氷の彼女

「私雪しか食べないの」


俺の料理人の血が騒ぐ。


砂糖をまぶした野苺に熱を加える。


柔らかくしたら彼女の吐息に含まれる新雪をふりかけた。


「おいしい」


すかさずマイナス百度に凍らせた婚約指輪を耐冷手袋越しに差し出す。


「沢山の雪料理を編み出すので結婚して下さい」


彼女の頬に氷の結晶が零れ落ちた。

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