この夏、幼馴染とのイチャイチャがついに開催されます⁇

猫の集会

タイミングと猫吸い

 ミーンミンミンミン

 

 夏休み、外では何匹いるのかわからないくらいのセミが鳴いている。

 

 暑い中ご苦労さんだぜ。

 

 そんなセミの声で昼過ぎに目覚めてシャワーを浴びる。

 

 そのあとそうめんをすすってまた部屋でゴロゴロ。

 

 あー、夏休み最高‼︎

 

 中学の受験も終わり、高一の夏休みを満喫中だ。

 

 ミャアミャアとウチの飼い猫のミルクがドアの隙間からシュルシュルっと細いからだをうまいぐらいにカーブして入ってきた。

 

「ミルクは、かわいいなぁ」

 とナデナデもふもふ猫吸いまでして思いっきり猫と遊んでいた。

 

「セクハラ野郎…」

 

 ⁈

 

 ドアの隙間から幼馴染のさつきが覗いていた。

 

「えっ…さつき、いつからいたんだよー」

「ミルクちゃんがいいもの見せてあげるから、ついてらっしゃいっていうからさあ」

 なんて平気な顔で言うさつき。

 

「ミルクが話すわけないだろ」

「あははぁ〜。ま、いいじゃん。それよりタクトさぁ、女の子に飢えてるの?」

「はっ?」

「ミルクちゃん溺愛しすぎ」

「あー、女の子と猫は違うだろ」

「ふーん。」

 

 …

 

「で、さつきどうしたの?猫よりも暇なんだ⁉︎」

「はっ…違うし!本借りにきただけだし」

「あー、なら本棚から好きなのどうぞ」

「あ、ありがとう」

 

 本棚から本を選んで一冊大事そうに抱え込むさつき。

 

「んじゃ、これ借りていくね」

「おー」

 

 さつきは、ミルクをナデナデして帰っていった。

 

 

 

 オレはいつかさつきに告白をしようと思っている。

 

 

 でも、なかなかタイミングがなぁ…

 

 そもそもオレは基本マイペースだ。

 さつきに告白するのは、結婚を前提にと言いたい。

 だから、結婚直前でもいいんじゃね⁉︎と思っていた。

 

 高校生になるまでは。

 

 なのに最近は、やたらとさつきが大人びてきて、なんなら告白なんかもされるようになってしまったじゃないか‼︎

 

 

 寝てる場合か⁉︎

 

 でも、眠いんです…

 

 次の日、まだ午前中だから寝ていようとうつらうつらしていたらミルクがオレの顔をペロペロ舐めだした。

 

 しばらくするとペロペロは、すぐ終わるからほっといたら…なんか深い眠りに入りつつあったんだけど…

 

 今、頭ナデナデされた⁇

 ミルクに⁉︎

 

 えっ⁉︎違う⁈オレの髪の毛をペロペロ舐めだした…の⁉︎

 

 ま、眠いしどうでもいっか。

 

 そんなナデナデの感覚が寝ていると、たまにあった。

 

 ⁇ミルクって…すごい芸もってんじゃね?

 

 

 それからもたまに頭ナデナデをされ続けている。

 

 

 

 そして今日も。

 

 んも〜、ミルクはかまってちゃんだなぁ〜

 

 今日もニャーニャー言いながらオレのベッドにやってきたじゃないかぁ。

 

「ニャアン」

 きたきた。

「おいで〜」

 寝ぼけながらもミルクを布団に招き入れた。

 

「ミルク〜。かわいいねぇ〜」

「ニャア〜ン」

 ナデナデ。

 

「ニャアン、ニャアン」

 やたらと甘えてくるから猫吸いしてやる〜っ!

 

 ムニムニ〜ン

 

 あれっ⁉︎

 

 …

 

 ん?

 

 ミルクのお腹ってこんなに柔らかいっけ⁇

 

 …

 

「ミルク…」

「ニャアン」

 

 あ、やっぱりミルクじゃん。

 

「ミルク、今日はムニムニだねぇ〜」

「ニャアー…ンツっ♡」

 

 ん?

 ミルク…

 

 なんか猫って意外とのびるとからだ長いけど…今日はいちだんと抱きがいがあるな…。

 

 あ、もしかしてミルクが人間になったって夢か?

 

 これは夢か。

 

 なるほど。

 だから、感覚が少し違うのか。

 

「ミルク〜。」

 ミルクが人間になったらこんな感じなんだな。

 

 今日の猫吸いは、やたらといい匂いだ。

 やっぱり夢だと香りまで変わるんだなぁ〜

 

「ミルク〜、ミルクミルクミルクぅ〜」

 

 心置きなくミルクをムギュムギュした。

 

 そして頭ナデナデをした。

 

 ミルク今日は、ツヤツヤだぁ。

 こんなに髪まで伸びて〜

 

 …

 

 ⁉︎

 

 はっ⁈

 

 夢の中では、ロングな毛になるの⁉︎

 

 バチっと目を開けた。

 

 …へ⁇

 

 目の前にさつき…

 

 そして枕の上で毛繕いしているミルク…

 

「ミルク…じゃない…」

「ニ…ニャア〜ッ…」

 

 気まずそうにさつきがミルクのマネをした。

 

「いや、無理があるだろ…」

「え、だってさっきまでミルク〜って言って騙されてたじゃん」

 

 …

 

「あー…、あれはてっきり夢かと…」

「上手いでしょ?ミルクの真似」

「えっ…、うん。てか…ごめん」

「なんで謝るの?」

「だって…オレ…色々と…その…」

「んもー、謝らないでよ!気まずいじゃん」

 

 …

 

 謝らなくていいのか…⁇

 

 …

 

 

「あのー…」

 謝らなくていいってどう言う意味だろう…と聞きたかった。

 でも、なんて聞いたらいいんだろうか…

 

「なに?」

 

 …

 

「謝らなくていいってさ…それはどういう…えっとー…」

「そのままの意味」

 

 …

 

「えっ?」

「わたし…実はずっとタクトが好き…だったの。」

「あー…」

 

 …

 

 ん?

 

 待って⁉︎

 

 ならオレたち両思いか…って‼︎

 

 あー…オレは情け無い。

 告白すら自分からできないなんて…

 

「タクトは、別にわたしになんか興味ないでしょ…。だから、せめてミルクみたいにタクトに甘えたくって…つい……。ごめん」

 

 しょんぼりするさつき。

 

 そんなさつきにオレは飛びついた。

 

 そしてベッドに優しく押し倒して猫吸いならぬさつき吸いをした。

 

「んん〜っ、くすぐったいよ〜」

「だって、いいんでしょ?ミルクみたいにしても」

「そ、それは…」

 チュ〜ッ

 

 猫吸いのかわりにお腹にチュ〜をたくさんした。

 

「ギブ、ギブ…お願い…む、むり〜」

「えーっ、これからがいいところなのにー」

 

「待って、ミルクじゃありません。わたしは、さつきです…。ごめんなさい」

 と、さつきが起き上がった。

 

「さつきさー…、なんで好きとか言っちゃうんだよ」

「ごめん…。だって…あ…でもわたしフラれたからって幼馴染やめるとか言わないから…だから幼馴染続けてくれるよね?」

「…だれもふってないよ?」

「え、でも…」

「オレもさつきが好きだよ。告白は、さつきに先越されたから…だからさ、プロポーズはオレがするからな。それまで先に言うなよ?」

「えっ…そういうことか…。てっきりフラれたかと思った。」

 

 さっきまで泣きそうな表情だったさつきが笑顔になった。

 

「さつき、もう一回さつき吸いしていい?」

「だめー、調子乗りすぎ禁止〜!」

 さつきは、オレの頭をグイッと押した。

 

「あー、今首グキってなったぁ」

「え、ウソ?ごめん、大丈夫?」

 

 慌ててオレの首辺りを覗き込むさつきにオレはチュッとした。

 

「あ〜、騙したなぁ」

「最初に騙したのそっちじゃん。ミルクの真似して」

「それは…」

「だからおあいこだよねっ。さつきちゃん」

 

 チュ〜♡

 

 こうしてオレたちのイチャイチャ夏休みが始まるのでありました♡

 

 

 おしまい。

 

 

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