第8話「夜空を見上げて」

日曜日の夜

「今日は夜空を見るにゃんよ」

「こっちの世界の夜空、すごいもんね」

「そうなのかにゃ」

「地球はもっと暗かったんだ」

新月に近い今日は星がよく見える

夕ご飯を食べたら真っ暗になるのを待つ

といっても完全には暗くならない

「なんか運河みたいなのが見えるんだよね」

「星がいっぱいあるにゃんね」

「うん、そういうことなんだろうけど」

「なににゃ」

「厳密には星じゃなくて星雲かな」

「星雲にゃ? なんか違うにゃんか」

「星っていうのは太陽の仲間なのね」

「そうにゃんか、知らなかったにゃ」

「うん、ずっと遠くにある太陽なの」

「なるほどにゃ」

「星雲は星だけじゃなくて、ガスやチリもいっぱいあるんだよ」

「ガスってオナラにゃんか」

「なんていうか宇宙の雲だね」

「ほにゃあん」

二人で夜空を見上げる

「この世界ではにゃ、星は死んだ人がなるんにゃ」

「じゃあ」

「有史以来、いっぱい死んだ人はいるにゃ」

「うんうん」

「モンスターや敵に殺された人も老衰した人もいるにゃん」

「たくさんだね」

「だから星によって色も違うにゃ」

「なるほど」

「空に登った人は星になって」

「うん」

「僕たち子孫を見守ってるにゃ」

「そうだね」

「パパもママも今は星になったにゃ」

「そうだったんだ」

「たまに寂しくなると流れ星になって降ってくるにゃ」

「ほほうん」

「そうすると生まれ変わるにゃ」

「そうなんだ」

「カナデも迷子にゃなくて」

「うん」

「誰かの生まれ変わりなのかもにゃ」

「考えたこともなかったよ」

「うにゃ」

「生まれ変わり、転生」

「そうにゃ、転生にゃ、にゃはは」

エルシーが薪に火をつける

着火の生活魔法だ

さりげなくたまにこういう魔法は使ってる

「火も星も太陽もお月様も同じ光にゃん」

「うん」

「火には、特別な力があるにゃ」

「そっか」

「だから、気をつけないといけないにゃ」

「なるほど」

「とても綺麗だけど熱くて火傷しちゃうにゃ」

「気をつけるよ」

「うにゃ、火も星も、綺麗にゃね」

「うん、とっても綺麗」

夜は続いていく

そしてまた日が昇り朝が来る

なんだかロマンチックな夜で

私は密かにドキドキしていた

続く……

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