第15話
「通信越しに叫ぶな。耳がおかしくなる」
『あっ、すみません……!』
「それでどうした? また緊急か?」
『いえ、そうではなく、その……先程のグラッツの侵入、おれの力不足で止められず……すみませんでした』
「謝るな。どちらかと言えば、最初の報告の時点で気付けなかった俺の失態なんだ。お前のせいじゃないし、責める理由が無い」
『そんな……』
「むしろ、お前があの時いち早く気付いて動いてくれなかったら、もっと最悪の事態になっていたかもしれないんだ。……デルフィノ、それとアマレットも、二人には感謝してる」
『……っ、ありがとう、ございます……!』
鼻をすする音が聞こえ、アールも思わず苦笑する。そこへ、シェリーとの通信を終えたエレンが隣に座り、
花盤というのは、乗り物である
『あ、れ……エレンさん!』
「デルフィノくん、アマレットくん、私からもお礼を言わせて。二人が早く動いてくれたから、私も無事よ。ありがとう」
『よ、よかった……よかったです!』
『……あれ、兄さん、アールさんの隣にエレンさんがいる、ってことは……』
『え?……ぁっ!! すすすすみません! すみません!! お二人の無事も確認できたので、おれたちはこれで!!』
(今気付いたか……)
アマレットからの言葉でようやく状況を掴んだデルフィノは、再び勢いよく謝りながら、早口で通話を締め括った。エレンはまだ何か言いたげだったが、花盤はアールの左手首の腕輪に収納されていった。通話が終わったことで、アールは「やれやれ」と髪を掻き上げながら、軽く息を吐いた。
「ごめんね、アール。私もシェリーからお茶に誘われちゃって……さっきの話、またゆっくり聞かせて?」
「あぁ、いいよ。シェリーも心配していただろうし。俺もその間に、ちゃんと話せるようにまとめておく」
「うん、待ってるね」
そう言って、エレンは秘密部屋を後にする。彼女が階段を降りていく音を聞き届けた後、アールは再び頭を抱えて思い悩んでいた。
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