入り口に書いてあった特別なプレゼントとは赤い風船のことだった。

 すみかといばらは自分たちは恋人同士ではないと受付のとても愛想の良い笑顔の素敵なお姉さんに会ったのだけど、「せっかくですから、どうぞ」と言ってすみかといばらに一つずつ赤い風船を手渡してくれた。

 周囲の様子を見てみるとどうやらそう言って入場者の全員に色とりどりの風船を手渡しているみたいだった。

 すみかはいばらの様子が気になったのだけど、いばらは案外嬉しそうな顔をしていた。(そんないばらの顔を見てすみかはほっとした)

「ラッキーだったね。風船」

 とにっこりと笑っていばらは言った。

「うん、でもちょっと邪魔じゃない?」とすみかは言う。

 するといばらは「もう、夢がないな、すみかは。まあすみからしいと言えばらしいけどさ」と上機嫌なままでそう言った。

 それからいばらは空を見上げた。

 そこには青色の空が広がっている。その青色の高い空をみて、すみかは自由という言葉を思い出した。

「さてとじゃあ最初はどのアトラクションに乗る?」

 入り口の白い門をくぐったすぐのところにあるフラワーパークの大きな地図を見ながらいばらは言った。

「どれでもいいよ。いばらが決めてよ」とすみかは言った。

 すみかといばらが二人で一緒に行動をするとき、なにをするのか決めるのはいつもいばらだった。

「うーん。それじゃあ、どうしようかな?」

 腰に両手を当てた姿勢で真剣な顔をしながらいばらは言った。

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