アウシュヴィッツ収容所の日常

宵@ZIBU

プロローグ アウシュヴィッツ収容所

俺の名前はシュナウザー・レーティン、ユダヤ人だ。

今は列車に乗っている。結構満員だ。


理由はドイツ人の兵士にこう言われたからである。

「新生活を始められる。始めたいなら着いてこい」

実は結構楽しみである。


そして列車に乗せられ新生活の新地へ向かっている。

抑圧から逃れられるのはありがたい。


さて、新地に着いたので降りよう。



降りるとまず荷物を預けろと言われたので預ける。なんかバッグに名前を書けと言われたので書いた。


ドイツ兵の指示通りに新地へ向かっていく。


そして見えたのがレンガ造りの建物だった。

門にはこう書いてあった。


【ARBEIT MACHT FREI】


どういうことだ?労働?自由?


とりあえず意味不明な門をくぐり抜け止まれと指示されたので止まる。


「お前の職業は何だ?」


ドイツ兵が聞いていく。


木工職と答える人や、生産業と答える人も居た。


そして、


「聖職者です」


ドイツ兵がそれを聞いた瞬間その人に何をしたと思う?


そう、殴り飛ばしたのだ。しかもそれだけじゃやめずライフルで太ももを撃ったりしていた。


そこでさっきの門の言葉を思い出す。

そう、そういうことだったのだ。


俺の血が引いていくのが分かる。


騙された。


「お前の職業は?」


ドイツ兵に聞かれた。本当は元軍人なのだがそれを言うと殴り飛ばされるであろう。

だから偽った。


「生産職です」


「そうか」


ドイツ兵はそれだけ言うと離れていった。



次に案内されたのは広い広場だった。


ドイツ兵はそこで何かを言って右、左へと指示を出していく。


そして俺の番が来た。


「お前はなにか持病や障害はあるか?」


ない。


「ない。」


「じゃあお前は右に進め。」


そう言われ進んだ。

どうやら左は体になにかある人が案内されるらしい。聞いた話ではシャワーがどうのこうのと言っていた。



そしてある場所についた。


そこでドイツ兵に指示される。


「服をすべて脱ぎこの服を配布するからこれを着ろ。そして背中にある番号は覚えろ、着たやつは右の道を進め。」


そう言われ渡されたのは囚人服のような見た目をした服で、背中には、


【4786】


と書かれていた。


この番号をどうやら覚えなければならないらしいので覚える。


そして着替えたので右の道に進む。



進んだ先は質素な美容室のようだった。


並んでいたので並んでいると、悲鳴が聞こえてきた。


「やめて!!伸ばしてきた髪を切らないで!」


「うるせぇ」


何かとても嫌な予感がする。だがパニックになっても良いことはないので兵士の鋼の精神で耐える。


そいして俺の番が回ってきた。


硬い椅子に座らせられ、何をするのかと身構えていると、なんとバリカンで強制的に髪を切られたのだ。しかも丁寧に切るのではなくスキンヘッドにしてきた。


「な...何をする!」


思わず言ってしまった。


「黙れ!下等な人種!さっさと左の通路に進め!」


そして無理やり左の通路へ進まされた。



次も並び自分の番がきた。


「お前の四桁番号は?」


そう聞かれたので覚えている番号を言った。


「4786です。」


男は無言で入れ墨の機械を持ってきて言った。


「腕を出せ。」


そう言われたのでここで反抗してもできることがないので素直に腕を出す。


すると男は案の定その入れ墨の機械でその番号を掘った。


そして男は言った。


「お前の名前は今から4786だ。右の道に進め。」


意味が分からない。だが反抗するとやばそうなので指示通りに動く。



「貴様らの家は今日からあそこだ!下等な人種の貴様らにも家を用意してくれた総統閣下をありがたく思え!」


ドイツ兵がそう言いレンガの建物に俺たちは案内されていった。

その時丁度向こうの煙突から黒い煙と灰が舞っているのが見えたがその時はなんとも思わなかった。


建物内に案内されるとそこには大量に三段ベッドが準備してあった。


「貴様らは今日からここで寝ろ!場所は四桁番号のところだ!分かったらさっさと寝ろ!寝ない者は撃ち殺す!」


そして俺は自分の番号が書いてあるベッドを見つけこれから先死ぬ方がマシな生活が待っているとも知らずに寝た。








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