、くっ」
快感のループに息が漏れ出る。
鼓動は高まり、快楽と混ざり合って痺れる体もハイとなった。
「んっ……、もっと動くけんね」
それから擦り合う行為はヒートアップしていった。
視線が閉じられていることによって多くのことを繊細に感じる。
自身と魔人の漏れ出る声と、ぶつかり合う液体と肌の音。
甘いような淫靡な香りと、湧いてくる唾液の味。
そして、エンペラーに吸い付いて離さない幸福の形。
俺の体は、幸せの快感に包まれていった。
どれくらい経っただろうか。
「あっ、もう、またクるっ」
何度お互いに果てただろう。
「はぁはぁ、どんだけなん」
柔らかなぬくもりが俺の体へとのしかかって、汗に触れる。
魔人の荒い吐息が耳元でささやかれている。
熱を帯びる体に、脳内までが熱い。
俺の喉はもうカラカラだ。
だが、俺のエンペラーはまだまだ満足していない!
うおおおおおおおおおおおお!
「なっ! ちょっと動かんとって!」
薄れいく痺れも魔人の声も無視して俺の腰は動き出す。
「やんっ、ふっ、デ、デウス!」
「だから気をつけろって言ったじゃねえか」
デウスと呼ばれた目隠しはその形状を変化させ、俺の顔面を覆う厚い布となる。
がるるるるるる!
「痛ってーーー!」
噛みつかれた布が顔面から飛び離れ、ようやく視界が取り戻される。
俺の目の前には、悶える魔人のかわいらしい表情が映った。
「あっ、嘘っ! まだ大きくっ」
思わず痺れの残る腕で、魔人の腰を捕らえた。
「ちょっ、やばいって! そんな無理っちゃ! やああっ」
「うおおおおおおおおおおおおおお!」
もはや無我夢中でエンペラーを突き抜くだけだ。
占拠とか、成敗とかそんなことは頭の中にない。
ただ、こんなことばかりするために俺は生まれてきた!
「おふっ、あっ、もうだめ。許して、あふっ」
「な、なにしてるんですか!」
遠く女性の声が聞こえてくる。
そこにプシュケの姿があった。
「はうっ、またっ大きくっ、イクっ」
ビクビクっと魔人の体が痙攣した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます