惑星官能小説

 淫靡な公転周期は地球と火星の距離をじわじわと縮めていった。

 濡れたような漆黒の宇宙に浮かぶ二つの惑星、太陽の熱にあてられて上気した大気が対流する。

 近づくにつれ、火星からは自制心は消え、地球からは貞淑という概念は去っていった。

 二つの惑星の周回軌道は運命よりも確かな軌跡を描き、欲望と理性の狭間で揺れ動きながら最接近した。

「君のマントルはもうこんなに……」

「いやっ、言わないで」

 地球が顔を背ける。

 その様子を見ながら火星は地球の太ももに手をかけて



 よく考えたら地球に太ももは無いな。

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