アマタボシの宇宙

らきもち飴

プロローグ ひとつのお宝

 真っ白な砂浜

 顔を上げると見えるのは真っ青な宇宙

 ——だが、どこまでも広がる宇宙に私は興味が無い。

 目の前にある砂浜に手を突っ込んでは空中に砂を飛び散らせる。

「……あ! またあった!」

 親の目をはぐらかしてここに来た甲斐があった。

 手の中には虹色に輝く貝殻

 砂浜に空けた穴の隣に積まれた数枚の貝殻の上に置くと、再び近くに穴を開けてお宝を探し始める。

 ……少女の掘り進めていた手が止まった。

 砂の詰まった指でちょいちょいと穴を掘り、小さな指先で新たなお宝をつまみ上げた。

「綺麗……」

 指先にあるお宝に思わず目を奪われてしまう。

 まんまるで、透明で、小さい

 先程まで集めていたお宝とは全く違う。

 差し込んだ光が虹色に輝いて真っ白な砂浜に7色の光を映す。

 海の方にお宝を向けてみる。

 お宝に映ったのは砂と海。

「んー……?」

 少女は目の前のお宝に興味津々だった。

 宇宙も、砂浜も興味は無い。もう用済みだ。

 ……口の中に溜まった我慢欲を鼻から一気にふん!と吹き出して、お宝の中をじーっと見つめてみた。

「……!」



 これは、ひとりの少女が見届けた物語である。

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