第2話 出会い

 

 徹との出会いは、昨年の初夏だった。

 

 戦時中、海軍や陸軍の士官は、女の子達の憧れの的だった。 


 とにかく、素敵だった。なんといっても、海軍の制服は、もう女の子なら、かなりの確率でメロメロになる。


 ハイカラな愛子は、もちろん、今時の話題の海軍の士官を一目見ようと、横浜港まで、親友の優子ときた。

 軽いノリのようなものだった。

二人は、女学校の親友だ。優子の父は、尋常小学校の教員だった。愛子の父は、豪農の長男だったが、所詮は、農民なので、垢抜けない。優子の父も教員だから、金は無い。二人は、ちょうどいい二人だったのだ。

 自分の家が、農家なのを、恥ずかしく思う愛子は、おしゃれに敏感だった。流行りのものにも敏感な娘だった。


     


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