第六話 テスト期間突入

 パンツの日(木曜日)から金土日と過ぎ、今日からテスト期間に突入した。この期間中は定期テストの勉強に専念するため、基本的に部活は大会などの特別な事がない限り練習はない。


 正直言って本当にだるい。この期間に勉強しなかったら冗談抜きで最下位になってしまう。それがこの学校。本当にみんな変態ばっかなのにマジで頭いいから。


「はぁぁぁぁぁぁぁ……図書館でも行くか」


 俺は特大溜め息をぶちかまして教室を後にする。教室から出る際にふと振り返ると女子数人が俺の席の周りで深呼吸していた。

 おそらく俺が溜め息したのを見てその空気を吸いにきたのだろう。

 

 ………あんな奴らにテスト負けたくねぇよ!!



 ◇



 俺は早速学校にある図書館へと来た。やはりテスト期間ということもあり、いつもより人数が若干名多い。と言ってもなかなかにこの図書館は広いので席は空いてる。

 俺は一際誰も座っていない辺りの席に座った。


「さて…何からやろうか」


 テスト範囲表を見てみると…オッフ…理数科目やべぇなこれ。これは…玲央に教えてもらおう。


 となると今俺ができるのは英単語だな。テスト期間の始まりって英単語からしがちじゃない?そんで結局難しい教科の勉強間に合わずに低い点数とるっていうね。


 まぁやらないよりましだ。よぉし英単語するぞー。


 おれはグーッと背伸びをする。その瞬間だった。


「私の席でなーにやってんの」


 天に腕を伸ばしていた俺の脇下から手を回し、何者かが抱きついてきた。背中にはがっつりおっp…柔らかい何かがくっついている。


「だ、だれだ!?」

 

 そう言うと俺の顔の横からヒョコッと見覚えのある顔が飛び出してきた。

 ツヤツヤの黒髪ウルフで彫刻のような綺麗な横顔、間違いない。


「やっほー」


 声を聞いて確信へと変わった。桜庭瑠奈だ。今回の彼女は眼鏡をかけていて、いかにも頭がいいオーラがすごい。くっ、こいつも頭いいのかよ!!!


 てかそんなことは正直この際本当にマジでどうでもいい。早く離れてくれないと…さっさと背中から柔らかいナニカを離さないと俺のムスコが暴発してしまう。


 俺は桜庭瑠奈の手を解く。彼女はムスーっと顔をしかめるがそんなこと知ったこっちゃない。こんなところでお漏らしなんてしたくないからな。


「てか、私の席ってどういうことだ。どう見ても空いてたけど?」


 俺は一つ引っかかってたことを問う。俺が選んだ席は一際人が座ってなかったところだ。ましてや荷物で席取りすらされてなかったはず…


「荷物置いてたじゃん。立ってみて」


 そんなわけないですやんバック置かれてたら気づきますやんwwと思いつつ俺は立ってみる。その刹那俺の顔は血の気がサー…っと引いていった。


 そこには女の子らしい可愛い髪留めが置かれてあった。しかもバキバキに割れて。


「ご、ごめん!まじで全然気づかなかった…」


 見るからに高い代物とわかったのですぐさま謝る。でもこんな小さいもので席取りってわかりづらいよ!!!おかしいよ!!!


「あーあ。これ限定で高かったんだけどなぁ」


 桜庭の手に拾われた髪飾りは装飾をポロポロと落としている。やばい…どうしよ。


「どう責任とってもらおっか」


 髪飾りを見ながらそう呟く彼女は、少し伸びた黒髪ウルフとその儚いEラインが相まって、まるで錯視しているような、どこか引き込まれる感じを覚える。


「あ、いいこと思いついちゃった」


 すこしニヤッとして微笑む彼女。

 怖い…どんなことされちゃうんだ!?クッ、殺せ!殺してくれぇぇぇえ!(興奮している)


「べんきょー教えて?」


 ……べ、べんきょー??


「えべ、ん、べ、べんきょー??」


「そー。わたしこう見えておバカなの」


 キュルンと笑う彼女はどこか幼く可愛いと感じる。それにしても勉強できないのか。眼鏡かけてこんなに雰囲気あるのに!?


「そんなことでいいなら、俺もそんな勉強できないけど教えるよ」


 そう言うと彼女はクスッと微笑んで「ありがと」と礼をする。クッ…美人だ。


 まぁ俺が悪いのは事実だ。座る時に確認しておけば彼女の髪飾りを壊さずにすんだことだし。ここはしっかりと勉強教えるとするか。


「手取り足取り…おしえてもーらお」


 桜庭瑠奈に勉強を教えようと意気込む俺を裏目に彼女は何かよからぬことを考えているのだった。


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5月25日の作者「今日には更新できそうっす(ドヤ)」


5月27日の作者「本当にごめんみんなマジでごめん嫌いにならないでうわーんちゅっちゅっ」

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