第5話:ポジティブ思考?な彼女の場合
「やっほー! お待たせ、今日暑いねぇ。「仕事が忙しい」って会えなかったから三週間ぶりだね。参加したプロジェクトどうだった?」
「「仕事に集中したいから別れたい」何それめっちゃ面白い! 付き合ってても仕事に集中できるじゃん! 付き合ってると仕事に集中できない理由ってあるの?」//演技依頼 終始ポジティブ、あっけらかんと。以下同じ
「「プロジェクトがうまくいかなくて、信頼を失っちゃったんで、挽回するために勉強したい」から? めっちゃ偉いじゃん!」//演技依頼 尊敬してる感じで
「そもそも大人になると、本読んだり勉強したりする人が少なくなっちゃうから、本当にキミは偉いね! 失敗を挽回しようと努力するなんて、すごいと思うよ」
「私に手伝えることない? ご飯用意するの大変だろうから、私、作りに行くよ! そしたら、その時間も勉強できるじゃん」
「私に迷惑がかかるって? あのねぇ。キミはキミの彼女のことを甘く見すぎてないかね? そんなの助け合いじゃん」
「逆に、私がへこんでるときは、キミが助けてくれればいいよ。半年先でも、一年先でも、五年先でも十年、五十年先でもいい。来世だっていい! 私は、今困ってるキミの力になりたいんだよ!」
「ん?「両手に包帯を巻いてる理由?」いや、この前、ちょっと大きいものを縛るときにヒモを力一杯引っ張ったら、摩擦でこすれちゃったんだ。初めてやったから失敗しちゃって。大丈夫だよ。気にしない、気にしない!」
「でも、今回のプロジェクト、キミはすごく頑張ってたのにね」
「『大変だけど、やりがいがある。楽しい』って、最初の頃はメッセージアプリで言ってたのに…………」
「失敗しちゃったのって、キミの業務範囲外のシステムの仕様書チェックを、プロズジェクトマネージャーが丸投げしてきたからでしょ? 「わかる部分だけでいい」って言ってたのに。でも、開発も終盤の稼働テストの時に、仕様の考慮漏れで現場から「こんなんじゃ業務ができない」って大きなクレームになっちゃって…………。その責任を公衆の面前で全部キミのせいにされちゃったんだよね」//演技依頼 明るい口調、ただし若干の棒読みモード開始
「あれはひどいよねー! それだけだったらまだしも、その後に出てくる細かいミスもキミのせいにして…………。知ってた? あのプロジェクトマネージャー、そもそも開発を依頼したシステム会社と繋がって、相当のキックバックを受け取ってるみたいなんだよね。本来、もっといい提案をしてきた業者があったのに…………。ほんと許せないよね」
「だからさ、そんあ状況なのにもかかわらず、次はもっとうまくやろうとキミが勉強するのは本当に偉いと思う。だけど忘れないで。今回の件はプロジェクトマネージャーに責任があるんだよ。だからキミのせいじゃない。本来、責任を感じるのはソイツであって、キミじゃないんだよ」
「でも、安心していいよ。そんなヤツにはきっと天罰が下るから。ん? 「昨日からプロジェクトマネージャーと連絡が取れなくて欠勤になってる」の? そうなんだ! きっと天罰が下ったんだよ」
「さ、それじゃー、早速、キミの家に行ってご飯食作るよ。一緒にがんばろうね! なんか震えてない? 大丈夫? 逃げられないよ! 行こう行こう! レッツゴー!」//演技依頼 元の元気な様子にもどって
―――――〈演技練習 終了〉―――――――――――――――――
「ふぅ。こんな感じでしょうか。今回、練習しても練習しても、話の流れがよく分からなくて難しいです」
「こんな私が演じちゃって良いのでしょうか」
「あれ? どうしました、私の手を見つめて。「両手の親指と人差し指の付け根に、縄が擦れたようなあとがある?」あ、ホントですね。気が付かなかったです。でも、たいした怪我じゃないので大丈夫ですよ! ゲームとかだと、回復魔法ですぐに治るのに、現実ではそうはいかないですね」
「あ、あなたもお仕事お疲れ様でした。最近、クレーム対応で大変でしたものね。解決の方向に向かっていると良いのですが…………」
「あれ? なぜ震えているんでしょうか。さ、私たちもご飯にしましょ!」
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