第32話 三人の素性
話を終え、玉座の間から出る。
ぎぎい、と扉がしまったのを皮切りにダレクが手を差し伸べてきた。
「ダレク・アルタイルだ。一応剣士をやっている。君とは同じ軍属だが初めましてだな」
「クロード・ラストです。召喚士です」
「ねぇねぇ、私も初めましてだよね? 私はカレン・アイランハート。賢者やってた! 今は図書館で司書やってるの、よろしくね」
「私はサリア・パトレイシア。魔法研究をしてる。前は魔導師やってたわ、召喚士って初めて聞いた」
自己紹介を聞いた所で、俺の中で目の前の三人の素性が閃光のように閃いた。
ダレク・アルタイル。
武術に重きを置いた国であるレアルガ帝国で剣聖と呼ばれていた男じゃないか……!
だけど数年前の戦争で確か死んだって聞いたけど……生きていたのか。
そしてカレン・アイランハート。
マイザース公国にて希代の天才賢者と言われた女性で、簡単な治癒魔法を開発しそれに応じた治療院の普及や孤児達の救済措置などを次々と考案した聖女とも言われる人。
流行病で命を落としたらしいが……生きてたな。
最後にサリア・パトレイシア。
生涯をかけて世界を渡り歩き、あらゆる知識を吸収した結果、今一般的に知れ渡っている魔法の三割を開発したとされる人だけど……どこかに塔を建てたきり行方不明になったって話だぞ……百年前に。
「何? 見過ぎだよ?」
「あ、すみません」
おもわずサリアの顔をじろじろと見てしまったが、とても百歳を超えた人物には見えない。
行方不明になった時が三十歳くらいのはずだから……百三十歳……? うそだろ。
肌も張りがあってきめ細かいし、しわの一つもない。
まさに魔女……!
「んで、クレア様はクロードに運んでもらえっていってたけど……」
「あ、あぁはい! 大丈夫ですよ」
各自準備があるということで、三十分後に演習場に集合ということになった。
俺も親方に事情を説明し、持ち物は特に必要ないので予定より二十分ほど早く演習場についてしまった。
一応召喚するのは偵察用のヘリO H-58カイオワあたりでいいと思っている。
四人乗りだし、四人でチヌークを使う必要もないしな。
「出しておくか。サモン:カイオワ」
出現したカイオワは非武装のタイプだ。
カイオワ・ウォリアーというのもあるけど、あれは二人乗りだし現地に向かうだけだから武装も必要ないだろうという判断の上で非武装のタイプを選んだ。
機銃とかはついてるけど使わなければいいだけだ。
「頼むぞ。カイオワ」
『ヒュヒュヒュ』
「ローター音なのか鳴き声なのかってところだよな」
カイオワは少しだけ身震いをすると羽を勢いよく回転させ始めた。
「おいおいおいおい! なんだこれ! すげぇ!」
背後からダレクの歓声が聞こえ、ダレクはそのままカイオワの元に駆け寄っていく。
やっぱり男はヘリが好きだよな。
きっと血がそうさせているんだと思う。
多分。
「きゃーー! 風が強いー! スカートめくれちゃうよー!」
「中々に面妖な……」
少し遅れて女子二人……一人女子と言っていいのかわからないが、ともかく二人が到着した。
そのまま座席に乗り込んでもらい、すぐに発進した。
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