第19話 身分差恋愛

「・・ねえ、ロココさんて・・。」

クリフが口ごもる。


「あれ言ってなかったかしら。私、子爵ししゃくの娘ですのよ?」


「「えええ」」


聞いてないよ~。

いや聞かなかったけど。


ロココ・アルフレッド

ロココの両親の親が王族の親戚だったらしく、親はずいぶん前に亡くなったらしいけど・・


生きていたらどうだったんだろうか?

ロココさんに会えていたのだろうか?


そういえば婚約してもいいと言っていたが、ロココさんが平民の俺と結婚してもいいのだろうか?


「オーシャン?」

ロココが心配そうに見つめてきた。

「・・色々考えちゃってさ、なんでもないよ。」


「えっと、あの、ロココさんとオーシャンって・・。」


「あ、うん恋人?婚約者かな。」

俺は何も考えず答えた。


あれ?クリフ落ち込んでない?

よしよし・・って母親が慰めてるな。

もしかして、クリフってロココの事好きだったのか?


「帰ろっか。」

俺とロココは手をつないでクリフの家を出た。

街は夕日に染まっている。

「今日おうち泊まる?」



****



何故だかセンチメンタルな気分になってしまった俺。

今日はロココの家にいる。

ロココは父親に先ほどの事を報告するとかで、俺は広い部屋に独りぼっち。

はぁ~。

ため息が出た。


変な不安はまだ続いている。

「オーシャン?」

後ろからロココに抱きしめられる。


「私はね、貴族とか平民とか全然気にしてないから。オーシャンと一緒にいれればいいの。」


好きってこんなにも不安な気持ちになるんだな。


ロココには俺の心の内がお見通しだ。


「私も不安だったよ。大好きなのに別れなきゃいけないのか・・って思ったら。」


「貴方は今ここにいるじゃない。私の目の前に。」

ロココはそっと頬にキスをした。



****



書斎で私レインは仕事をしている。

先ほどロココから報告を聞いた。

アルマート男爵の事は伯爵はくしゃくに報告せねばなるまい。

馬鹿だなぁ、あいつも。


「お父様お願いがあります。」


「ん?どうした?」


「婚約を早めて頂けないでしょうか。」

ブッ・・飲んでいた紅茶を吐き出した。


「急にどうしたんだ?まだ若いから・・まあ15だから早くないか・・。」


「彼が不安のようなので・・平民という事を気にしていて・・。」

そういうことか。


「ちょっと待ってくれ。考えるからしばらく時間をくれ。」


まさか娘から婚約を急かされるとは・・どうしたものか。

一度、彼からきちんと話を聞いておいた方がいいだろうな。



****



「急に呼び出してすまなかった。単刀直入に聞くが、娘の事はどう思っているのかね。」


ロココのお父さん、レインに呼び出された。

一晩泊って、寮に帰ろうと思っていたところだ。

ここは居間で、長椅子に座って向かい合っている。


「大切にしたいと思っています。」


「一生一緒にいたいと?」


「・・・俺が一緒になっていいのでしょうか・・。俺と一緒になると平民になる・・から・・。」


「君はどうしたい?」


「俺は・・一緒になりたいです。」


「じゃあ、問題ないじゃないか。」


「でも・・。」


「たとえ平民になったとして、何か問題あるかね?」


「今まで見たいに裕福な生活ができないし・・。ロココが幸せになれるかなって・・。」


「それは本人に聞いてみたらいい。貴族のままがいいか、平民でいいか。多分、”そんな事関係ない”って言うだろうがね。」






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