庭のような組織
仲仁へび(旧:離久)
第1話
庭のような組織を作りたいと思っていた。
人との関係を、思い至った時に簡単に結べるようにと。
誰かと関わりたい時に、すぐに縁を結べるようにと。
休日の何気ない時間にふと思い立って、なにげなく集えるような、負担にならないような、それでいて背中を支えてくれるような。
そんな風に人と縁を結べるような組織を作りたいと思って。
だから、庭のような組織を目指した。
気心の知れた者たちと、様々な感情を分かち合えるように。
明日の予定を楽しく語らえるように。
過去の失敗を慰め合って、前に進む力を得られるように。
そう思って、庭のような居場所のある、組織作りに邁進してきた。
しかし、
「それではこの過酷な社会ではやっていけません。組織がつぶれてしまいます」
部下達は、そんな組織のあり方を臨んでいなかった。
利益と実績。
そのためには庭のような組織であってはならないと、そう考えていたから。
「これからは、別の人に組織を率いてもらいます」
庭のような組織に、改革が始まった。
各々が自由に植えた花は引き抜かれ、見栄えのすり華々しいものに変わった。
まがりくねったり、折れていた木々の枝は、みんな同じように剪定され形をととのえられた。
魚を育てる池は埋められて、水を噴き出す噴水は撤去された。
庭のような組織を求めていた。
そうすれば皆が喜んでくれると。
しかし、皆が求めていたものはそんな組織ではなかった。
庭のような組織 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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