プルーンが食べたい!

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 プルーンが食べたい。


 2ヶ月に一回の頻度で学校給食に出ていた2つ入りのドライプルーン。

 当時、視力が悪くてプルーンを食べると目が良くなるという大人の言葉を信じて食べていた。

 ドライプルーンは不人気で食べない子が多く、でも給食を残すのは禁止みたいな決まりがあって、「食べないならちょうだい」と食べない子たちからドライプルーンをもらって食べていた。

 普段、給食の残りが出てもそんなにおかわりしないわたしが欲するから「プルーン好きなの?」と何度か聞かれた。


「プルーンを食べると目が良くなるんだって。スーパーには売ってないからこういう時に食べておかないと!」


 わたしが張り切ってそう言うと、「え、そうなの?  じゃあ、ちょっと食べてみようかな」と何故かいつもは食べないでわたしにくれる子たちがプルーンに興味を出して食べ始めた。

 当時、ドライフルーツはそんなにスーパーとかで売ってなくて、貴重だった。

 その結果、人気は出なかったけど、プルーンを残す子が減ってわたしは給食で多めにプルーンを食べられなくなった。

 喜ばしいことなのに、(畜生っ、言わなきゃ良かった!)と思ったのは内緒だ。


 給食に出て来るドライフルーツのみを食べたところでわたしの視力がどうにかなることはなかったけれど、食品の効果を信じて興味を持って食べてみるのは大事なんだなと思う出来事だった。

 でも、食物アレルギーがあるから食べたことない人に食品を安易にすすめてはいけないことも大人になって学ぶのだった。


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