絵画について聞くか、殺すぞ

@chipsteeeereeer

第1話

 美しい絵画がある。

 虫取りをする少年を美しい女性が眺めている。

 なぜ、美しいと思うか。

 描かれた女性が、俺の姉だからだ。

 なぜ、美しいと思うか。

 描いた女性が俺の姉だからだ。

 なぜ、美しいと思うか。

 描かれた少年が、姉と結ばれた俺の親友だからだ。

 なぜ、美しいと思うか。

 親友を、俺が殺したからだ。

 なぜ、美しいと思うか。

 この絵には、姉を奪った憎き親友などいない。あの日のままの、あねと親友がいるからなのだ。



 おれは、えをみている。

 あのひが、えいえんにあるからだ。

 おれは、えをみている。

 あねが、うつくしいままだからだ。

 おれは、えをみている。

 しんゆうが、うらぎらないあのひのままだからだ。

 おれは、えをみている。

 このえをみているかぎり、おれは、けがれをしらない、あのひの、このふうけいをみている、がきのままでいられるからだ。



 私は絵を見ている。

 絵は変わらず美しい。

 私は絵を見ている。

 私は醜い。

 私はこの絵の中に入られなかった。

 私は醜い。

 嫉妬で親友と姉を殺したからだ。

 私は醜い。

 私を囲む、警察官たちを前をして、彼らを殺してでも、またこの絵の前に立ちたいと思うからだ。

 彼らは醜い。

 知ったふうな口で、私たちの関係を語るな。

 彼らは醜い。

 知ったふうな口で、この絵を語るな。

 彼らは醜い。

 美しくないくせに、人生の主人公気取りで。

 彼らは醜い。

 思い知らせてやる。

 彼らは醜い。

 主人公になれないものは、たやすく死ぬのだ。

 彼らは醜い。

 姉と親友さえ立ち向かえずに死んだ。

 私は醜い。

 ここで死ぬのだろう。



 彼らと私は醜い。

 さあ、みんなここでおっちんで、このえに箔をつける贄になろう。

 さあ、殺ろう。

 さあ、死のう。

 さあ、殺ろう。

 さあ、死のう。


 殺すぞ。

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