第21話 成長した

俺とロココの前に大男が立ちふさがっていた。

上半身裸で、剣を引っ提げている。

腰から下は防具を身に着けているようだが・・。


「おい、ぼうずここに何しに来たんだ?」


「ポーションを届けに来ただけですが?何か用ですか?」


「何だお使いか。その後ろの嬢ちゃんはかわいいじゃねえか。」


ぎょろっとした目でロココを見る。

一刻も早く立ち去りたい。


「用がないのでしたら、帰ります。」

俺が、ロココを引っ張って出ようとすると、

また立ちふさがった。

しつこい・・・。


「ねえ、ロイなに絡んでるのさ。子供じゃないの。」

近くにいたお姉さんが俺たちをかばう。

この人もまた、肌が露出した防具を身にまとっていて腰には剣が付いている。

金髪ロングヘア、碧眼の美人だ。


「ちょうど機嫌が悪かったのかな・・ごめんね。坊やたち。ここは危ないからあんまりきちゃだめよ。」

子供を諭すように言うお姉さん。

いや、仕事なので、また来るんですが・・。


「オーシャンはポーション作成してるのでまた来ます!それに私たち子供じゃありません!」


「あらまあ。そうだったの。貴方が噂のオーシャンね。子供だと聞いてたけれど。」


お姉さんにじろじろ見られる。

何だか恥ずかしいんですけど。


「私はアリスよ。何かあったら頼ってちょうだい。」


「オーシャンです。また度々ギルドに来ると思います。助けてくれて有難うございました。」


俺たちはやっとギルドから出ることができた。


ぷう~。

ロココは少々不機嫌なようだ。

「何よ子供って。まぁ子供かもしんないけどさ。」


「童顔だし、背低いしね。」

もうちょっと背伸びないかな。


「オーシャンは背伸びるんじゃないかな?」


「どうだろう?」


ちょっと不愉快な思いもしたが、無事納品できた。

お金も入ったし、夕飯食べようかな。


「ロココどこかでご飯食べようか?」


「オーシャンのおごり?」


「お金は入ったからな。」


「やった~~。」



*****



魔法学院に入学してから半年が過ぎた。


「オーシャン背伸びたんじゃない?」


ロココが見上げている。


「そうかな・・。」


毎日見てるから分かんないけど。


「伸びたね~。ぼくを追い越してるよ。」


「そうなんだ?」

イマイチ実感が持てない。

何せずーっとちびって馬鹿にされていたからな。


「声も低くなってない?」


「え?」

そういえば変な声かも。


「俺あまりしゃべらないからな。」

分からなかった。

最近はギルドに行ってもからかわれることもない。

てっきり見慣れたからだと思っていたのだが。

背が高くなったからかもしれない。

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