Fanzumu~物語の紡ぎ手達~

蒼風せつ

第1話

そこはまるで中世を沸騰させる世界。

これは、物語の紡ぎ手達が生まれるに至った最初のプロローグ…


何不自由しない暮らし。

欲しいものがあればすぐに手に入り、望みがあればすぐに叶ったお嬢様がいた。

名前は-----


「-----、お前もいい歳だ、そろそろ見合いをやらないか」

「はい、お父様」


食卓で向かい合う父と娘。会話は他にない。

ただ、黙々と目の前のものを切り分け、口に運ぶ。

それが当たり前なのだろう。


「では、私は出かける。何かあればメイドに頼むように」

「はい、お父様」


父がその場から姿を消す。


カチャン。

シンプルな音を立ててフォークがお皿に落ちる。


「はぁ…」

娘の声。

食事を終え、メイドを呼ぶわけでもなく部屋へと足を進める。

一連された流れ…足を進め、部屋へと入るとカチャリッと綺麗な音を立てて

鍵を閉める。


「お見合い、か」


これは何不自由ないお嬢様がすべての元凶へと至ったはじまりのまだはじまり。

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