時給交際アルバイト

葵羽

第1話

どうしても彼女が欲しい俺、雨宮渉あまみやわたる

どうしても彼氏が欲しい私、笹野萌絵ささのもえ


2人の周りの友達は最近カップル成立やら、結婚報告ばかり。そしてそんな話を聞くたびに、まもなく30代をむかえようという2人には焦りが見え始めたのだった。


渉と萌絵は幼馴染みで、大学こそそれぞれ違う学校に通っていたが、幼稚園~高校までは同じ学校に通っていた。そんなに一緒なら一見仲良さそう、ちょっとぐらい付き合ってそうに思えるが、2人が今まで恋愛感情になることはなかった。




高校卒業から数年後の20XX年、カフェ店員をしている萌絵がいつものように接客業をしていると、一人の男性が来店。


「いらっしゃいませ。お飲み物がお決まり次第、こちらのボタンで店員をお呼びください」


「ピンポーン」

「はい!今行きます!」


先ほどの男性だ。注文が決まったようだ。


「お客様、お待たせ致しました」

「アイスコーヒーもらえますか。それとこんなところで話しかけるのもなんだけど、もしかして笹野萌絵さん?」


なんでこの男性が私のフルネームを知っているのだろう?


「覚えてない?渉だよ。雨宮渉!」


ここまで言われて、萌絵の脳裏には昔の記憶がやっとよみがえってきた。


「幼馴染みの渉くんだ!久しぶりすぎない?」

「こんなところで出会うなんて。ね!」

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