第64話 (ドイツ)シュパーゲルと湖畔の散歩猫(茶トラ猫達)

 

 旅行、4日目はベルリンに移動。

 

 アムステルダムからベルリンには小型飛行機で移動。なんと!1時間弱で着いちゃう!

 ジェット機と違い、いつもより低い高さを飛ぶので、山とか森とか村とか町とか屋根の瓦模様まで見えて楽しかった!双眼鏡あれば道行く人も見れたかも?


 ベルリンの空港にも支社の方が迎えにきてくれていたので、その車で移動。

 何とBMW!しかも大きいタイプ!

(車の種類は大きいか小さいか、バンタイプかそうでないかしかしか分からないです)

 しかもこの車は社用車ではなく、プライベートカーなんだそうだ!流石ドイツ!日本でもカイロでも超高級車扱いの車が、あちこち普通に走っていて国産車なんだなあと実感。

 

 ベルリンの車窓も空気もオランダと全然違う。滅茶苦茶寒いは同じなんだけど、なんというかより都会的な?なんかピリッとしているような空気?


 ホテルにチェックインして直ぐに、カイロ土産を抱えて和也はご出勤。

 今回は直ぐに戻ってきて、甘田さんご案内で郊外にあるシュパーゲルの名産地を見に行き、そのあと湖畔のレストランでシュパーゲル三昧をする予定。


 湖畔のレストランは山間なので凄く寒いから暖かい恰好をしてくださいねと、甘田さんは言うが…。これ以上寒いって何!?もう5月になるのに!!

 

 てなことで、こんなこともあろうかと、以前ロンドンで買ったウールの大判ストールを引っ張り出した。これ、赤いフェルト地に裾周りにフリンジがついていて膝まで長くてお尻も暖かくて、被ることも色々なパターンで使えて、何より可愛いの。


 ロンドンのデパートで半額で買ったんだけど、よくよく調べたら、乗馬用の羽織るコートみたいなものだったらしいの。知りませんでした。何故知ったかと言うと、で寒い時に羽織っていたら、「それ、乗馬用のでしょう?」と、乗馬通の奥様に教えていただいたのでした。


 薄手ダウンコートも羽織り、それを持ってロビーにいると甘田さんが迎えに来た。

 和也はまだ支社で会議らしいので、先に観光しましょうと言ってくれた。和也も別の人と一緒に後から来るそうだ。

 

 さて、シュパーゲルと言うのは白アスパラガスの事を言う。この時期になると出回るので、春を告げる野菜、「春を告げるシュパーゲル!」として超有名で大人気なんだって。


 日本で春になったら山野菜を食べる!!と言うのと同じらしい。気持ち!すっごくわかる!!


 シュパーゲル産地が連なるシュパーゲル街道というのもあり、毎年各地で盛大にシュパーゲル祭りをするらしい。

 

 シュパーゲル畑は白いビニールシートが延々連なる畑が、まだ白い雪を沢山残す山を背景に広がっていた。

 日光を遮断して作るので、こうして地中で作るんだそうだ。

 ところどころでシートを外して、シュパーゲルを掘り出してる。ジャガイモみたいだ。そーいえばドイツのジャガイモも美味しいよね。


 あちこち見て山に向かい湖畔のレストランに行く。少し早く着いたので、湖が見えるテラスで待つことにした。なんか風景が箱根に似てるなーと思いながら見てると、通りを大きな籐編みのカゴを下げたいかつい強面の男性が歩いてきた。


 カゴから猫の鳴き声が聞こえた気がして振り返ると、バッチリその人と目があった。でも籠の名から猫が顔を出し目が釘付けになる。


 男性が何か言う。

 甘田さんが返す。

 

 彼はそばに来ると、手を差し出し、甘田さん、夢乃と握手する。そして夢乃に籠の中身を見せてくれた。茶トラの猫が2匹、まんまるの目を見上げてくる。

 

 かっ!!可愛い!!


(ここからは甘田さん通訳による会話)

ド:「猫好きなの?日本人?あーシュパーゲルね。個々の店のは美味しいよね」


夢:「猫連れて何していたんですか?」


ド:「散歩」

夢甘:「散歩!?」


 このクソ寒いのに!?


 男性は猫を取り出し石畳に置いた。猫達はお揃いのベストタイプのリードをつけていて、下に降ろされると2匹並んで夢乃達を見上げる。


 かっ!可愛い!!もうハートずきゅん!だよ!


ド:「こうしてよく湖畔を歩くんだよ」

夢:「ドイツの猫は犬みたいのリードで散歩するんですか?」

ド:「この子達はね。殆どの猫はしないんじゃないかな?」

夢:「確かに。うちのファリーダもしないかも」

ド甘:「フリーダ???」

 

 と、いう事で3人で猫自慢大会になり、互いの飼い猫写真を見せ合う。そう!甘田さんも猫を飼っていたんだそうだ。可愛い、サバトラのオス猫ちゃんだった。


 そして、しっぽをピン!と立てて歩いていく猫達と彼と別れて暫くして、和也達が来てみんなでシュパーゲル料理を楽しんだ。


 シュパーゲルの前菜から始まり、シュパーゲルのサラダ、スープ、シュパーゲル添えの肉料理、最後のデザートもシュパーゲルかと思ったら、イチゴのタルトだった。


 もうびっくりするくらい美味しくて、ドイツでお祭り騒ぎするのがよくわかった!!カイロに持ちかえりたいけど、たぶん無理。もしかしたらスーパーで売っているかもと期待しながら、大満足で店を出た…が!!!


 寒い!!


 夢乃は乗馬用のストールコートを、和也はマフラーを慌ててしたのだった。ベルリン組は、がたがた震えるカイロ二人を見てきょとんとした。


「そんなに寒いのですか!?」


 と、驚愕の声が、建物の光できらきら輝く湖の上に消えて行った。



追記:

シュパーゲル!大好きです!日本でも毎年購入し家で茹でていただきます。

そして憧れの散歩猫!カイロではしなかったファリーダが!なんと日本では散歩猫になるのはまだ先の話しです。

因みにシュパーゲルはカイロでは(当時)売っていませんでした。しくしく。

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