間違えて妹のパンツをはいて来てしまったらその日に限って健康診断があってどうにか切り抜けなければいけないバイオレンスパニック

 時は戦国。

 地方の弱小大名である半津家の居城である丸見得城では、出仕してきた武士の一団がとある一室に集められていた。


「一体何事だ?」

「御典医が殿に配下の武士の身体検めあらたを進言したそうだ」

「あの怪しげな御典医か……一体何を考えているのか」

「なんでも、戦国の世ならば、武士の身体は頑健であるべき、日々の鍛錬を確認しておく、とか」

「そのような事、武士の嗜みとして当然の事ではないか。わざわざ検めなど」


 武士達は口々に突然の身体検めに対し不平不満を漏らす。

 そこへ襖が開き、家老の黒部羅歌舞理助が堂々たる足取りで部屋に入り、集まっている武士達を威厳のある眼で見下ろした。


「身体検めである。日貝社壱ノ助」

「はっ」

ふんどしのみで、殿のおられる部屋へ向かうように」

「ふ、褌のみでござるか」

「左様、どれだけ鍛錬しているか、直接見て調べたいとの仰せだ」

「は……」


 壱ノ助は戸惑いつつも着ているものを脱ぎ、鍛えられた身体を晒す。


「ではついてまいれ」

「は」


 二人は部屋を出て行き、何かをさえぎるように襖が閉じる。


「……むむむ」


 襖の先を見つめる武士達の中、一人青ざめた顔をしている漢がいた。


「いかがされた佐藤殿」

「……いや、なんでもござらん」


 佐藤左衛門は懐紙で額の汗をぬぐう。

 堂々たる偉丈夫の左衛門がうろたえる理由……それはついうっかり褌と間違えて妹の腰巻を身に着けて登城してしまうという、武士としてあるまじき失態を犯していた事であった。

 このままでは武士として生きてきたこれまでの人生が全て否定されてしまう。

 左衛門は思考回路を全力で回転させ、破滅からの回避策を模索し始めた。


「とッ殿ーッ、何を……ぐああーッ!」


 どこか遠くから壱ノ助の叫びが部屋に響く。

 ざわめいていた部屋が一瞬で静まり返った。

 そこへ襖が開き、静かに家老が歩を進め、一人の武士の前で立ち止まる。


「斉藤二番目ノ輔、身体検めである」

「壱ノ助は、壱ノ助は……」


 二番目ノ輔はうめく様に言葉を発した。


「……身体検めである」


 有無を言わせぬ家老の圧力に二番目ノ輔は無言で褌姿になり、部屋を出て行った。


「急いで帰り着替えて戻れば……いや、勝手に出て行くわけには……」


 苦悩する左衛門をよそに、周囲の武士達はざわめき、そして。


「殿! 刀を鞘に、鞘に納めてくだされ!」

「馬鹿め! わしの刀は鞘から出たことなどないわ!」

「ぐあああーッ!」


 二番目ノ輔と城主の叫びがこだまする。

 明らかな異常事態に武士達は互いに顔を見合わせ、左衛門はこっそり出て行こうとして途中で見つかりすごすごと戻ってきた。


「身体検めである……」


 再び襖が開き、家老が歩を進める。


「御家老! 一体何が……」

「うろたえるな」

「……」


 家老の鋭い目線は武士達に二の句を告げさせなかった。


「三井受太郎、身体改めである」

「はっ」


 元気よく返事をした受太郎は全部脱いで足取り軽く出て行った。


「その手があったか……!」


 呆然としている周囲の武士達をよそに、左衛門は一つの光明を見出していた。

 最初から全部脱いでおけば、腰巻を見られずにすむ。

 さっそく左衛門は部屋の隅でこっそり脱いでおこうと立ち上がる。


「いかがされた」

「はっ、えっ?」


 隣の鈴木四番目ノ輔が、突然立ち上がった左衛門に話しかける。


「いかがされた」

「……」


 うまい言い訳を考えている左衛門、その時また叫び声が。


「この雌め! わしの(検閲削除)」

「殿ーッ! (検閲削除)」


 明らかな異常事態に武士達はざわめき立つ。


「これはどうしたことだ」

「身体検めとは一体……?」

「何が起きているのだ」

「いかがされた」

「えーと、そう、厠! 厠にいこうと」

「あの御典医が黒幕では」

「御典医……男隙鋭利安ノ助か」

「以前から怪しいと思っておったのだ」

「いかがされた」

「だから厠だって言ってるだろ!」

「このまま座して死を待つより討って出るべきでは」

「そ、それは謀反では」

「殿が過ちを犯しているのであれば諫言するのが武士としてのあるべき姿であろう」

「鳴けい! 雌よ!」

「(検閲削除)」

「いかがされた」

「うんこ!」


 混迷を極める状況の中、武士達は一つの結論に達した。


「あああいっ(検閲削除)!」


 達した。


「この身命をなげうってでも諫言するのが武士であろう」

「まさに」

「逆賊の御典医を討ち、正義をなすのだ!」


 武士達は次々と立ち上がり、声を上げた。


「行くぞ! 殿の下へ!」

「応!」


 武士達は一斉に部屋を出て城主の元へ向かい、どさくさにまぎれて逃げようとした左衛門は四番目ノ輔に捕まり引きずられるように走った。


「殿ーッ!」


 勢いに任せて城主の部屋に突入。

 そこで武士たちが見たものは床に横たわる(カクヨム規約的にカットされました)といきり立つ(検閲削除)を隠そうともしない城主、そして怪しげな雰囲気をこれでもかとかもし出す御典医。


「殿! そやつは逆賊でござる!」

「ふははは、人間どもがこざかしい」


 御典医、男隙鋭利安ノ助は立ち上がると全身のあちこちから(検閲削除)を生やしはじめた。


「おのれ、面妖な! 打ち倒してくれる、頼光殿のように!(比喩)」

「ほざけ! この城主のように種を植え付けてやろう!(直喩)」


 武士達は刀を抜き、鋭利安ノ助は(検閲削除)で抜いた。

 伸縮自在の(検閲削除)は自在に動き回り、次々と武士達を捕らえて(カクヨム規約的にカットされました)


「ひるむな! かかれ!」

「ふははは餌どもが」


 (検閲削除)が武士達を(カクヨム規約的にカットされました)

 (カクヨム規約的にカットされました)

 (カクヨム規約的にカットされました)

 (カクヨム規約的にカットされました)

 (検閲削除)鋭利安ノ助(検閲削除)武士達は(カクヨム規約的にカットされました)(検閲削除)


「くくく、残りは貴様一人か」

「えっ」


 逃げる隙をうかがっていた左衛門はいつの間にか戦場に一人取り残されていた。

 鋭利安ノ助は(検閲削除)で左衛門を捕らえ、抵抗する間もなく衣服を剥ぎ取る。


「!」


 鋭利安ノ助がひるむ。

 その前には腰巻を巻いた左衛門。


「こっ、腰巻! おなごの服などけっ、汚らわしぐあああー!」


 鋭利安ノ助は黒い霧となって消え去った。

 こうして城の危機は去った。

 この事件を反省した城主は万が一に備え、配下の武士に女装するようおふれをだした結果、武士による漢の娘軍団が誕生。

 隣の大名に普通に攻められて滅んだ。

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