人格のtraveler

@ShobirDm

第一節 一人称

Capsion


1.完全オリジナル小説

2.作者の思いつき話

3.続くかわからないです



以上を踏まえてご覧ください!






________________________________________



  



暗闇のせいで目が機能しない、その代わりで

かすかな音を拾う耳が研ぎ澄まされている。

コツッコツッと

誰かが僕に近づいて来ている、

怖くて目が開けられない。

コツッ コッ

音が止んだと同時に私は目を開けた。

目には黒髪で青いパーカーに半ズボンで

私と同じくらいの身長の男の子が私を見下ろしているのが映し出された。


「おはよう、気が付いた?」

  

話しかけれた、がそれよりも

この空間が気になって仕方がなかった。

なにせ白い光のない世界に僕と彼しかいない。

明るいのに影も映し出されない変な空間に。


【ここは一体........?】


「顔にここどこだろうって書いてあるね笑」


え、僕そんなにわかりやすいんだ.....

何故かはわからないがショックを受けた。


シュンとした感じで落ち込んでいたのが

バレたのか彼は僕を見て、


「わかりやすいよ笑。私の名前はトーマス。

 トゥシィって呼んで!」


と言った。

普通はこんな出会い方で話し始めるのを

疑うものだが、何故か不安や疑心暗鬼は

一向に浮いてこなかった。


 【トゥシィ、いい名前だね。

  ところでここは一体何処なの?】


と言うと

トーマス、いやトゥシィは

にこにことしている。

名前を呼んだことについてだろうか、

すごく嬉しそうだ。


「うーん。私もよくわからない!

 ぼーっと点Pの必要性に対する

 反論文を考えてて、気づいたら

 こんなところに居た感じかな!」


点Pとか久しぶりに聞いた。

そんなことについて考えてるトゥシィの脳内

はかなりマニアックすぎる。

     

 【結構変わったこと考えてたんだね.....】


「ええ?結構楽しいのにな....

 そういえばこの空間、私たち以外

 何の気配も感じられないよね」


言われてみれば僕達以外の気配を感じない。


 【確かに、そこまで不気味でもないね。】


「現実的な場所ではないってことだけ

 なんとなーくわかるんだけどなぁ。

 でもここにずっといるのも嫌だし、

 歩こっか!」


勇気がありすぎないか、こんな空間で迷子

になったらマズいのに。

というか気配が感じられなくても

なにかいるかも知れないのに....


 【え、えぇ..でも何か出てきたら

  怖いなぁ。】


「だいじょーぶ!!何か出てきたら

 それまでだ!」


 【何でそんなに軽いの......】


彼は僕の手を引いて歩き出した。

僕は「はぁ」とため息をついて

彼に引っ張られていった。


トゥシィと自分は永遠に続く白い世界で

方向もわからないまま真っ直ぐ歩いている。

果てしない白しか感じられない世界で。


「私はこんな感じで生きてたからさ!

 幽霊とかお友達になれるかなぁって

 思ったこともあるし、

 バンジージャンプ大好きなんだ!」

  

 【バンジージャンプ....

  あれ心臓バクバクして怖かったな。】


急にバンジージャンプの話になって、

体験した時のことを思い出した。


「怖いけど爽快感あって

 楽しかったなぁ!またやりたいな」


ふわふわと体の中が反応している変な感覚。

見えない何かが自分の中で動いている、

あの感覚。


 【確かに自分が飛んでる様な気分なれて

  楽しかったなぁ。】


「でしょ!それでそれで、、、

 あれ、あんなところにドアがある、

 あれもしかしてどこでもドア

 だったりするかな?」


 話している途中でトゥシィが

 白と水色の青空の様なドアを見つけた。

 ドアは壁についてはおらず

 ぽつんと置いてあり、

 ドアノブは雲の形をしていて可愛らしい

 ドアだ。


 【ほんとだ......

  でもそんな都合のいいものが

  この世界にあるのかな.....?

  とにかく開けてみよう、

  もしかしたらどこでもドアかも。】


 「おっ、意外にノリノリじゃん!

  いいよ開けてみようか、

  let's open the door!!」


 トゥシィと僕は扉に近づくと

 思い切りドアを開けた。

 ドアの向こうにはバンジージャンプをした

 場所の光景が広がっており、たまに

 「きゃー!!」などのバンジージャンプを

 行こなっている人の声がした。

 

 バンッ

 彼は驚いてドアを閉めた。


「今の景色見たことある...よね?」


 【そうだよね.....?】


「今のってぇ!バンジージャンプだよね?!!

 この世界ってもしかしたら私たちの

 欲しいものが出てくるのかなぁ?!

 いでよ!魔法のランプ!!!」


 トゥシィが大きく振りかぶって、一点に手を

 向けたが何も起こらない。


「えー、何も起こんないの?つまんね」


 【もしかして欲しいものじゃなくて、

  僕たちどちらかの記憶にあった出来事とか 

  がドアの向こうに現像として

  出てくるのかな?】


「なるほど!確かにさっき私たち、

 バンジージャンプの話してたよね!

 だから出てきたのかも....」


トゥシィはうんうんとうなづき、

ハッとして指をパチンッと鳴らすと


「ならどんどん記憶にある場所を

 たくさん思い出せば、限定的な

 どこでもドアができるってこと?!

 wow!!最高じゃん!!」


と言って目をキラキラとさせている。

まるでクリスマスを待ち望む子供のようだ。


 【確かに、自分の楽しかった

  記憶の場所を思い出せばいい感じの

  どこでもドアを作れるかも....?】


彼の考えには納得した。

なぜなら僕もそうあって欲しいと思って

わくわくしているからだ。


「なら試してみようよ!!

 あれ、ドアが開かない.....?」


トゥシィがドアを開けようと試みるが

鍵をかけられた様に

ドアが開かなくなっていた。


「あれ?ほんとに開かないんだけど、

 急に反抗期?ウケるー笑」


トゥシィはもう一度ドアを

ガチャガチャしているが開きそうにない。


 【一回反抗期をやめさせる感じで

  ドア開けてみれば?】


と僕は言った。もちろん冗談のつもりで。


「えぇー?そんなんで開くのかな...?

 こほん。」


トゥシィは咳払いをすると息を大きく吸った。

そして勢いよく、


 「ちょっとぉ!!あんたちゃんと

  ドアとしての自覚あるのぉ?!

  ママ急にあなたが開かなくなって、

  心配なんだからぁ!」


まるで新喜劇に出てくるお母さんのように

ドアに開けるよう施した。

僕は唖然とした。

まさか冗談を間に受けるとは

思っていなかったからだ。


 「......こんなんでいいかな?」


彼は後悔したような顔で僕に聞いた。


 【す、すごくいいと思う....】


僕も僕でこういう時のフォローができない人間なせいでこれくらいの言葉しかでなかった。

僕はトゥシィから2メートルぐらい離れた。


「行動と言葉が一致してないよ!泣

 なら、縁莉がこのドアを説得(?)

 してよ!!」


彼はぷんぷん怒りながら

ドアを指差したが、それと反対に僕は

びっくりしてトゥシィを見た。

なぜなら自分は名前を言ってなかったからだ。

名を告げないのは失礼だが、彼の行動力の凄さで忘れていた。許して欲しい。

でもなんで僕の名前を知ってる.....?


 【え、なんで僕の名前を、】


「とーにーかーく!やってみてよ!

 もしかして開けれるかもじゃん!」

 

 【う、うん。】


僕は気迫に押され、ドアを3回ノックをした。

するとドアの中からではない場所から

「はーい」と返事がして、

僕はびっくりしてドアから離れた。

トゥシィもしっかりと聞こえたようで口に手を押さえている。


「え、え?今はーいって聞こえたよね?

 私達以外に誰かいるってことだよね?」


彼はかなり焦っているようでわたわたと

動き回っている。

僕は唖然としたが、誰がいるのか気になった。

返事の相手はテノールまではいかないほどの

低すぎない優しい声だった。


 【そ、そうだね?もっかいやってみる?】


僕はドアに近づいた。


「ちょ、やめとけって!

 流石にやばいやつかもよ?!!」


トゥシィは慌てて僕に近づき、

もう一度ノックしようとする

僕の手を制止した。


『誰がやばいやつですって?』


ドアの真後ろから人影が揺らいだ。


「うわぁ!まずいって縁莉、

 逃げるぞ!こっち、早く!」


トゥシィは僕の手を引いて走り出した。

が、逃げようとした先に何者かが

立ちはだかっていた。


『はーい、ストップストップ』


彼は急ブレーキをして走るのをやめた。

そして僕も勢いよく止まった。


視線の先には

白いシワのないブラウスに白のリボンで

黒のズボンと手袋、

髪は美しい薄黄色でハーフアップの人間が

立っていた。


「うわぁ!!って、君さっきの声の主か?!」


彼は僕を後ろに隠した。

少し手が震えているがすごく頼もしく感じる

背中だ。


『正解。アタシの名前はイブ、

 ここの空間を管理してる者で

 先ほどのノックに反応したのもアタシよ』


と声の主、イブは言った。


先ほどの声はこの人で間違いないだろう。

ノックの時に聞いた甘いテノールの声質で

あった。女性のように美しい人だ。


「イブって事は女性なのか?」


トゥシィは少し警戒を解いて、イブに聞いた。


『ああそれね、アタシの名前は

「Eve」の女性名ではなくて、』


【「Yves」と書いた男性名でイブ....?】


僕はハッとして思わず口を閉じたが、

言葉が出たのはこの流れに見覚えが

あったからだった。

そしてイブは言葉を遮られたことに

驚いた様子だったが、

発言が合っていたのかうなづいている。


『ええその通りよ。だからアタシは

 一応男性って事。でもこの空間に男女関係は

 ないから名前を気にしたことがなかったわ。


イブはサラッと言った。

今とてつもないこと言ってたよね??

男女関係ない世界とか存在したんだ.....


僕は言葉が出なかったがトーマスは「へー」

と言って聞き流している。


「なるほどなぁ、「アタシ」って

 言ってるし綺麗だから女性かと思ったよ。」


『それを言えば、あなただって

 一人称が私じゃないの。』


「確かに。」


イブが呆れた様に一人称について言った。

トゥシィはそれに対して、うなづきながら

話している。

その光景に僕はついていけなかった。


【なんで僕はイブさんの名前の綴りが

 頭の中に出てきたんだろう...?】


そう。なぜだろうか、会ったことのない人の

名前の綴りがすぐに出てくるはずがない。

たまたまどこかで見かけただけなのだろうか。

変な不安が頭をよぎる。


『縁莉、調子が悪いの?』


イブはこちらの様子に気づいたのか、

しゃがんで目線をあわせながら

心配をしてくれている。

トゥシィも心配をしてくれている。


【いえ!大丈夫です....

 あれそういえばなんで僕の名前知って、】


おかしい、なぜまた僕の名前を知っている人が

いるのだろうか。

僕はイブが怖く見えてきた。

手の震えが、体温の低下が止まらない。


僕の様子を察したのか、トゥシィは


「あー、えっと、私が教えたんだよねー!

 イブはここの管理人らしいし、

 一緒に行動するなら名前知ってた方が

 いいかなーって」


と言った。

確かにトゥシィが言ったなら辻褄が合う。

僕は少しだけ緊張していた体を休めた。


『そんなところね。

 ここには良い物もあれば悪い物も

 あるから、アタシはそれを教える

 案内人ってところかしら。』


とイブはうなづき、言った。


 『トーマスと縁莉、とりあえずここから

  離れましょう。』


とイブは言ったのに対し

トゥシィは何かに驚いているように見えたが

すぐさまうなづいて僕の手を繋いだ。

僕も頷きイブを見た。

イブは暗闇へと歩いていく。

僕達はイブが吸い込まれた暗闇へと足を

進めた。




第一節 閉幕




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